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雑感、考察

氷ノ山登山〜その3

投稿日:

By: Rui Su

相棒はぎっくり腰、自分は体調不良という、
非常な悪条件下での登山となった、今回の「氷ノ山登山」。
痛む腰と、沸き上がる吐き気をごまかしながら
1〜4合目を越えて、ようやく尾根上の「氷ノ越」までやってきた。
ここからは、はるか南の先にそびえる「氷ノ山」山頂が望める。
だがこの日、「氷ノ越」から見た「氷ノ山」の姿は、
真っ白な雪に覆われた、まぎれもない雪山の姿であった。

「氷ノ越」から「氷ノ山」を眺め、
その雪の量に唖然となる我々2人。
以前、金剛山に登ったときにも残雪はあったのだが、
あのときは3月の中旬であり、残っていた雪の量も
ほんのわずかなものだった。
もちろん、残雪が登山の障害になるようなことはなかった。
あの金剛山登山からは、1ヶ月半以上時間をおいているのだから、
いくら「氷ノ山」が金剛山よりも標高が高いとはいえ、
それほど雪は残っていないだろう、と考えていたのだが、
今、目の前に広がっているのは、一面の銀世界である。

一応、状況は正確に記しておこう。
「一面の銀世界」などという書き方をすると、
「氷ノ越」から眺める山々が全て、
雪に覆われているように聞こえるが、
実際、山頂付近に雪が積もっているのは
「氷ノ山」を含む、一部の山の山頂付近だけである。
それ以外の山に関しては、もう完全に雪は溶けてなくなっており、
全く普通の夏山の姿に変わってしまっている。
ただ、現在自分たちがいる「氷ノ越」から続く、
「氷ノ山」山頂までの尾根上には、一面に雪が降り積もっており、
まったくそこだけが「雪山」そのものの風景になっているのである。
いわば、周りの山々の雪が溶けて夏山になっているのに対し、
「氷ノ山」だけが、今だ雪山の状態を保っているということになる。
まあ、「氷ノ山」は辺りの山の中でも
もっとも標高のある山なので、
そこだけに雪が残っているということも充分にあり得るのだが、
やはり、周りの山がすでに夏山の状態となっている状況を見れば、
少しばかり特異な感覚を受ける。
ひょっとすると「こおりのやま」と書く
「氷ノ山」という名前も、こういう状況から
付けられたのかも知れない。
いずれにしても、目の前に広がっているのは、
真っ白な雪の斜面であり、他の登山者たちは
その雪の上に踏み後を付けて、
「氷ノ山」の山頂へと向かっている。

さて、問題はここからだ。
自分と友人、2人のコンディションが万全でないことは
すでに書いたが、さらに付け加えるのであれば、
2人とも雪山に登った経験というのは全く無い。
と、いうか、2人とも雪山に登ろうという気持ちさえ、
全く持っておらず、毎回登るのは夏山だけであった。
そんな2人の前に、突然、雪山が現れたのである。
2人とも雪山用の装備などを持っていないわけだから、
当然、「撤退」という判断も頭の中に浮かんだ。
(今回は「撤退」という判断が浮かんでばかりだが…)
だが、周りの登山者たちを見ていると、
自分たちと同じ夏山用の装備の人ばかりだし、
そんな人たちが、全くひるむ事なく
雪原の上へと足を踏み出して行く。
小学生ぐらいの子供を連れた家族連れも、
楽しそうに雪の上を歩いている。
もちろん、靴の裏にアイゼンなど付けることもなく、
サクサクと音をたてて、固まった雪の上を歩いて行く。
これを見て、幾分か気分が落ち着いた。
あんな子供が大丈夫なら、自分たちだって大丈夫だろう。
気を取り直した我々は、あらためて山頂を目指すことを決定した。

先に書いたように、先行の登山者たちの踏み跡は、
目の前の真っ白い雪原の上に伸びており、
緩やかな雪の斜面を突っ切るようにして、
トラバースしながら先に進んで行っている。
「氷ノ越」にて一休みし終わった我々は、
改めて雪原へと足を踏み入れた。
季節的なものか、すでに雪の方はある程度固まっていて、
その上を歩いても、特に足が沈み込むようなことがない。
少なくとも、先行者の踏み跡をトレースしている限りでは、
雪で足を滑らせることはあっても、足が深く雪に沈むこともない。
アイゼンなどを付けない、普通の靴での雪上の歩き方の1つとして
靴のつま先を強く雪の中に蹴り込むようにして、
ステップを刻むように歩く方法があるのだが、
安物のスニーカーを履いている自分がマネをすれば、
あっという間に靴をダメにしてしまうだろう。
なるべく滑りにくそうな場所を選びながら足を下ろし、
しっかりとグリップを確認してから、体重をかける。
この当たり前のことを、丁寧に1回1回繰り返しながら先に進む。

「氷ノ越」から先は、雪の積もった斜面を突っ切るようにして
踏み跡が先に続いているのだが、
その踏み跡が従来の登山コースなのかどうかは、判別がつかない。
ただ、踏み跡が続いている斜面でも、
場所によっては結構きつい角度で、切れ落ちている所がある。
そういう場所で、下手に足を滑らせようものなら、
そのまま雪の斜面を滑り落ちて、
一気に100〜200mほど落下する可能性もある。
そんなことになると、もうこれは完全に滑落事故である。
翌日の新聞には、
「氷ノ山で登山者滑落」の見出しが出ることになるだろう。
そんなことになっては目もあてられないので、
かなり慎重な足取りで先に進んで行く。

雪原をかなり先まで歩いて行くと、
やがて尾根上に雪の無い場所が現れ始める。
全く普通のハイキングスタイルでやってきている我々にとっては、
ありがたいことである。
極力、雪の無い場所を選んで歩くようにしながら、
尾根の上を南へ南へと進んで行く。
そんな風に1km以上進んで行くと、
やがて仙谷コースとの合流点に至る。
ここには8合目の標識と、大きな案内看板が立ててあり、
ベンチが設置してあって、ゆっくりと休憩を取ることが出来る。
ここから仙谷コースへと下って行けば、
我々が車を停めた「氷ノ越キャンプ場」の南にある
仙谷登山口に辿り着く。
我々が登ってきた「氷ノ越」コースに比べて、
距離こそ短いものの、途中に鎖場などの難所があり、
余計に時間のかかってしまう上級者向けコースである。
少なくとも、これだけ大量の雪の残っている状況では、
あまり通りたくないコースである。

8合目でちょっと長い休憩を取り、先に進んで行くと、
登山道は途端に険しさを増す。
大きな石がゴロゴロとむき出しになったコースを、
手足を使いながら先へと進んで行く。
幸いなことに、険しさはあるものの
雪はほとんど無くなっているので、それほど先に進むのは難しくない。
8合目から少し先に進むと、巨大な岩がコース上に鎮座している。
高さ20m以上はありそうな巨大な岩の塊である。
調べてみると、この岩は「こしき岩」といい、
垂直に近いこの岩を登って行くルートもある。
「こしき岩」の下側には、安全な巻き道もついていて、
ほとんどの登山者はこちらを通って、山頂を目指す。
この「こしき岩」を越えた辺りから、登山道は尾根上を外れ、
山頂に向けて、山肌をつづら折りに登って行くことになる。
雪の残っている所もあるが、すでに地肌の露出している所も多い。
ただ、地肌の露出してい部分の多くは、
雪解け水によって泥地状態になっているので、
そこを歩く場合には、足を泥で滑らせないように
注意しないといけない。
この辺りになると、周りには背の高い木はなくなり、
一面にササが生い茂る、笹原へと代わっている。
この辺の高度くらいが、「氷ノ山」の森林限界なのかも知れない。
つづら折りの途中で9合目を通り過ぎ、
先に進んで行くと、やがて山頂の避難小屋が見えてくる。
「氷ノ越」にあったものと同じ、とんがり屋根の避難小屋だ。

最後に、この避難小屋に向かっての直登を登り切ると、
そこが「氷ノ山」の山頂である。

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