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ヒーロー、敗れる

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子供にとって、ヒーローというのは絶対的な存在だ。

もちろん、ヒーローというのは
子供によって様々である。
特撮ヒーロー番組の主人公が、ヒーローであったり、
時代劇の主人公がヒーローであったり、
はたまた、名探偵がヒーローであったり、
スポーツ選手がヒーローであったりする。

子供にとって、ヒーローというのは、
尊敬や崇拝の対象でもある。
その様子は一種、宗教的ですらある。
ただ、宗教における神様と違い、
ヒーローというのは、ストーリーに左右される存在だ。
物語の展開によって、様々な出来事に翻弄される。
場合によって、ヒーローは負けたり、
死んだりもする。
これは子供にとっては、非常にショッキングな出来事だ。
ある程度、年齢や経験を重ねた大人なら、
そういうストーリー、と納得できるが、
子供の場合は、そう上手く割り切れず、
幼い心に大きなショックを受けることになる。
そして子供のころに受けた、この手のショックは、
記憶の中に刻み込まれ、いつまでも残ることになる。

ヒーローの敗北というのは、様々だ。

スポーツ選手の場合、敗北もまたひとつの勲章になる。
怪我、年齢による衰え、相手との相性。
様々な理由によって、スポーツ選手は敗北する。
しかしそこには、それぞれのドラマが生まれ、
スポーツ選手のヒーロー性を高めたりする。
また、何度も敗北を重ね、ついに勝利を掴む場合など、
敗北にもヒーロー性が存在している。

それに比べると、時代劇ヒーローの敗北は少ない。
命のやり取りである時代劇の場合、
「敗北=死」であるからだ。
時代劇ヒーローが敗北した、というのは、
「子連れ狼」の最終回、拝一刀の死ぐらいだろうか。
これも、敗北したというよりは、
激闘の末に絶命したという方が正しいのだが、
直後の大五郎による柳生烈堂刺殺と併せて、
強烈に印象に残っている。

名探偵の敗北、というのはちょっと記憶にない。
というよりは、探偵が敗北していては、
事件が終わらない。
敢えていうならば、金田一耕助が毎回、
「僕は、犯人によって一杯食わされていたようです」
と頭をかきながら言うのが、一種の敗北だろうか。
もちろんその後に、必ず事件を解決するので、
敗北とは言い切れない。

これらに比べると、特撮ヒーローの敗北は多い。
特撮ヒーローの場合、死んでも生き返ることがあるため、
わりと気楽にヒーローを敗北させる。
自分が子供のころ見ていた特撮番組でも、
ヒーローたちはあっさりと敗北していた。
「ウルトラマン」シリーズを例に、
これらの敗北例を挙げてみよう。

まず「ウルトラマン」の最終回、
ウルトラマンが、宇宙恐竜ゼットンによって倒される。
後に助けにきたゾフィが、
命を持ってきていたところを見ると、
どうやら、彼は死んでしまっていたらしい。
大方のヒーローは、敗北しても立ち上がり、
再戦の末、敵を倒すものだが、
ウルトラマンはゼットンに倒されたまま、
番組は終了してしまう。
ある意味、一番ショッキングな敗北だった。

次に「帰ってきたウルトラマン」の18話、
ウルトラマンジャックが、
宇宙怪獣ベムスターに敗北する。
これは別に殺されたわけではなく、
ベムスターに勝てないことを悟ったウルトラマンが、
逃げ出し、より強い力を得るために太陽に向かったのだ。
結果として、ウルトラセブンから
ウルトラブレスレットを貰い、これでベムスターを倒す。
ウルトラシリーズの、番組を越えた共演の嚆矢だ。
再び怪獣の前に戻ってきたウルトラマンを見て、
「ウルトラマンが、帰ってきた……」
と、防衛隊の隊長が呟いたのが、印象的だった。

「ウルトラマンA」の26・27話。
26話において、エースをはじめ、彼を助けにきた
ウルトラ4兄弟がヒッポリト星人に敗北、
タールで固められてしまう。
エースが敗れたのはともかく、
4兄弟があっさり1人の宇宙人にやられてしまったのは、
ショッキングであった。
27話、やられてしまった兄弟を助けるため、
ウルトラの父が登場する。
が、ウルトラの父もヒッポリト星人に敗北。
最後に残ったエネルギーをエースに与えることで、
エースが復活し、ヒッポリト星人を倒す。
エースが自らのエネルギーを分けることで、
4兄弟も復活したが、何故か父は死んだままだった。
いやいや、父にもエネルギーを分けてやれよ、と思ったが、
兄弟は父の死体を持って、ウルトラの国に帰っていった。
ウルトラの父は、ウルトラ一族最強の戦士という設定だが、
全くそんな風に思えないのは、この敗北のせいである。

「ウルトラマンタロウ」の18話。
火山怪鳥バードンによってタロウが敗北、死亡する。
タロウの死体をゾフィが回収、ウルトラの国へ持ち帰る。
再びバードンが現れたため、
ゾフィがこれと戦うも敗北、死亡する。
死亡してばっかりじゃん!と思われるかもしれないが、
本当に死亡してばかりなのである。
特にゾフィは、バードンの火炎攻撃によって、頭が炎上。
これを見て、ウルトラマンの頭って可燃性なんだなーと、
驚いた記憶がある。
19話で、ウルトラの母によって蘇生されたタロウが、
新兵器キングブレスレットの力を借りてバードンを倒す。
その後、バードンにやられてから、
ずっと野ざらしだったゾフィの死体を、
母と一緒にウルトラの国に持ち帰るのだが、
母が来ているのなら、ここで蘇生してやればいいのにと、
当時、思ったものだ。

以上、4つほど例を挙げてみたが、
ウルトラマンたちは意外に、敵に敗北している。
ただ、基本的に彼らは宇宙人なので、
「命」というものについての概念が、人間とは違っている。
つまり、死んでもすぐに生き返るのだ。

これが仮面ライダーになると、
話が違ってくる。
彼らは改造されているとはいえ、基本は「人間」だ。
そうやすやすと生き返ったりしない。
だから敵に適わず、やられそうになっても、
死ぬまで戦うようなことはなく、わりとあっさり撤退する。
彼らにとっては、「死」は取り返しのつかない敗北であり、
「敗走」は取り返しのつく敗北なのだ。

ヒーローに敗北は許されない、なんて言葉があるが、
決してそういうことはない。
ヒーローだって敗北はするのだ。
ヒーローと悪役の違いは、敗北の違いともいえる。
上手く敗北し、次の機会にかけるのがヒーローなのだ。

ヒーローが敗れるとき、
実は「そこ」こそが、ヒーロー最大の見所なのかもしれない。

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