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政治家の品格

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今月12日、衆議院厚生労働委員会の渡辺委員長が、
「派遣法改正会議」で委員室に入る際、
民主党の議員たちに力づくで入室を阻止された。
これによって、渡辺委員長は全治2週間の頸椎捻挫を負い、
携帯電話を紛失したという。

民主党に言わせれば、
「数の暴力で~」ということになるのかも知れないが、
まさか、それに対抗するのに本物の暴力をもってするというのは、
マトモな理性を持っている人間のやることとは思い難い。
後の調べでは、民主党は事前にこの行動について
細かく計画を立てており、
「作戦司令書」なるものも作っていたという。
つまり一時的な感情の爆発ではなく、
計画的な暴力行為であったことが、明らかになったわけだ。
この後の記者会見でも、
民主党はこの行動について、
「正しいことをした」という認識でいることを明らかにし、
反省の色というものは、まるで見られなかった。

この件に関しては、各所からコメントが出ているが、
そのほとんどが、民主党に対して厳しい批判を与えている。
まあ、自分のような素人が見ても、
非常に短絡的で、かつ暴力的なやり方に見えるので、
大概のことはいわれるだろう。

かつて、これに似た行為で「牛歩戦術」というのがあった。
これは強行採決に対する少数派の取る議事妨害の1つで、
採決の際に、ダラダラと歩くことで
採決自体を引き延ばす方法である。
自分がこれを初めて目にしたのは、
1987年の「売上税法案」のときのものだ。
野党議員が裁決の際、チビチビ、チビチビと歩き
採決自体を時間切れにして、無効にしてしまおうという
一見、バカのような行為であった。
これ以降にも1988年、1992年にも行なわれたが、
その度にTVに写る議員たちを、冷ややかな目で見たものだ。
この「牛歩戦術」、
正直、戦術という言葉をつけるほどのものか?
という気もするが、
驚くことに1987年以前にも、
行なわれていたことがあるらしい。
調べてみると、「牛歩戦術」が初めて行なわれたのは、
戦前の昭和4年(1929年)のことである。
その後、戦後の国会で数回行われ、
そこから40年ほどの時を経て、1987年に復活した。
なんでこんな恥ずかしいものを復活させたのか、理解に苦しむ。
少なくとも、言論を戦わせる国会という場で、
言論以外を「戦術」と平気な顔をして言える所など、
さすがに政治家の面の皮は厚いなと、思わせてくれる。
暴力的でこそないものの、言葉以外を武器にしている点で、
やっていることは、今回の民主党の「それ」と何ら変わらない。

ところが最近は、この「言葉」の部分でも
おかしなことになっている。
いわゆる「ヤジ」問題である。
ちょうど1年ほど前、東京都議会において
女性議員の発言中にセクハラ的な意味を持ったヤジが飛ばされ、
議会後、犯人探しをするような一幕があった。
最近では首相が、野党の発言中にヤジを飛ばし、
このことについて、野党から厳しい指摘を受ける場面があったが、
その最中に野党側からヤジが飛ぶという、
全くワケのわからない場面が展開された。
本当にコイツ等は、バカではないのか?
ヤジを議題にしている最中に、ヤジを飛ばすことに、
違和感や恥ずかしさを、全く感じていないのだろうか?
野党側は「一国の首相がヤジなんて!」と息巻いていたが、
自分に言わせれば、「一国の議員がヤジなんて!」である。
ヤジ関連のニュースを見ていると、
解説者などが訳知り顔で
「ヤジは議会の華」なんてことをいっているが、
全くふざけた話だ。
「ヤジは議会の華」ではなく、
「ヤジは議会の恥」であることを、
しっかりと理解してもらいたい。

自分も学生時代に、何度か学級委員になった。
当然、その仕事として委員長会議に参加したこともある。
しかし、学生のものとはいえ、
雰囲気は学校における議会のようなものである。
だが、その場では一度たりとも汚いヤジなど飛んだことはなく、
「牛歩戦術」の如きものも存在しなかった。
発言する際は、きちんと挙手をして発言していたし、
暴力で決定を阻止するなんてこともあり得なかった。

自分が一番最初にそういう「役」に選ばれ、
議会っぽいものに参加したのが小学5年生か6年生のころだが、
少なくともそちらの方が、国会よりも随分と理性的であったし、
品格もあったと思う。
と、いうことは暴力行為を起こして開き直ったり、
「牛歩戦術」という、子供さえやらない恥ずかしいマネをしたり、
ヤジを飛ばすことを恥とも思わない議員たちは、
小学5年生程度の「品格」も無い、ということになる。

少なくとも、

・暴力等をともなう行為
・牛歩戦術という名の議事妨害
・ヤジを飛ばすという行為

の3つに関しては、新たなルールとして明文化し、
きっちりと根絶しなければならないだろう。
そんなものをいちいちルールにするのか?
という意見もあるかも知れないが、
しっかりとルール化しておかなければ、
この先、いつまでたっても
これらの行為が無くなることはないだろう。

いちいちルールにせずとも、
小学生でさえ遵守している議会のマナーを、
国会議員が守れないというのは、
なんとも情けない限りである。

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