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雑感、考察

播磨アルプス

投稿日:

ぼちぼちと寒さが緩み始めた2月の下旬、
友人から「播磨アルプス」に登りたい、と話を持ちかけられた。

「播磨アルプス」といっても、どこのことだか
よく分からない人もいるだろう。
「播磨アルプス」とは、播磨富士とも呼ばれる
「高御位山(たかみくらやま)」を主峰とし、
高砂市の鹿島神社と北山鹿島神社を取り囲むように
馬蹄型に連なる山々の総称である。
主峰である「高御位山」は、加古川市と高砂市の境に位置しており、
どちらの町からしても最高峰ということになっている。
こういう風に書くと、結構な高さのある山を
イメージしてしまうかもしれないが、
標高は304m(データによっては299m)しかなく、
お手軽に登ることの出来る、ほどほどの高さの山である。
今回の誘いは、この「高御位山」に登ろう、ではなく、
「播磨アルプス」に登ろう、という誘いだったことからも分かるように、
この馬蹄型に伸びる山々を、縦走しようという話であった。

実は、過去に一度、同じ友人と一緒に、
この「播磨アルプス」に挑戦したことがあった。
(ちなみにそのときは、「播磨アルプスに登ろう」ではなく、
 「高御位山に登ろう」という話だったのだが、
 結局、鹿島神社横の登山口から入山したので、
 結果的に「播磨アルプス」縦走に挑戦したことになるのだが……)
そのときは、尾根歩きの途中で友人がバテてしまい、
「馬の背」と呼ばれるルートを使って途中下山したのだが、
今回の挑戦は、そのときのリベンジという意味合いもあるらしい。
(自分自身は、1人で登ったことがあるので、
 リベンジというワケでもないのだが……)

2月某日、登山口近くの駐車場に車を停めて、
大きな鳥居をくぐり、鹿島神社の参道を歩いていく。
この鹿島神社は、1月中は初詣の参拝客で人が溢れ返っているのだが、
さすがに2月の下旬ともなると、それほどの人出は無くなっている。
その代わり、といっては何だが、高校生や中学生などが、
両親と一緒に受験の志望校合格祈願にやってきていて、
そういった家族連れの姿が多く見られる。
その家族連れに混じり、色鮮やかな登山ウェアを身に着けた
登山者たちが、これまた同じように参道を神社に向かって歩いていく。
彼らは自分たちと同じ、鹿島神社横の登山口から
「播磨アルプス」に登ろうという登山者たちである。
標高300mという高さからしても、それほどガチガチに
登山装備で身を固める必要はないと思うのだが、
意外としっかりとした装備の登山者たちが多い。

神社で登山の無事をお祈りした後、神社脇の登山口から山に入る。
といっても、序盤は傾斜も緩やかな道なので、
スイスイと進んでいける。
しばらく、木々の中を進んでいくと、ある高さまで来た所で、
木がほとんど無くなり、見晴らしが良くなる。
高山なら「森林限界」を越えた、ということになるのだが、
標高300mしかない「高御位山」に、
「森林限界」があるワケがない。
実は、この「高御位山」を主峰とする「播磨アルプス」は、
2011年の初めに山火事が起こり、南側斜面が焼けてしまった。
当時のニュースによれば、焼けた山林の面積が119haにも及ぶ
大規模な火災だったようである。
このため、山の尾根辺りから麓近くまで、
ほとんどの山肌が露になってしまっている。
山火事から6年以上の期間が過ぎているが、
まだまだ木々の再生は進んでおらず、人間の手で植えられた苗が、
わずかに育っているだけである。
そのため、この「播磨アルプス」では、300mまでの高さの
山の斜面のほとんどが地肌のままという、痛々しい姿なのである。
(ただ、急な傾斜の斜面が露出しているため、
 それほど標高のない山であるにも関わらず、
 かなりの高度感を感じさせてくれるが……)

ともあれ、木々が無くなってすぐ、
目の前にはコンクリート製の展望台が現れる。
まだまだ山の中腹なのだが、設置してある場所のせいか、
ある程度の見晴らしを楽しむことが出来る。
ここで休憩を取っている登山者もいて、
1つの休憩ポイントになっているらしい。
ここからは、巨大な一枚岩の登り坂になっており、傾斜もきつい。
ちゃんと一歩一歩、足場を確認しながら登っていく。
もし、ここで下手に転ぶようなことがあれば、
そのまま100m以上、岩肌を転がり落ちることになるかもしれない。
ちょうど北方向に向かって尾根を登って行くことになり、
ある程度登ると、姫路の町並みが広がっているのが見える。
この急登を登り切ってしまえば、後はここ以上にキツい場所はない。
急登を登り切った所で、岩肌に腰を下ろし休憩を取る。
東側下方には、登山口のあった鹿島神社の社がある。
ここから先は東側に向かって、稜線が大きく弧を描いている。
この稜線を登ったり下りたりしながら進んでいけば、
その一番奥が、「高御位山」ということになる。

この「播磨アルプス」の稜線、いくつかのピークがあるのだが、
地図で確認した所、ちゃんと名前がついているのは、
「高御位山」を含めて、3つだけであった。
(あくまでも鹿島神社から「高御位山」までの
 稜線上での話だが)
鹿島神社のちょうど北側にあたる「鷹の巣山」と
「高御位山」のすぐ西側にある「長尾奥山」の2つを越えて、
「高御位山」山頂を目指すことになる。
稜線歩きというと、ほぼ水平方向への移動だと
思われるかもしれないが、
実際には登ったり下ったりを繰り返しながら、
先に進むわけで、今回の「播磨アルプス」縦走では、
全行程で500m超の登りがあった。
「高御位山」の標高は304mなので、
残りの200m程は、この稜線歩きの中で登ったことになる。

はるか稜線の彼方に見える「高御位山」山頂を目指し、
1つ、また1つと、ピークを越えて前に進んでいく。
南側には播磨平野と播磨灘が広がり、
北側には中国山地から続く山々が連なっている。
空は雲1つなく晴れ渡り、南からは暖かい風が吹いてくる。
春も近いこのころの気温を「三寒四温」というが、
今日はどうやら、その「温」の方らしい。
前回、友人が縦走途中でバテてしまったことを省みて、
今回はこまめに休憩を挟むようにする。
幸い、どこで腰を下ろしてみても、
そこで展望を楽しむことが出来る。
不謹慎な言い方になるが、山火事で木々が無くなってしまった
ケガの功名といえるかも知れない。
鹿島神社横の登山口から登山を開始して1時間30分ほどで、
無事、「高御位山」の山頂を踏むことが出来た。

「高御位山」の山頂には、「高御位神社」がある。
山上のため、決して大きな神社ではないのだが、
すぐ傍には、小さいながらも社務所が併設されており、
お守りなどの販売も行なわれているようだ。
(登山客(参拝客)の多い、休日のみかも知れないが……)
自分たちが登ったときには、お昼時だったこともあり
お弁当を広げている登山客も多かった。
うららかな小春日和に、眺めの良い山頂で食べる昼食は
きっと格別だろう。

さて、充分に山頂を満喫したら、後は下山である。
先ほどまで歩いてきた稜線を西に向かって進んでいき、
ちょうど市の池公園の東側に伸びている尾根を伝い、下山する。
ちょうど火事で焼けてしまった南斜面を、下っていくわけだ。
尾根から麓近くまで、ほとんど木が生えていないため、
かなりの高度感があり、足がすくみそうになるが、
一歩一歩、足場を確かめながら下っていく。
無事、下山できたのが午後1時ごろだったので、
下りの方は、1時間ほどしかからなかったことになる。

この「高御位山」に登るたびに、
その焼け跡から、山火事について考えさせられる。
自分は煙草を吸わず、アウトドア用のコンロなども使わないので、
登山中には一切の火気を持っていない。
だから、山火事を起こしてしまうようなことは無い、と
思ってはいるが、誰かが起こした山火事に、
巻き込まれてしまうということはあるかも知れない。
そういうことにならないためにも、
山で火を扱う人々には、細心の注意を持ってもらいたいと
願う次第である。

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