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忍者の系譜〜その3 一族の台頭

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By: tkaige


前回、前々回と、忍者の系譜について書いてきた。
第1回は、古代中国から聖徳太子まで。
第2回は、天武天皇から源義経まで。
今回は、これに引き続き、
平安時代末期から、忍者の系譜を追っていきたい。

平安時代末期、忍者を語る上で欠かせない一族が、
台頭し始める。
伊賀にその根を下ろしていた、服部一族である。
服部一族は主に北伊賀を中心として、
その支配力を伸ばし始めていく。
彼らは平家の勢力に加わり、伊賀の代官的存在として、
その力を強めていったのである。
しかしおごる平家は久しからず。
やがて没落し、都を追われた平家一族は西国へと落ち延び、
壇ノ浦の戦いにおいて、ついに滅亡してしまう。
では、その平家の勢力に加わっていた服部一族が、
どうなったかと言うと、
壇ノ浦の合戦まで、平家の最後を見届けた後、
あっさりと故郷である伊賀へと戻ったのだ。
忍者の一族である服部一族は、他の武士の一族とは違い、
容易に主人と一緒に死んだりはしないものらしい。

当時の服部一族の長は、服部平内左衛門尉家長であったが、
彼は帰国後、伊賀の西端にある隠れ里、余野に潜伏し、
源氏の追補の手を逃れた。
だが、主である家長が余野に潜伏したとはいえ、
彼の一族である服部一族は滅びず、
依然として旧領を維持し続けていた。
家長の長男、保長が源頼朝の家人となったからである。
この辺りの器用な身の処し方は、
いかにも忍者の一族らしい。

では、伊賀の服部一族が、
どうして「忍者」としての力を持つに至ったか?

伊賀と同じく、忍者の里として知られている甲賀だが、
この時代はまだ、伊賀と甲賀の区別は
なかったと言われている。
地図で確認してもらえればわかるが、
現在でも滋賀県甲賀町と、三重県の伊賀町は地続きで、
全くの隣同士だ。
この甲賀の飯道山は、
役行者開基の修験道の根本道場であるし、
伊賀の四十九院の僧坊には、
修験僧達がたむろしていた。
こういう環境の中、伊賀・甲賀に住む土豪たちが、
山伏たちと関係を持ち、
その山伏流忍術を授けられたのだろう。
これが後に、伊賀・甲賀において独自の進化を遂げ、
我々の良く知っている「忍術」へと
変わっていった。

時代は鎌倉時代末期へと移る。
2回にわたる元寇をきっかけにして、
北条政権はその支配力を失ってしまった。
このとき、倒幕を企て兵を挙げた、
後醍醐天皇に同調するように、
1人の武将が、時代の表舞台に飛び出す。
南朝の大忠臣とされる、楠木正成である。
彼は河内地方の一土豪である。
正成は、幼少期から少年期までを、
河内の国の密教寺院、観心寺で過ごした。
この点、源義経によく似た経歴である。
ただ、義経と違うのは、彼は僧侶になるために
寺に預けられたわけではなく、彼が預けられたのは
学問をするためであった。
そこで彼は、武門の家の子として、
兵学を中心とした、各種学問を教え込まれた。
このとき、彼に学問を教えたのは修験僧達であった。
修験僧達によって教えられた兵学は、
恐らく、「孫子」の兵法を、
中心としたものだったのではないか?
だとすれば、その中に「用間」が
含まれていた可能性がある。

さらに彼は、観心寺を出た後、
同国の豪族、大江氏について兵法を学んでいる。
この山伏流の兵学と、大江氏の兵法が混ざり、
彼独自の、楠流兵法ができ上がった。
そしてその中には「用間」も含まれていたのだろう。
正成は部下に、伊賀の忍者48名を抱えていた。
これは楠木正成の「四十八人衆」と呼ばれる。
正成は彼らを使い、変幻自在な戦法で幕府と戦った。
鎌倉幕府が倒れ、後醍醐天皇による建武の新政が始まるが、
これはわずか2年で頓挫する。
この後、足利尊氏が反旗を翻し、
楠木正成は、新田義貞等とともにこれと戦うが、
湊川の戦いにおいて敗北、正成は死亡した。

この後、足利尊氏は室町幕府をひらき、
京で新しい天皇を擁立し、これを北朝とする。
一方、後醍醐天皇は京を脱出し、吉野に入る。
そして吉野において南朝(吉野朝廷)をひらいた。

この際、伊賀の服部一族が楠木正成に従っていた関係から、
伊賀・甲賀の一族は、南朝側についたものが
圧倒的に多かった。
南朝は、吉野地方を点々とするが、
これは吉野地方の山伏勢力が盛んだったためで、
南朝は彼らの力を借りて、北朝・足利勢力に対抗した。
もちろん、その中には伊賀・甲賀出身の忍者の姿も、
あったはずである。
南朝は、その後56年間、存続している。

さて、ここまでずっと忍者の系譜を追いかけてきたが、
ついに伊賀・甲賀と、服部一族が姿を現した。
いよいよ忍者が、我々の知っている忍者として、
活躍する時代がやってくる。

次回は、戦国時代から江戸時代にかけての、
忍者の系譜を追っていく。

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