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モグラ~その3対策グッズとその効用

更新日:

前回、前々回と、モグラの生態を中心として書いてきた。

今回はそんなモグラの被害と、対策について書いていく。

ホームセンターの園芸コーナーに行くと、

モグラ対策グッズのコーナーがある。

風車のような形をした、振動によって、モグラを遠ざける器具。

モグラのいやがる臭いを発する、忌避剤。

各種用意されている捕獲器。

電子音を発するもの。

機械仕掛けでハンマーを振るい、地面に埋め込んだパイプを叩くもの。

爆風を地中に送り込むもの。

ありとあらゆる手段を講じて、畑からモグラを追っ払おうとする。

前回、モグラが肉食であることを書いて、

根菜類が地中で齧られるのは、モグラの仕業ではないとした。

これはモグラのトンネルを使った、ネズミの仕業なのだ。

しかし、そもそもモグラがトンネルを掘らなければ、

ネズミが地中の根菜を齧るようなこともできないはずだ。

直接の原因であるネズミを封じるよりも、

まず、間接的な原因であるモグラにトンネルを掘らせないことで、

ネズミの被害を防ぐ。

これは理屈にあった考え方である。

さらに前回、モグラがトンネルを掘ることによって、

作物の根が空気に触れて乾き、

結果として枯死させてしまうこともある、とも書いた。

これは、モグラの直接的な被害である。

ただ、根菜が齧られるのとは違い、

こちらはモグラの被害だと、気づきにくい。

ともすれば、作物が病気にかかったと思い込み、

全く見当違いな対策をして、みすみす枯らしてしまうこともある。

モグラのいる畑で、突然作物が弱り始めた場合、

モグラによる被害の可能性についても、考えてみる必要がある。

畑で、モグラの痕跡を見つけることは簡単だ。

よーく見てみれば、モグラが浅い所にトンネルを掘り、

移動した跡が残っていることがある。

それでなくとも、場所によっては、

しっかりとモグラの穴があいていることもある。

大きな畑を、機械で耕起するような場合はともかく、

小さい畑を、鍬で耕起する場合、土の断面にモグラの穴があいているので、

すぐにモグラの存在を確認できる。

モグラの穴は簡単に見つかるが、これを追跡していくのは難しい。

昔、婆さんの畑でモグラの穴を追跡して、掘ってみたことがあるのだが、

縦横無尽に掘ってあるので、とても追い切れなかった。

うちの婆さんはモグラに対しては甘く、対策が何も無かったが、

不思議に根菜類が齧られるという被害は起きなかった。

恐らくは、モグラのトンネルを利用するネズミなどが、

近くにいなかったためと思われる。

根の乾燥による枯死については、起こっていたのかもしれないが、

残念ながら婆さんは、それがモグラの仕業だと気づかなかったのだろう。

そういうわけで、婆さんの畑にはモグラ対策グッズはなかったのだが、

近所の畑には、風車型のモグラ撃退器が設置されていた。

プロペラに、弓矢の羽根を組み合わせたような器具で、

この羽根の部分で風を掴み、プロペラの方向を変える。

自分が子供のころは、このモグラ撃退器が

あちこちの畑に立てられていた。

しかし昨今、このタイプのモグラ撃退器は見かけなくなった。

理由は簡単で、使用済みのペットボトルを使えば、

簡単にモグラ撃退器を作れるからだ。

現在、あちこちの畑でペットボトル風車が、からからと音をたてて回っている。

あれは全てモグラ撃退用の、簡易風車だ。

逆に言えば、あれが立ててある畑には、

多かれ少なかれモグラがいるということになる。

果たしてこれらは、有効に働いているのだろうか?

実はペットボトルの風車を含め、これらのグッズはほとんど効き目がない。

え、まさか?と思われるだろうが、

市販のグッズをよく見てみれば、大概「本道に設置してください」と書いてある。

モグラの掘るトンネルには、いくつか種類がある。

まず、モグラが普段の生活でよく通る、いわば「生活道」だ。

この他にモグラのトンネルには、巣に通じる「幹道」と、

餌を探して掘り進んだ「探餌道」というのがある。

このうち「幹道」はもっとも深い位置(といっても地下30~50cm)にあり、

いわばモグラの生命線ともいえるトンネルだ。

「生活道」と「探餌道」は、共にかなり浅い所にある。

「生活道」は普通の生活用のトンネルで、一日に何度も通る。

それにくらべて「探餌道」は餌を掘り探した跡なので、

一度使った後は、二度と使われることはない。

この中で「本道」と言えそうなのは、「生活道」と「幹道」だが、

「幹道」は深い位置にあるので、探し当てるのはまず不可能だ。

となると、グッズを仕掛けるべきは「生活道」ということになる。

ただ、現実的にはこの「生活道」を見極めるのが、困難なのだ。

つまり目の前のトンネルが、「生活道」なのか「探餌道」なのか、

見ただけではわからないのである。

結局、説明書には「本道に設置してください」と書いてあっても、

目の前にあるモグラの穴に、グッズを仕掛けることになってしまう。

これでは、効果も運任せで、全く効果がないことも多い。

では、うまく「生活道」にグッズを設置できたとして、

どれほどの効果があるのだろうか?

捕獲器のように、モグラを捕まえてしまうものはともかく、

音や振動でモグラを脅かすグッズの場合、

すぐにこれらを迂回するトンネルを掘られてしまう。

そうなると、グッズの効果もほとんど上がらない、ということになる。

実際に学者たちの実験では、すぐに迂回路を作られ、

モグラがいなくなることはなかった、という話もある。

モグラは人間が考えているより、ずっと図太い生き物なのだ。

そこの所は、前回の生態の所で書いたとおりだ。

ではせめて、どのようにすれば「生活道」と「探餌道」を見分けられるのか?

これが見分けられれば、少なくとも捕獲器などの効果は上がるはずだ。

次回は、この「生活道」と「探餌道」の見分け方について、書いていく。

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