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消える外来魚

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人間は、世界的に希少な生物を必死に増やそうとする。
大方の場合「絶滅危惧種」などというものに指定し、
目の色を変えて、その生物の存続に血道を上げるものだ。

逆に人間は、限定的な範囲内でのこととはいえ、
いくつかの生物を絶滅させようと、血道を上げることもある。
いわゆる「外来種」と呼ばれるようなものが、それだ。

本来、そこにいなかった生物が人間によって移入され、
そこで恐ろしい勢いで増え始める。
もともといた「在来種」たちは、その勢いに押されて生活の場を奪われたり、
ひどい場合は「外来種」のエサとなってしまい、食べられてしまうこともある。
そうなってから、人間は「しまった」とばかりに後悔して、
自ら移入した「外来種」を、今度は取り除こうとする。
大方の場合「駆除」という名目でこれらを捕獲して、
殺処分するのが常である。
ただ、こちらの場合、狭い範囲内とはいえ、
完全に「外来種」を絶滅させてしまうのは、なかなかに困難である。
「外来種」の数が多いときは、大量にこれを捕獲することも出来るが、
「駆除」がうまくいって、「外来種」が段々と数を減らしてくると
当然、これは捕獲が難しくなってくる。
そこを気長に、さらに地道に頑張って「駆除」を続けることによって、
あるとき、ふと、その「外来種」はいなくなる。
人間によってかけられ続けていた捕殺「圧」によって、
ついに繁殖に必要なだけの数を下回ったからである。
こうして、地道で、気の長い「駆除」作業の果てに、
人は自ら持ち込んだ外来種を、その環境内において絶滅させるわけである。
この手の「外来種」の絶滅というのは、かなり難しいようで、
日本国内でも、この手の絶滅に成功した例というのは、かなり希少で、
本当に数えるほどの成功例しかなく、多くの場合は「外来種」は平然として
その環境の中で生き延び続けているのが常である。

さて、このほど、琵琶湖の「外来種」について、
いくつか面白い報道がなされた。
ニュースサイトでのそれらの見出しを書き出してみよう。

「琵琶湖のミステリー、過去10年で外来魚最少
 ブルーギル寿命?」
「琵琶湖に異変?
 姿消す外来魚、駆除量は去年の4割」

どちらの見出しでも、
「琵琶湖の外来魚が減ってきたこと」を取り上げているのだが、
それぞれに「ミステリー」だの「異変」だのと、
ちょっとおどろおどろしい言葉で、これを表現している。
ニュースの内容というのはこんな感じだ。

滋賀県は12月17日、琵琶湖に生息する外来魚の推定生息量が
2017年で722tと、過去10年で最少になったと発表した。
10年前の2007年、外来魚の推定生息量は2138tで、
そこから「駆除」の効果か徐々に数を減らしていき、
6年後の2013年には857tまで下がった。
そこから今度はまた徐々に数が増えていき、
2015年には1057tを記録、翌2016年は1037tと
前年とほとんど変わらなかった所、2017年に来て一気に数を減らし、
722tとなったわけである。
推定生息量の内訳としては、ブルーギルが519t、オオクチバスが202t。
前年と比べてみると、特にブルーギルの減少が顕著である。
1年間で、一気に300t近くも数を減らしている。

県は減少の原因について、2012年に大量繁殖したブルーギルが
寿命を迎えたり、2016年の「駆除」が順調だったことなどが
背景にあると見ている。
漁業者による外来魚の駆除量も今年は激減しており、
12月3日の時点で67tと、2016年の164tの半分以下、
2007年の8分の1に留まっている。

琵琶湖におけるブルーギル、オオクチバスといった外来魚の問題は
マスコミなどでも大きく取り上げられ、結構、頻繁に報道されていたが、
今回はいよいよその数が減って来たというニュースである。
本来であるのならば、県もマスコミも、外来魚の減少を
諸手を上げて歓迎すべきなのだろうが、
ニュースの取り上げ方を見ている限りでは、どことなく歯切れの悪い反応だ。

現在、滋賀県では、県漁業協同組合連合会と提携し、
外来魚を1kg330円で買い取っている。
週6日、駆除のために漁に出ている漁師などは、
10年ほど前まで、月に60万円を稼ぐこともあったという。
単純計算で、月に2t近くの外来魚を捕っていたわけだ。
1日あたりに割ってみると大体80kg。
漁師が獲る量として、この数字が大きいのかどうかは分からないが、
月に60万円も稼ぐとなると、これはなかなかの収入である。
週に6日出漁しているとなれば、これはもう立派な専門であるといっていい。
外来魚専門漁師だ。
そんな彼らが今年に入り、月十数万円分しか捕れなくなっているというから
そういう意味では、彼らの生活を直撃しているともいえる。
県やマスコミの、どことなく歯切れの悪い口調も、
そこら辺りに配慮したものなのかも知れない。

まあ、まだ少なくなったと言っても、ブルーギル、オオクチバス併せて
700t以上もの外来魚が琵琶湖に生息しており、
2015年などは前年に比べて100tも数を増やしている状況を見るに、
まだまだ気を抜けば、一気に数が増えそうな気配は濃厚である。
琵琶湖の外来魚絶滅という目標を掲げた「駆除」には、
ここからがいよいよ正念場ということになるのかも知れない。
1kg辺りの買い取り価格を上げるなどして、
「駆除」へのモチベーションを維持しつつ、
外来魚ゼロという大目標に向かって、頑張ってもらいたいものである。

それにしても、増やそうと思っても思うように増えず、
減らそうと思っても思うように減らず。
自然というものは、やはりまだまだ人間の手に余るものらしい。

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