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ウルトラマンで考える「経済」〜その2

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前回、「衣・食・住」という生活の基本に視点をおいて、
ウルトラマンたちの「経済」について考えてみた。
今回は「経済」とは切っても切れない関係にある、
「物流」という視点から、彼らの「経済」を考えてみる。

現在、我が国では大手スーパーチェーンや、
大手コンビニエンスストアチェーンなどを、
「物流大手」と呼ぶことがある。
「小売り大手」というのであれば、
まだピンとくるのだが、
「物流大手」と呼ばれると、
まるで運送会社のように思えてしまう。
だが、実際に大手のスーパーやコンビニが、
全国に展開している自社の小売店へと運んでいる商品量は、
膨大な数量になっており、
まさに「物流大手」の名に恥じるものではない。
それほどに、商売の本質というのは、
「物」を動かすことにあるのである。

現在、「経済」という言葉を聞くと、
「カネ」というイメージを思い浮かべるだろう。
しかし、人間の社会における初めての「経済」活動は、
古代人たちの行なっていた「物々交換」であり、
「貨幣」というものが存在しなかった時代から、
「経済」というものは、確かに存在していたのである。
「物々交換」という、原始の「経済活動」において、
何よりも重要であったことは、
自らが栽培、生産、採取、加工したものを、
他所へと運んでいくことであった。
生産地では「価値」の低かったものが、
生産地から離れるにつれて「価値」が上がっていく。
その高まった「価値」で、他所の産物と交換し、
それを生産地へと持ち帰る。
生産地では他所の産物の「価値」が上がり、
さらに多くのものと交換することが出来る。
これが「物々交換」時代の「経済」活動の基本である。

だが、各地の産物には、
収穫される季節が決まっているものもある。
これでは、その季節以外、「経済」活動は停滞してしまう。
この時間のズレや、場所のズレなどを
埋めるために用いられるものが「貨幣」である。
季節の産物が大量に生産できた際、
これを「貨幣」と交換しておくと、
そのとき大量に入手した「貨幣」と交換することによって、
産物のない季節でも、他所の産物を入手することが出来る。
この時間と場所の隙間を、
「貨幣」という名の接着剤によって埋めるのが、
現在、我々が行なっている「貨幣経済」である。
つまり、現在の「経済」といえども、
主役になっているのは、あくまでも「物」であって、
「貨幣」ではない。
「経済」活動の本質は古代より変わらず、
あくまでも「物」を他所へと運ぶことにあるのである。

話が長くなったが、
早速これをウルトラマンに当てはめてみよう。

前回、書いたとおり、彼らの生活には「衣・食・住」の
「衣食」がなく、「住」しか存在していない。
彼らはこの「住」においてのみ、
「経済」活動を行っているのだが、
当然、「経済」の本質である「物流」も、
この「住」という範囲においてのみ、
行なわれているということになる。
採掘現場などで「原材料」が採掘され、加工場へと運ばれる。
加工場で作られた「製品」が、小売店へと運ばれる。
極めて単純な図式ではあるが、
これがウルトラマンの光の国における、「経済」活動である。
だが、「経済」において「物流」がその本質である以上、
この「運ぶ」という行為については、
しっかりと考えねばならない。

単純に考えた場合、「物流」の基礎となるのは
交通インフラの充実である。
陸上であれば、道路や鉄道網の充実、
大型船舶の停泊できる港の建設、港湾設備の充実、
航路の開拓や、その安全の確保、
空港の建設などである。
もちろん、これらの上を走る自動車、列車、船、航空機など、
乗り物についても、しっかりとしたものが
開発されていなくては、「物流」は成り立たない。

しかし、冷静に考えてみると、
ウルトラマンたちは乗り物に乗らない。
彼らは300万光年も離れた光の国からでさえ、
自らの身体ひとつで飛んでくるのである。
本来なら宇宙船に乗って、やってきてもいい筈だが、
彼らは毎回、生身で飛んでくる。
これだけの距離を飛んでくるのは、
さすがに疲れるらしく、
はるばる息子たちを助けにやってきたウルトラの父は、
あっさりとヒッポリト星人に敗北していた。
詰まる所、どこに行くにも身体ひとつで飛んで行けばいい、
という考えがあるのだろうが、
これではマトモな「物流」は発展しない。
膨大な物品を、ウルトラマン個人が持って運ぶのでは、
時間と手間がかかりすぎる上に、効率も良くない。
大型の輸送船を作りたい所だが、
そんなものは一度もあのシリースには出てこない。
出てこないから、「無い」とも言い切れないわけで、
実は大型貨物船を運転しているウルトラマンも、
いるのかもしれない。

だがひとつ、大型貨物船がなくても、
なんとかなる可能性がある。
先に書いた、ウルトラの父がポイントだ。
彼は腰にベルトを巻いているのだが、
そのバックル部分から、
様々な不思議アイテムを取り出すのである。
思わず「ドラえもんかっ!」と突っ込みたくなるが、
実際、やっていることは、あのネコ型ロボットとかわらない。
ということは、彼はあのバックルの中に大量の物品を入れて
輸送することが出来るのである。
そうなると、ウルトラの父は、普段、
ウルトラのトラック野郎として、
光の国の「物流」を担っている可能性がある。
本によれば、ウルトラの父はその位と、警備隊の運営権を
ゾフィーに譲り、宇宙警備隊の大隊長として
ウルトラ兄弟の活躍を見守っている、とある。
さらにウルトラの国の政治を司る、
最高位についていて、人々の尊敬を集めているとあるが、
もしウルトラの父が、その能力を生かし、
光の国の「物流」の全てを担っているとすれば、
彼は光の国の「経済界」において、
最重要人物であるともいえる。
彼がいなくなれば、光の国の「物流」は壊滅するのである。
当然、地球に比べて経済規模こそ小さいものの、
「それ」を支配しているウルトラの父の元には、
うなるほど「カネ」が入ってくる筈である。
……。
あれ?そうなると、宇宙警備隊の運営から手をひいたのも、
ひょっとして自分の事業に専念するため?
そしてそこで手に入れた、うなるほどの「カネ」でもって、
政界のトップに君臨したとか……?
いやいや、まさか……。

光の国の「物流」に注目してみれば、
彼の国の「経済状況」、「政界の権力構造」が見えてくる。
ウルトラマンたちの世界でも、「カネ」を押さえているものが、
「権力」を手に入れているようである。

前回と今回は、「衣・食・住」「物流」という、
地球でいう所の第1次産業、第2次産業を取り上げて書いてみた。
次回はウルトラマンたちの第3次産業、
いわゆるサービス業に視点を向けて、書いていく。

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