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ウルトラマンジード 総評

投稿日:

新作のウルトラマンがTV放送され、
さらにはそれがネット配信されるということで、
実に「ウルトラマンメビウス」以来、
久しぶりに視聴することになった「ウルトラマンジード」。

最近のシリーズを通しての敵役であった悪のウルトラマン、
ベリアルの息子が主人公ということで、話題になったジード。
ベリアルの息子ということで、デザインもかなり
悪役っぽいものになっていた。
正義の一族「ウルトラ族」の中にあって、
唯一といっていい悪人の息子ということで、
いやが上にも、そこにドラマを期待されてしまう。
実際、同じ様な設定の別のドラマがあったとしたら、
悪人の子として、周りの人間からの差別や蔑視に耐えながら
人間的に成長していく主人公の姿が描かれただろう。
実は、この設定を初めて耳にしたとき、
自分が一番期待したのも、「その」展開であった。
あの正義の一族が、全くの異端となる悪人の息子を、どう扱うのか?
全く何の差別も蔑視もないままでは、それはそれで拍子抜けだし、
陰湿な差別や蔑視があっても、それはそれまでの「ウルトラ一族」の
イメージをぶち壊してしまうものになる。

このことについては、全くの杞憂に終わった。
ベリアルの息子であるジードは、M78星雲のウルトラの星では生まれず、
全く別の宇宙の地球(並行世界とかだろうか)で、
自分がウルトラマンであるということすら知らされず、
普通の人間として、生活していたからである。
その世界は、かつてベリアルが超時空消滅爆弾を起動し、
宇宙そのものを崩壊させようとした所を、
ウルトラマンキングが宇宙と同化することによって、
これを修復しているという世界であった。
この地球の人々には、ベリアル以外のウルトラマンについての
記憶はなかったが(恐らくは、ベリアル以前には怪獣もウルトラマンも
存在していない世界だったのかも知れない)、
ベリアルと他のウルトラマンたちの戦いについては、
「クライシスインパクト」という都市伝説として広まっており、
正直、見ている自分からすれば、かなり歪な世界の様に思えた。
また、ジード自身についても、ベリアルが誰かと結婚して
子供が出来たというような、いわゆる普通の子供ではなく、
ベリアルの部下である、ストルム星人・伏井出ケイが
ある目的を持って作り出した、
ベリアルの遺伝子を持つ人造生命体だった。
(話を聞く限りでは、息子というよりはクローンといった方が
 正しい様な気がするのだが、どういうわけかジードの見た目は
 ベリアルに似てはいるものの、全くのコピーではなかった。
 ただ、変身シーンなどでは、アーリーベリアル(レイブラッド星人と
 融合する前のベリアル)の姿が一瞬、映っているので、
 本来的には、そちらの姿の方が正しいのかも知れない)

ストーリーの中盤では、この事実が伏井出ケイによって明かされ、
物語の1つの大きな山場になっていたのだが、
ストーリー全般を通して、ジードはケイ以外からは
1つの人格として扱われており(コピー元の本人である
ベリアルですらも、ジードのことを「息子」と呼んでいた)、
この部分での悲壮感の様なものは、全く感じられない。
彼の父親がベリアルであるという事実については、
物語の中盤辺りまで、ペガやライハなど、
リクと特に親しいキャラクターたちにしか知られていなかったが、
後にこれを知ったゼロ(レイト)、モア、ゼナなども、
特にこの点をほじくってくる様なことはなかった。
そのためかリク(ジード)自身、自分がベリアルの息子であるという
事実については、早くからこれを受け入れていた。
この点について、もっともしつこくこだわっていたのは
ジードの生みの親ともいえる伏井出ケイ1人で、
最終回に登場したウルトラの父なども、ジードについては
「若きウルトラマン」と、1人のウルトラマンとして認めていた。
この点については、本来ドロドロとした物語になりかねない
コアな部分であったが、かなりあっさりと流されてしまった印象だ。
正直、ドロドロとした物語を見てみたい気もあったが、
やはり子供向け番組ということで、
そういう展開はNGなのかも知れない。

この「ウルトラマンジード」、シリーズを通して視聴してみて
ふと気になったのは、登場キャラクターたちが
随分と頻繁にアクションをこなしている、ということである。
「仮面ライダー」の様な、等身大ヒーロー番組であるのならともかく、
怪獣と巨大ヒーローが殴り合う「ウルトラマン」の様な番組では、
登場人物が激しいアクションをこなすということは、かなり珍しい。
「ジード」に登場したキャラクターの中で、
劇中、生身で激しいアクションシーンを披露したキャラクターは、
ライハ、レイト、ケイ、ゼナと4人もいる。
ライハとケイは、度々激しい戦闘シーンを見せていたし、
これにレイトやゼナが加わることもあった。
ライハ役の山本千尋は、太極拳を学び、
大会でメダルを獲得しているほどの選手だし、
ゼナ役の岩田栄慶は、同番組の中でスーツアクターとして
ジードの中に入り、怪獣相手にアクションを繰り広げている。
レイト役の小澤雄太にはブレイクダンスの経験があり、
伏井出ケイ役の渡辺邦斗は、剣道や居合道を趣味としている。
詰まる所、メインキャラクターのうち、半分以上が
キビキビとした派手なアクションシーンをこなせるのである。
「ライダー」や「戦隊」ならともかく、
「ウルトラ」シリーズで、ここまでアクションが出来る
俳優が集まるというのも、珍しいことだろう。
主人公・リクが、アクションをこなせないため、
どうしても「ひ弱」なイメージが払拭できない。
(設定上は、超人的な身体能力を持っていることになっている)
ただそれが、それまで「戦う運命」を持っていない、
普通の人間として育てられたという彼の経歴を、端的に表しており、
戦士としての初々しさを、上手く表現することにも、
繋がっていたように思える。

「ウルトラマンジード」には、主人公であるジードの他にもう1人、
ウルトラマンが登場する。
それがウルトラマンゼロだ。
彼は、何者かによって光の国から奪われた
ウルトラカプセルを探すため、この地球にやって来た。
しかし、クライシスインパクトの際に、
ベリアルから負った傷が癒えておらず、
次元移動を行なった際に、ウルティメイトブレスレットも
破損してしまっており、本来の力を出せない状況にある。
彼は地球で活動するために、ひん死の状態であった伊賀栗レイトと
一体化して、地球に留まることになった。
設定だけでいえば、このゼロの方が、
従来のウルトラ主人公の様に思える。
彼は、主人公以外の第2のウルトラマンとして、
主人公であるジードと協力しながら、戦っていくことになる。
すでにウルトラマンゼロは、様々なウルトラ作品に登場しており、
「ウルトラマンジード」と関係の深いベリアルとも、
強い因縁があるベテラン戦士として描かれている。
従来のウルトラヒーローと違い、ゼロの意識は宿主(?)である
レイトの意識と並列で存在しており、
常時、彼と会話しながら生活している。
彼とレイトの間に意見の対立が生じたりすることもあり、
地球人擬態型(?)のジードとは対象的な設定になっていた。
そのため、伊賀栗レイトを演じている小澤雄太は、
1人2役を瞬時に切り替えるという、高度な演技をこなしている。
のほほんとして気弱そうなレイトと、キリッとして強気なゼロ。
全く相反する性格をしている2人を、コロコロと切り替えながら演じる
彼の演技力には、脱帽するしかない。
これは全くの私見になるが、この「ウルトラマンジード」において、
もっとも演技力のある出演者は、間違いなく彼であろう。

半年間に渡り放映された「ウルトラマンジード」。
もともと、過去のシリーズと比べれば、
放送回数が少なかったこともあるが、
本当にあっという間の半年であった。
恐らくは玩具会社との関係からか、かなりたくさんの形態が登場したり、
ウルトラマンらしからぬ武器などもいくつも登場したりして、
それが目につく様なこともあったのだが、
それでも良質な特撮ドラマがしっかりと展開され、
毎回、とても楽しむことの出来た作品であった。
3月には劇場版が上映されることも決定しており、
作品としては、まだ完全に終わってしまったわけではないのだが、
ジードとベリアル、ライハとケイなど、強い因縁のある相手を
ただ倒すだけではなく、そこに「赦し」を入れるなど、
根底には、「優しさ」の感じられるストーリーであった。

ウルトラ作品としては、間違いなく傑作といえる作品であり、
半年間、我々を楽しませてくれたスタッフたちには、
心からありがとうと、お疲れさまを言いたい。

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