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ガラスの色

更新日:

子供が絵に「ガラス」を描く場合、
そこを水色に塗ることが多い。

本来、「ガラス」というのは透明なものなのだから、
それを表すのに、水色を塗るというのは、おかしいような気がする。
まあ、だからといって、透明だから何も塗らないというのであれば、
それはそこに、「ガラス」どころか、
何も存在していないことになってしまう。
これは、他のガラス製品についても、同じことである。
絵画のモチーフに、ガラス製のコップや瓶などが使われることがあるが、
本来透明であるはずのものに、色を塗るというのは、
なんともおかしなものである。

実際にガラスのコップを用意して、これをよくよく観察してみると、
ガラスは透明なので、コップの向こうが透けて見えているのだが、
だからといって、コップが全く見えないということはあり得ない。
ガラスを透かして見える、向こうの景色は
何もない景色と比べると、色も形も微妙に違っている。
さらに良く観察してみると、コップの縁などには電灯の光が反射して
白く輝いている部分もあるし、コップの底部分や、サイドの部分などは、
白や灰色に見える部分も多い。
このようなガラスのコップを絵に描く場合、
透けて見える、向こうの景色の色や形の違いをキチンと描き、
電灯が反射している白い部分もキチンと描き、
コップの底やサイド部分など、ガラスの厚みのある部分では
白や灰色になっている部分を、きっちりと描き出さねばならない。
これらを忠実に描いていけば、
きっと本物と見まごうくらいの、ハイレベルな絵が描けるだろう。

もちろん、そこまで忠実な絵は、子供たちには描けない。
大人にしたって、そこそこ絵心のあるものでなければ、
ガラスコップの様な、透明なモチーフを描くのは難しいだろう。
しかし、忠実に描けないからといって、
そこにあるガラスを、描かなくていいということにはならない。
子供たちの場合、図画工作の時間に絵を描く、ということになった場合、
どうしてもガラスを描かなければならない場合がある。
例えば、建物などを描く場合、
そこにあるガラスの窓を描かなければ、
非常に不自然な絵になってしまう。
そういう場合のごまかし方の1つが、
ガラスの部分を水色に塗るというものである。
子供が、ガラス窓のある建物の絵を描いた場合、
このガラス窓の部分は、そのほぼ全てが水色に塗られている。
これは、ここの部分にはガラス窓がありますよ、という
一種のお約束的な、絵画表現といってもいいだろう。

では、どうして「ガラス」を水色で表現するのか?

まず、一番最初に書いておかなければならないことは、
ガラス本来の色は、透明ではないということである。
では、ガラス本来の色は?ということになるのだが、
これが青緑色をした、水色に近い色なのである。
たとえば、一見、透明に見えるガラスの板などを
サイド方向から見た場合、グレーのような色に見えるものと、
薄い青緑色に見えるものがある。
そう。
この薄い青緑色に見えるガラスは、全く色の調整をしていない
無調整のガラスで、パッと見には透明に見えるが、
実はよくよく見てみれば、薄い青緑色をしているのである。
子供がガラスを絵で描く際、これを水色に塗るというのは、
実はこのガラス本来の色から来ている絵画表現なのである。
(子供がそのことを知っているかどうかは別にして)

もともとガラスの原料には酸化鉄が含まれており、
これを普通に加工すると、青緑色のガラスが出来上がる。
色のついていない、透明なガラスを作るために、
現在では酸化鉄をあまり含んでいない材料を使い、
さらにガラスを赤く発色させるセレンなどを加えて、
ガラス本来の青緑色を打ち消している。
絵の具の調合であれば、青緑に赤を加えて混ぜると、
鮮やかさを失い、黒に近いグレーに変色するのだが、
ガラスの場合は、同じように色味を失い、
白(透明)に近いグレーへと変色する。
これは顔料などを混ぜる場合の減色反応と、
光を混ぜる場合の加色反応の違いである。
色付きのガラスの色の混合の場合は、
光と同じ、加色反応となる。
もちろん、これは混ぜる発色材料の量によって
しっかりと青緑色が打ち消せなかったり、
あるいは赤い色が強く出過ぎたりするため、
かなり微妙な調整が必要となってくる。
だから昔は、透明のガラスを作るというのが、
もっとも難しかったのである。

現在、ガラスといえば「透明」なものが圧倒的に多くなっているが、
かつては先述の理由から、色のついているガラスの方が多かった。
現在でも、ビール瓶などは茶色をしているが、
あれは原料の酸化鉄と硫黄を反応させて、
それをカーボンで固定することによって作り出されている。
この他にも酸化コバルトを加えた「青」、
酸化銅を加えた「スカイブルー」、
酸化クロムを加えた「グリーン」、
酸化マンガンを加えた「紫」などがある。
昔は、ガラスの材料を調合する量がバラバラであったことや、
物資不足により、充分な材料が用意できなかったこともあり、
同じ色のガラスを使ったはずの製品でも、
色の違いや、ムラがあったりすることもあった。
(そもそも機械によって、ガラス製品の大量生産が
 出来るようになる前は、職人が1つ1つ、
 手作りでガラスびんなどを作っていた時代があり、
 そのころのものでは、同じ商品を入れているガラス瓶でも、
 微妙に形や厚さ、色などが違っていたり、
 ガラスの中に気泡を含んでいるものも多かった。
 現在では、ちょっと考えられないことである)

現在では、機械によるガラス生産ばかりになってしまったため、
ほんのりと青緑色をしたガラス、などというのは、
ほとんど目にすることが無くなってしまった。
そのうち、ガラスがその本来の色を見せるのは、
子供たちの描く絵の中だけ、なんてことになるのかも知れない。

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