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雑感、考察

ぎっくり腰

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以前、書いたことなのだが、
今年のゴールデンウィークに行なった「氷ノ山登山」は、
かなり酷いコンディションの中で行なわれた。

自分は体調不良であったし、
山にはタップリと雪が残っており、
雪山未経験の自分と友人を戸惑わせてくれた。
だが、それらの不利な条件の中でも、もっとも最悪だったのが
友人の患っていた「ぎっくり腰」であろう。

「氷ノ山登山」の2日前の夜、
針灸師をやっている友人から、連絡が来た。
一緒に山に登る友人が、診療台の上でうつ伏せになっている画像に
ひとこと「ぎっくり腰W」とメッセージがついていた。
これが今回のケチの付き初めだったわけだ。
針灸師の友人の見立てでも、
はっきりと2日後の登山までに治るかどうかは、わからないようである。
ドクターストップがかからない所を見ると、
そこまで深刻な状況ではないのかも知れないが、
いずれにしても、登山を前にして
大きなハンデを背負ってしまったことは確かである。
腰をやった友人自身は、山に登る気充分なのだが、
はたしてそんな状況で、山に登れるものなのであろうか?

ともあれ、本人が登る気になっていて、
ドクターストップもかからないということになれば、
後は実際に登ってみて、
その状況によって判断を下さなければならない。
当日早朝、自分自身も体調不良を起こしながらも、
友人と2人、車に乗って氷ノ山登山口へと向かうことになった。
車の中で友人に話を聞いてみると、
やはり腰の痛みはまだあるようで、
途中、スーパーによって食料や飲料を購入したときも、
かなり慎重に、ゆっくりと歩いていた。
はたして本当に山に登れるのかどうか、その姿を見て
ヒドく不安になったのだが、本人がやると言っている以上、
とりあえず、やらせてみるしかあるまい。
それにしても、一体、何をしていて腰をやったのか?と、
聞いてみると、特に何かをしていたわけではなく、
全く突然に腰に痛みが走ったのだという。
……。
むしろそれは、何かやっていて(例えば無理な体勢で
重いものを持ち上げようとしたとか……)腰をやるよりも、
色々と始末が悪いのではないか?
一度、「ぎっくり腰」をやっている状況で、
重ねて「それ」が起きるのかどうかは知らないが、
普通に日常生活を送っていて、
特に原因行動もなく「ぎっくり腰」が起こったとすれば、
これはこの後も、いつ、それが発症してもおかしくはない
ということになる。
そうなると、まったく普通の日常生活の中で、
いつ、「ぎっくり腰」が発症するか、
おびえながら過ごさなければならない、ということになる。

「ぎっくり腰」というのは、正式には「急性腰痛症」といい、
その字の通り、突然、腰に痛みが走る疾患である。
よく、重いものを持ち上げようとしてとか、
無理な体勢で力を入れたら、なんていう話を聞くことがあるが、
そういう「きっかけ」がない場合でも発症することは、
今回の友人の例を見ればわかるだろう。
一般には「ぎっくり腰」の名前で知られているが、
地方によっては「びっくり腰」と呼ばれることもある。
確かにいきなり腰に痛みが走ればびっくりするだろうが、
それをそのまま病名にするというのは、ちょっと違和感を感じる。
ひょっとすると「ぎっくり腰」という名前が広まっていく際、
どこかで「ぎっくり」を「びっくり」と取り違えたのかも知れない。
欧米では、その病態から「魔女の一撃」と呼ばれている。
「ぎっくり腰」に比べれば、随分とシャレた感じである。

定義的には、突然、腰に痛みが走れば
それは「ぎっくり腰」ということでいいようだが、
その痛みの原因となっている症状は、様々である。
腰の筋肉が原因であることもあれば、
腰の骨の関節が原因になっていることもある。
調べてみた所、悪性の腫瘍ができた場合などにも
同じような症状が起こることがあるようで、
まさにその原因については、千差万別という所だろうか。
そのためか、その治療方法についても方法は様々で、
素人判断で治療を行なうのは、あまり好ましくないようだ。
「ぎっくり腰」について取り上げている多くのサイトでは、
共通の対処法として「安静にする」ということが書かれていた。
(一部、無理をしない範囲で体を動かした方がいい、
 というサイトもあった)
多くの場合、友人のように
激しい痛みから動き辛くなるようだし、
ヒドい場合に至っては、まともに起き上がることも
出来なくなるようなので、医者の指示を待つまでもなく、
「安静にせざるを得ない」状況になるようである。
ただ、ほとんどの場合、3日もすれば腰の痛みが治まってくるようで、
そうなるとかえってじっとしているよりも、
体を動かしている方が楽に感じることもあるらしい。
1週間もたてば、体を動かすことに問題は無くなるが、
それでも腰に負担のかかる激しい運動については
まだやらない方がいいらしい。
友人の場合、「ぎっくり腰」をやってから
ちょうど3日目に「氷ノ山登山」に挑んだわけであるが、
少なくとも一緒に登っている感じでは、
体を動かしている方が楽、という風には見えなかった。
そういうことを省みてみると、
歩くこと自体は腰に大きな負担はかけないものの、
大きな段差がある場所を下ったりする場合には、
それなりに腰に衝撃が来ると考えられるので、
やはり今回の件に関しては、
山行を中止しておいた方が良かったのかも知れない。

こうしてみると、やはりなかなかに厄介な「ぎっくり腰」だが、
どうすれば、これを予防することが出来るのだろう?
先にも書いたように、「ぎっくり腰」になるきっかけとしては、
無理な体勢で重いものを持ち上げようとした場合が
良く知られているが、実は重いものを持って
「ぎっくり腰」になる人というのは、
全体の約1割程度といわれている。
では、これ以外、どういう状況で
「ぎっくり腰」になるのか?といえば、

・ちょっとかかんで物を拾おうとした
・くしゃみをした
・後ろを振り返った

などという、全く腰に負担のかかりそうにない、
日常の動作を行なっているときに、発症している。
(何度も例として取り上げている友人の場合も、
 本人が意識していないだけで、
 このような原因があったのかも知れない)
こうなってくると、重いものを持つときに気をつけるだけでは
「ぎっくり腰」を防ぐことは出来そうにない。
ただ、「ぎっくり腰」になった人に多い共通点として、
運動不足などによって、腰の筋肉が落ちてきていたという場合が多い。
体の他の筋肉に比べて、腰の筋肉が著しく衰えている場合、
日常の動作の負担が腰に集中し、
結果として腰の筋肉が「つる」ような状態になることがある。
「ぎっくり腰」のパターンとしては、よくあるものだ。
逆に言えば、普段から適度な運動によって腰の筋肉を鍛えていれば、
当然、「ぎっくり腰」にはなりにくい、ということになる。

実際の話、「ぎっくり腰」というのは年齢に関係になく、
条件さえ揃えば、誰でも発症する可能性がある。
先にも書いたように、腰の筋肉が衰えていると
発症しやすいということを考えれば、
やはり腰(だけでなく全身もだが)の筋肉が衰えてくる
高齢者の方が「ぎっくり腰」になりやすいのでは?と思えてしまうが、
実際に発症する人間の年齢を調べてみると、
20〜50台の働き盛りの年代の方が、
高齢者よりも多く発症している。
これはこの年代の人間が、仕事などによって
重いものを持つ機会が多いことと、
その若さ故に「これくらいなら持てる」と、
自分の力を過信してしまいやすいためであるらしい。

人間、確かに年齢を重ねれば力は落ちてくるが、
決して「若い=力がある」ということではない。
自分の力以上に、自分の力を過信すれば、
その腰に、容赦のない「魔女の一撃」を食らうことになる。

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