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雑感、考察

氷ノ山登山〜その1

投稿日:

ゴールデンウィークを前にして、友人から相談があった。
「ゴールデンウィークに山に登りたいんだが、
 どこかいい山はないだろうか?」
というものである。

この友人とはよく、日帰りで、遠方の山に出かけていった。
鳥取県の大山、愛媛県の石鎚山、徳島県の剣山、
奈良県の大台ケ原、大阪府の金剛山、京都府の比叡山、
兵庫県内であれば六甲山、雪彦山、笠形山など、
それなりに名のある山に登り続けてきた。
だが、ここまで「○○山に登りたい」と、話を持ってきていた友人が、
登りたい山を指名して来ないというのは、初めてのことである。
そのことを聞いてみると、どうやら友人の知っている山のうち、
そこそこ名前の知られた高い山で、日帰りで登れそうな山の候補が
もう尽きてしまったらしい。
兵庫県たつの市から日帰りで登れる山、といえば、
西はせいぜい中国地方、南は四国、
東は大阪・奈良・京都といった所だろう。
なるほど、この範囲の中で、名の知れた山で、
さらに高い山ということになれば、
そこそこの山が出尽くした感がある。

ここで自分が提案した山は2つである。
岡山県の「蒜山」と、兵庫県の「氷ノ山」である。

「蒜山」については、かつて鳥取県の「大山」に登った際、
その帰り道に立ち寄ったことがある。
山の南側には、風光明媚な蒜山高原が広がっており、
ここではその広々とした土地を生かして、
牧畜が行なわれている。
「蒜山ジャージー牛乳」といえば、
全国的に名前を知られた牛乳のブランドであり、
これを原材料にした様々な乳製品が、販売されている。
風光明媚な蒜山高原のバックにそびえたつ「蒜山」の雄大な山容は、
「大山」に登ってきたばかりの自分の登山欲を
いたく刺激してくれた。

そしてもう1つの「氷ノ山」は、我が兵庫県内における最高峰である。
山頂は兵庫県と鳥取県の県境に位置しており、
中国地方の背骨といえる「中国山地」の中では
「大山(伯耆大山)」に継ぐ、第2の高峰である。
兵庫県に住む山好きであるならば、何よりもまず、
第1に登っておかなくてはならない山でもある。
この「氷ノ山」に、全く手をつけようとしなかったのは、
やはり「身近な山」というイメージがあったからだ。
その辺りを友人に聞いてみると、
「氷ノ山」の近くには、他に観光できるような場所がない、
ということであった。

この2つの山についての情報を集め、
どっちの山に登るのか、友人と検討した結果、
今回は「氷ノ山」に登ろう、ということになった。
今回の「氷ノ山登山」に関しては、いつもの友人と2人ではなく、
四国の「石鎚山」に登った際に同行した、別の友人も来ることになった。
日程は5月4日、ちょうど「みどりの日」にあたる。
来るべき「氷ノ山登山」に備え、地図を用意したり、
登山コースを調べたりして、登山計画は次第に形になっていった。

「氷ノ山登山」を2日後に控えた5月2日、
とんでもない話が飛び込んできた。
友人が「ぎっくり腰」になり、鍼灸院で治療を受けているという。
さすがに「ぎっくり腰」では、山に登るのは無理だろう。
今回の山行は中止かなー、などと考えていると、
友人はどうやら山行を中止するつもりはないらしい。
そのやる気については評価をするが、現実問題として、
「ぎっくり腰」をやってからわずか2日後に
山に登ることが、果たして出来るのだろうか?

その翌日、「石鎚山」に同行していた友人から
急用が出来たため、「氷ノ山登山」に参加できない旨が伝えられた。
こうなると、当日のメンバーは「ぎっくり腰」上がりと自分、
ということになる。

登山前日に、タップリと食事を摂り、
しっかりと登山準備をしていたのだが、いざ登山当日、
朝、目が覚めてみると、どうも頭が重い。
体自体は充分に栄養が行き渡り、文句ない仕上がりなのだが、
肝心の頭がどうもすっきりしない。
まるで寝不足みたいな頭の重さである。
ことによると、前夜、思ったほどしっかりとは
眠れていなかったのかも知れない。
とりあえず、簡単に朝食を済ませ、
友人が迎えにくるのを待っていたのだが、
どうにも頭の重さがとれてくれない。
途中、昼食用の弁当を買う際に、頭がスッキリするようにと
ブラックコーヒーを買って飲んでみたのだが、
どうも効果は上がらず、頭は重たいままである。
仕様が無いので、登山口につくまでの間、
車の中でわずかな時間でも睡眠を取ることにした。
目的地まではナビがガイドしてくれるため、
横でナビゲーションをする必要はないのだが、
さすがに友人が運転している横で寝るのは、少々決まりが悪い。
しかし、体調を戻しておかないと、山に登る際、
えらいハンデを背負ってしまうことになる。

シートを倒し、ウツラウツラとしているうちに、
車は氷ノ山氷ノ越登山口近くの駐車場についた。
エイヤっと起き出し、車から出て見るが、
マズいことに頭の重さは消えていない。
重い頭のまま、これから登っていく「氷ノ山」の山容を見て驚いた。
まだまだ氷ノ山の山肌には、所々雪が残っていたのである。
陽のあたりにくい場所では、駐車場の近くでも雪が残っている。
「氷ノ山」について事前に調べた際、
登山適期は5月下旬~となっていたのだが、
これは、それくらいの時期にならないと
雪が無くならないということなのだろう。
若干は、雪が残っていることを覚悟していたが、
パッと見た感じ、残っている雪の量は自分の予測より遥かに多い。
思わず「ウーム」と唸ってしまった。

今までに何度も山に登ってきたが、
今回ほど不利な条件が重なっているのは初めてである。
頭が重く、かすかだが吐き気すらしている自分。
2日前に「ぎっくり腰」をやったばかりの友人。
思った以上に雪の残っている山。
もちろん、自分も友人も雪山の経験はゼロである。
装備も雪山装備ではなく、全くのハイキングスタイルだ。
「撤退すべきか?」と悩んだが、自分たちと同じように
「氷ノ山登山」にやってきた登山客の姿を見てみると、
誰も雪山装備をしていない。
ということは、登山コースには
ほとんど雪は残っていないということだろうか?
友人を見てみると、買ったばかりのダブルストックを手に、
山に登る気、充分である。
自分にしても頭は重いものの、体の方はすこぶる調子がいい。
事前に調べてみた所によると、
自分たちが登ろうとしている「氷ノ越コース」は、
小学生でも登れる、初心者向きのコースだという。
ひょっとすると、体を動かして山に登っているうちに
頭の重さもなくなるかも知れない。
そう考えた自分は、リュックを背負い、
友人と一緒に登山口に立った。

これが、想像以上に過酷な「氷ノ山登山」の始まりであった。

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