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庭にイタチがあらわれた!

更新日:


うちの庭に、小さな畑がある。

以前にキクイモを育てていた畑なのだが、
他に何かを育てているというわけでもなく、
そこそこ肥えた土が、放置されているだけだ。
そんな畑の一角に、枯れた草を積み上げた場所がある。
庭に生えた草を抜いて、そこに積み上げてあるのだ。
いちいちゴミ袋に詰めて、ゴミとして出していては、
ゴミ袋がいくつあっても追いつかない。
その点、畑の隅に積み上げておけば、
いつの間にか、かさが減っていき、腐葉土のようになる。

ところが、これが荒らされた。

ある日の朝、庭に出てみると、
この積んである枯れ草が掘り返され、
辺りに散らばってしまっている。
枯れ草の下の、土を掘り返した跡が見て取れた。
とりあえずは、散らばった枯れ草をかき集め、
元通りに積み直しておいたのだが、
2~3日後、また同じように掘り返されていた。

これが一体、何者によるものなのか、
掘り返された跡を見ているだけでは、
さっぱりわからなかった。
そのため、猟師をしている友人のところに相談に行くと、
狐か狸、イタチではないか?ということだった。
この友人は、わな猟用に暗視カメラを持っているので、
これを設置してもらって、犯人の姿を捉えようとした。

が、カメラを設置してもらう前に、
ひょんなことから犯人の正体が分かった。
朝、起き抜けに家の窓から畑を覗いてみると、
そこに1匹のイタチがいた。
サッシ窓越しに見ているせいか、
こちらには気づいていない。
ただ、やはり何かの気配を感じるのか、
上半身を起こし、きょろきょろと辺りを見回している。
やがて家の中から自分が見ていることに気づき、
恐ろしいスピードで逃げ出してしまった。

畑に行ってみようと裏口を開けると、
納屋の中にまとめておいたゴミ袋が破られ、
その中身が漁られていた。
恐らく、これも「奴」の仕業だろう。
とりあえず、そのまま畑に行くと、
やはり積み上げた枯れ草がまき散らされ、
その下の土が掘り返されていた。
多分、ミミズを狙ったものだろう。

たつの市の郊外を、自転車などで走っていると、
たまにイタチの姿を見ることが出来る。
野良犬や、野良猫が駆除されて、
その姿を見なくなって以降、目にする機会が多い。
また、山歩きなどをしていても、
人里に近い谷川筋などで、イタチを目撃したこともある。
どうもここの所、イタチはその数を増やしつつあるようだ。

イタチは、ネコ目イタチ科イタチ属に属する、
小型のほ乳類だ。
イタチの仲間には、オコジョ、イイズナ、ミンク、
ニホンイタチなどがいる。
日本をはじめとするユーラシア、アフリカ、
南北アメリカなど、亜熱帯から寒帯まで、
ほぼ世界中に分布している。
オス、メスで、身体の大きさが異なっており、
オスは体長30~40cmほどもあるが、
メスは体長15~20cmほどに過ぎない。
体毛は橙を帯びた茶色で、下面も同色である。
人家付近に多く出没し、水辺を好む。
主な食べ物は、ネズミ、ヘビ、カエルなどで、
必要以上に、殺すことを好む傾向がある。
場合によっては、血を吸い、脳をかじるだけで
残りは捨ててしまうようなこともする。
わりと愛らしい見た目からは想像できないほど、
凶暴な一面を持っているのだ。
イタチは自分よりも身体の大きい、
ニワトリやウサギなども襲い、
これを補食することもある。
そのため、これらを飼っている人にとって、
イタチは脅威だ。

さらにイタチはピンチに陥ると、
肛門腺から悪臭を放つ液を出し、身を守ろうとする。
これがいわゆる「イタチの最後っ屁」である。
何となくスカンクを思い浮かべてしまうが、
スカンクは同じネコ目(食肉目)であっても、
スカンク科に属している。
ただスカンクも、スカンク科に分類される前は
イタチ科に属しており、
イタチに近い生物であるのは間違いない。

日本では、古来よりイタチは妖怪の一種とされていた。
江戸時代に書かれた「和漢三才図会」によれば、
イタチの群れは火災を引き起こす、とある。
また、新潟県などではイタチの群れが騒いでいる音を、
複数人で臼を搗く音になぞらえて、
「イタチの6人搗き」と呼び、
家が栄えたり、衰えたりする前兆とした。
良いことも、悪いことも、起こるとされている所から、
何らかの「変化」が起こると、捉えていたようだ。
狐や狸と同じように、「化ける」とも信じられていた。
このことから考えてみるに、
狸や狐と同じように、半獣半妖とみていたのだろう。

イタチは主に、その毛皮を利用する。
ミンクの毛皮などは、高級品として知られてている。
また、その毛は毛筆に最適とされ、
イタチの毛を使用している毛筆は、高級品である。
その反面、肉の方はあまり食べられることがない。
いくつか調べてみた所、普通に食べると臭みがあるらしい。
そういえば「最後っ屁」などという、
必殺技(?)を持っている所など、
どことなく臭いそうなイメージはある。
よく考えてみれば、
イタチは先に書いたように肉食獣である。
肉食獣は臭い、と言われることがあるが、
その典型的なものかもしれない。

ただ、肉食獣である以上、一般の農家などにとっては、
農業被害を出さない動物、ということになる。
むしろネズミなどの、
農業被害を起こす動物を食べてくれるので、
イタチは「益獣」とされている。
しかし実際の所、イタチには臭いがあるので、
家の中などに住み着かれた場合、糞尿などもあわせて
臭いの被害が出ることになる。
そうなると当然、「駆除」ということになるのだが、
実はイタチというのは「鳥獣保護法」にひっかかっている。
狩猟免許があれば、オスのイタチは狩猟対象になるが、
雌のイタチは狩猟対象外だ。
これを駆除するためには、許可が必要になってくる。
なんとも面倒な話だ。
そのため、イタチの駆除をする業者は意外と多い。
イタチの被害に困っているようなら、
業者への依頼するのもひとつの方法だ。

さて、うちの畑を荒らしていたイタチだが、
現在の所、被害は再発していない。
このままいなくなってくれれば良いが、
うちに住み着くようなことになれば、
何らかの方法を考えなければならない。

そんな面倒なことにならないよう、祈るばかりである。

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