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大台ケ原〜その4

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By: merec0

「大台ケ原」の絶景ポイント、「大蛇嵓」を後にした我々は、
再び慎重な足取りで分岐点まで戻り、
「東大台」周遊コースへと戻っていった。

これまで「東大台」で回った場所は、
「日出ヶ岳」、「正木峠」、「正木ヶ原」、「尾鷲の辻」、
「牛石ヶ原」、「大蛇嵓」である。
主だったポイントはひととおり回り、
残るは「シオカラ谷吊り橋」のみとなった。
現在位置である「大蛇嵓」への分岐点から、
出発地点である「大台ケ原」駐車場までは、一本道であり、
残る1つの「シオカラ谷吊り橋」は、そのルートの途中にある。

分岐点を後にした我々は、道に沿って進み始めたのだが、
どういうわけか、これまできれいに整備されていた道が、
かなり荒れ気味な道に変わった。
道には、大小の石がゴロゴロと転がり、
階段や木道などの設備は何もなくなり、
全く手入れをされていない、自然そのものの道のようになった。
道自体は全体的に緩やかな下り坂なのだが、
場所によっては段差の大きい場所や、鎖場などもある。
もっとも、自分も友人も、それなりに場数は踏んでいるので、
今更、少々道が悪くなった所で、慌てる様なこともない。
うっかりと転んだりしないよう、身長に足を運びながら、
荒れた周遊コースを進んでいった。

しばらく行くと、下の方から水音が聞こえて来た。
ここまで「大台ケ原」には、川らしきものは見当たらなかったので、
初めての川ということになる。
恐らくは、川の流れている所が「シオカラ谷」で、
その谷を渡るために「吊り橋」がかけられているのだろう。
水音のする方向へと山肌を下りていくと、
目の前に小さな吊り橋が現れた。
吊り橋といっても、基礎をコンクリートで固め、
鉄骨とワイヤーで組み上げられた、近代的なものだ。
この吊り橋を越えてしまえば、あとは「大台ケ原」駐車場まで
特に見ておかなければならない様なポイントもない。

ここで不意に、まだ弁当を食べていなかったことを思い出した。
時間的には、まだ11時を少し回ったくらいだったので、
昼食を摂るには、まだ早かったのだが、
ここで弁当を食べておかないと、
駐車場に戻ってから、弁当を食べるハメになる。
せっかく「東大台」の大自然の中にいるのだから、
出来れば昼食も、その大自然の中で食べたい。
この「シオカラ谷」で弁当を食べることにした我々は、
吊り橋の横から、谷川へと下りていく道を見つけた。
さすがに登山客が行き来する吊り橋の上では、弁当は食べられない。
自分と友人は、河原へと下りていき、
乾いた岩の上に腰を下ろし、弁当を広げた。
何か、「奈良」ならではの弁当でも用意できれば良かったのだが、
残念ながら我々の弁当は、来る途中のSAで買ったコンビニ弁当だ。
それほどボリュームのあるものを
買ったわけではなかったので、
いざ、弁当を食べ始めると、ものの10分足らずで平らげてしまった。
ちょうど足下を流れている谷川の水は透明度も高く、
キリリと冷えていて、いかにもウマそうだったのだが、
さすがに大自然の生水を、そのまま飲むわけにもいかない。
地図上では「大台ケ原」駐車場まで、
後、40~50分ということらしいが、
腹を壊していては、この道のりが非常に大変なものになる。
仕様がなしに、同じようにコンビニで購入した
缶コーヒーを飲んで済ませた。

自分と友人が食事を終え、河原からコースに戻ろうとすると、
同じように河原へ下りて来る家族連れとすれ違った。
見た所、自分たちと同じように
「日出ヶ岳」の方から回って来たわけではなく、
駐車場の方向からやってきたようだ。
我々とは逆回りで、周遊コースを回るつもりらしい。
昼から回るということになると、
夕立などに遭遇する危険性は高くなるだろうが、
ひょっとしたらきれいに霧が晴れて、
「日出ヶ岳」山頂からの大展望も、楽しめるかも知れない。

家族連れと行き違った我々は、吊り橋を渡り、
「大台ケ原」駐車場へ向けて歩き始めた。
この「シオカラ谷吊り橋」から「大台ケ原」駐車場までは、
ずっと登り坂になっている。
傾斜自体はそれほどきついわけでもないが、
なんといっても、ここまでかなりの距離を歩いて来て、
身体には疲労がたまっている。
友人などは、かなり前から膝の痛みを訴えており、
この最後の登り坂は、かなりキツいようだ。
我々はラストのこの登り坂を、
マメに休憩を入れながら進んでいった。

我々がスタート地点である、「大台ケ原」駐車場についたのは、
正午より少し前であった。
周遊コースへ入ったのが、8時15分くらいだったので、
3時間半ほどで、コースを回って来たことになる。
駐車場には、朝よりも多くの車が停まっている。
我々の後にも、多くの登山客が車で上がって来たのだろう。
朝には開いていなかった、ビジターセンターや土産物屋、
食堂などが営業を行なっていた。
せっかくだからということで、我々は土産物屋に入り、
「奈良」土産を物色してみたのだが、
どういうわけか、これぞ「奈良」というような、
決定的なものがない。
大根や山菜の漬け物などは、どこに行っても置いているものだし、
コンニャクも「奈良」というイメージとはほど遠い。
「三輪素麺」も置いてあったが、
そうめんの里・龍野から来ているのに、
素麺を土産に買って帰っても、仕様がないだろう。
唯一、「奈良」らしいなと思ったのが、
吉野葛をつかったお菓子類や、葛きりであった。

自分は併設してある食堂の方を覗き、
何か「奈良」らしいメニューはないものかと探してみたが、
あるのは、天ぷらソバやきつねうどん、カレーライスなどの
ありきたりなものばかりであった。
1つだけ変わっていたのが、うどんやソバに、
「柿の葉寿司」をセットにしたものが、置いてあった所だ。
「柿の葉寿司」というのは、酢飯とサバ、鮭などの身肉を合わせ、
柿の葉で包み、押しをかけたものである。
柿の葉で寿司を包むことにより、保存性が高まるという。
もちろん、食べる際には柿の葉を外す。
「奈良名物」と言い切りたい所なのだが、
柿の葉寿司を名物にしている所は、
奈良県の他にも、和歌山県や石川県などがあり、
他に類を見ない、奈良県ならではのもの、とは言い難い。
紀ノ川上流が発生の地、とされていることからも、
本来的には、和歌山県で作り出されたものが、
奈良へと伝えられたものだろう。
サバにしろ、鮭にしろ、奈良では手に入らないものなのだから。

ともあれ、ほんの数十分前に弁当を食べたばかりなのだから、
さすがに何か食べよう、という気にはならなかった。
土産物屋から外に出ると、大台ケ原ドライブウェイの方から、
自転車に乗った一団が上がって来た。
それぞれ、自転車様のヘルメットをかぶり、
ピッチリとしたサイクルウェアに身を包んでいる。
ひょっとして、20kmほど続くあの道を、
自転車に乗って上がって来たのだろうか?
上がって来た一団は、銘々に自転車を降り、身体を休めている。
さすがに、これから「東大台」や「西大台」の
周遊に出るということはなさそうだ。
調べてみた所、毎年9月には
「ヒルクライム大台ケ原」と銘打たれた自転車レースが
行なわれているらしい。
この自転車の一団は、その大会の練習をしているのかも知れない。

我々は車に戻り、下山を開始した。
登って来るときには、「大台ケ原」一帯は
深い霧に包まれていたのだが、
さすがに昼過ぎともなると、霧はほとんどが晴れて、
見通しはかなりクリアになっている。
(それでも一部、霧(雲?)が残っている辺り、
 「大台ケ原」の湿度の高さを感じさせてくれる)
すっかりと霧の晴れた大台ケ原ドライブウェイは、
周りに連なる、紀伊山地の1500m級の山々を見渡せる。
まるで、天空の道である。
大台ケ原ドライブウェイには、
所々に車を停車できるスペースが用意されており、
そこに車を停車して、遥かな紀伊山地の山並みを眺めることが出来る。
まさに、絶景の休憩ポイントなのだが、
これらの休憩ポイントには、ガードレールが整備されておらず、
謝って車で突っ込んでしまえば、そのまま山の急斜面に飛び出して、
数百mを転がり落ちることになる。
まさに死と隣り合わせの、休憩ポイントといえる。
アクセルとブレーキを踏み間違える様な、うっかり者は、
来ない方がいいかも知れない。

さて、これまで4回に渡り、7月の連休中に行った
「大台ケ原山行」を、レポート風にまとめてみた。

「大台ケ原」は、世界でも有数の多雨地帯であり、
この大量の雨が、湿潤な気象を生み出し、
それが独特の原生林を形成している。
まさに、他では見ることの出来ない、独特の環境である。
交通の不便な場所にあり、
アクセスには結構な時間がかかってしまうが、
近畿圏の山に登る以上は、やはり一度は行っておきたい山でもある。

ただ、先にも書いた通り、
非常に雨の多い地帯になっているので、
出かける際には、雨具や着替えの準備だけは、
特に念入りにやっておく必要があるだろう。

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