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コンボイ

投稿日:

By: Gobi

アニメやマンガの「実写化」には、
見るも無惨な作品が多い。

具体的に作品名を挙げるのは、色々と憚られるので、
「そこ」については沈黙を守ることにするが、
「実写化」されたアニメやマンガのうち、
半分ほどはとんでもない駄作、
いわゆる「地雷」だと考えても良い。

アニメやマンガというのは、時に並外れた想像力で持って
作り上げられることが多いため、
作品によっては、「実写化」が非常に困難であったりする。
しかし、各種特撮技術の上昇や、CG技術の上昇によって、
従来では「実写化」が不可能だと考えられていたような作品も、
最近では積極的に「実写化」されている。

こういう場合、日本国内の作品を、
同じ日本国内のスタッフが「実写化」する場合と、
外国の、たとえばアメリカ・ハリウッドなどで
「実写化」される場合と、2通りのパターンがある。
もっとシンプルに言えば、
原作を作ったのと同じ国で「実写化」されるパターンと、
原作を作ったのとは別の国で「実写化」されるパターンだ。
このふたつを比べてみると、やはり後者の方が、
原作のイメージを損ねてしまうことが多い。
この辺りは、原作を作った者と、
それをもとに「実写化」する者との間に、
文化的な背景の違いが存在しているからだろう。

「実写化」ではないという点で、
ここで取り上げる例としては、やや場違いであるが、
アメリカにおける「ゴジラ」の映画化を見れば、
その辺りのことが分かりやすい。
1998年、初めてハリウッドにて作製された「ゴジラ」は、
日本のそれとはかけ離れたデザイン、特性を持つモンスターで、
「怪獣」という、日本で生まれた「モノ」とは、
全く違ったものが作り出されていた。
これは完全に自分の勝手な分析になるが、
恐らく「あれ」を作ったスタッフたちは、
怪獣「王」というものについて、
しっかりと理解をしていなかったのではないか?
「王」は、攻撃を軽快に躱したりしてはいけない。
「王」とは、攻撃を受けてもまるで堪えず、
平然と、悠然として立っていなければならない。
攻撃が「あたらない」のが「王」なのではなく、
攻撃が「効かない」のが「王」なのである。
建国当初から民主国家であり、
歴史上、「王」という存在を知らなかったアメリカ人には、
意外と理解しにくいものなのかも知れない。
もっとも2014年に作製された「ゴジラ」では、
この点についてしっかりと理解した上で、
作られていたように感じる。

ともあれ、ここで言いたいのは、
「実写化」の難しさであり、原作の本質的な点を外しては、
まったく「別」のものになってしまうということである。
だからこそ、好きなアニメやマンガが「実写化」されるときには、
大きな期待と、それよりもさらに大きな不安を
抱えることになるのである。

だから、ハリウッドで「トランスフォーマー」が
「実写化」されるという情報を聞いたときには、
大きな期待と、大きな不安を感じたものだ。

前回、書いたように、「トランスフォーマー」は、
元々、アメリカで作製されたアニメである。
さらに当時の子供たちは、
アメリカで作製されることによる、
一種の「異質」さに魅かれていた、とも書いた。
だからこそ、アメリカで「トランスフォーマー」が
実写化されるとなったとき、
意外に期待も大きかったのである。
だが、主人公のロボットが発表されたとき、
その「オプティマス・プライム」という名前を見て、
え?誰?アンタ?と混乱することになった。
そう、主人公の名前が「コンボイ」ではなかったからである。
(オプティマス・プライムは、コンボイの英語名である。
 アメリカでは、アニメの第1作目でもコンボイではなく、
 オプティマス・プライムであった)
さらにいえば「オプティマス・プライム」のビジュアルも、
「コンボイ」の面影こそあるものの、
やたらゴチャゴチャとしていて、
あのスッキリとしたデザインとは、
かけ離れたものだったのである。

「トランスフォーマー」において、
「コンボイ」の存在感は凄い。
第1作「トランスフォーマー」においては、
サイバトロンの総司令官であり、
物語の中では、重要な位置を占めているキャラクターだった。
凄まじいキャラクター数を誇る、
トランスフォーマーたちの中で、
もっとも有名なキャラクターこそが「コンボイ」である。
日本で最初に放映された5シリーズの中では、
第1作目では、主人公に近い扱い(明確な主人公はいないため)、
第2作、第3作では、
存在感のあるゲストキャラクターとして登場した。
第4作では、「コンボイ」こそ出なかったものの、
彼に瓜二つの「ジンライ」が主人公を務め、
第5作ではその「ジンライ」が
ゲストキャラクターとして登場した。
つまり最初の5シリーズでは、上半身が赤く、
顔と足の青い、このトレーラーロボットが、
番組内に必ず出ていた、ということになる。

だが、それだけではない。
「トランスフォーマー」の公式ホームページにある
歴代司令官というコーナーを見てみると、
23体の司令官が紹介されており、
そのうち18体が「コンボイ」(オプティマス・プライム含む)
なのである。
さらに残り5体のうち、1体は「コンボイ」の名がついており、
1体は「コンボイ」と同じデザインである。
恐るべき「コンボイ」率といえる。
いかに「トランスフォーマー」シリーズにおいて、
「コンボイ」が重要なのかが、伺い知れよう。
この18体の「コンボイ」を見ていると、
そのデザインの多様性に驚く。
初代「コンボイ」にそっくりなもの。
どことなく「コンボイ」の面影があるもの。
ほとんど「コンボイ」の面影が残っていないもの。
お猿さんに良く似た「コンボイ」。
完全な猿。
……。
いやいやいや、最後のふたつは一体、何だ?
という声が聞こえてきそうだ。
お猿さんに良く似た、というのも大概だが、
完全な猿って「コンボイ」でも、何でもないだろう。
だが、公式ホームページには間違いなく、
猿「コンボイ」と、ただの猿が載っているのである。
「ビーストウォーズ」というシリーズの中では、
ロボットたちが動物っぽいデザインになっており、
その中で「コンボイ」は、猿のような姿になっているのである。
自分が「トランスフォーマー」から離れてから数年後、
一体、シリーズに何が起こったのだろうか?

さて、「実写化」された「トランスフォーマー」。
主人公の「コンボイ」改め「オプティマス・プライム」は、
アニメのようなシステマチックな変形ではなく、
一種の分解・再構成のような過程を経て、
「トランスフォーム」する。
パッと見た感じでは、「トランスフォーマー」というよりは、
「ゲッターロボ」のようにも見える。
出来上がったロボット形態にしても、
スッキリとしていないので、ちょっと違和感がある。
これでは、変形ギミックを搭載した玩具が作れないのでは?
とも思うのだが、
実際に変形ギミックを持った玩具が販売されている。
動画サイトなどには、
この玩具をロボット→トレーラーへと
変形させる動画もあるのだが、
あまりにも複雑すぎて、
まるで高度なパズルをみているようである。

はたして、最近の子供たちは、
このロボット玩具を「トランスフォーム」させることが
できるのだろうか?

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