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クローバー

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世の中には、「ラッキーアイテム」などと
呼ばれるアイテムがある。

例えば「まねき猫」なども、そういう意味合いの強い人形だ。
お金や福、お客を招くとされている。
個人的には絶対に触りたくないが、
「ヘビの抜け殻」を財布の中に入れておくと
お金が貯まるなどとも、いわれている。

こういった恒久的な「もの」でなくても、
朝の情報番組などでは、毎日、占いのコーナーがあり、
そこでは星座ごとに一日の運勢が出てきて、
その日のラッキカラーとラッキーアイテムが紹介される。
占いに全く興味のない人には、どうでもいい情報だが、
占いを信じている人は、
その日、着る服の「色」の参考にしたり、
ラッキーアイテムを鞄の中に入れて出かけたりする。
もちろん、この手の「色」や「アイテム」の効果は
基本的に一日限りである。
だからこそ、占いを信じている人は
毎日、その占いコーナーを見ることになり、
視聴率を稼ぐことが出来るのである。

こういった「ラッキーアイテム」の中で、
もっともお手軽なものが「四葉のクローバー」だろう。
「クローバー」は、日本全国どこにでも生えており、
ちょっと根気を入れて探してみれば、
意外に簡単に見つかることも多い。

我々が「クローバー」と呼んでいる植物は、
マメ亜科シャジクソウ属に属する多年草である。
一般的に我々が「クローバー」と認識しているものは、
「シロツメクサ」と呼ばれているもので、
白い花が咲くことから「白ツメクサ」となる。
近縁種にはモモイロツメクサ、ムラサキツメクサ、
ベニバナツメクサ、などがあり、
それぞれ花の色によって、名前が付けられている。
名前の由来は、江戸時代末期に、
オランダから持ち込まれたガラス製品の「緩衝剤」として、
箱の中に詰め込まれていたことから、
「詰め草」の名前が付けられた。
緩衝剤として使われていた、ということから考えると、
刈り取ったばかりのものではなく、
天日で乾燥させたものだったのかもしれない。
恐らくは日本で投棄されたシロツメクサに、
種子が付いており、
そこから日本中へと広がっていったものと思われる。
また、これとは別に、明治時代に家畜の飼料用として
日本に持ち込まれたものもあり、
こちらが野生化したものが、
現在、日本中に広がっているシロツメクサだともいう。
どちらの説が正しいのかはわからないが、
時代的には江戸時代末期から明治時代にかけて、
日本に入ってきた植物のようである。

ヨーロッパが原産の植物であり、
先に書いたとおり、オランダでは
荷物運搬時の緩衝剤としても用いられていた。
アイルランドでは国花とされており、
色違いのムラサキツメクサはデンマークの国花になっている。
広く牧草として用いられている他、
前回紹介した「レンゲソウ」と同じく、
根粒菌の働きによって、窒素を固定化するため、
「緑肥」として植えられることも多い。
さらに「レンゲソウ」と同じく、
シロツメクサの花は蜜蜂が蜜を集める蜜源植物としても、
重要な植物である。

茎が地上を這うようにして伸び、
さらに茎の各所から根を張るために、
雑草として生えてくると、
なかなか除草の面倒な植物でもある。
除草せずに放っておくと、窒素を溜め込んで枯れるため、
土が肥えて、さらに雑草を生やすことになるという、
ある意味、悪夢のような雑草である。
生えてくれば、なるべくマメに除草するようにしたい。

さて、このシロツメクサ、通常は葉が3枚ついている。
この中に、稀に4枚の葉のついたものが現れる。
いわゆる「四葉のクローバー」である。
この「四葉のクローバー」は、
見た目が十字架に似ているため、
「幸福のシンボル」とされる。
「十字架に似ているから」というのは、どう見ても
キリスト教由来の理由づけであるが、
このことは意外と知られておらず、
キリスト教徒の少ない日本においては、
ただ「幸福のシンボル」というだけで、
珍重されているようである。
この「四葉のクローバー」は、
10000分の1の確率で発生するといわれている。
%でいえば、0.01%だ。
少ないように思われるが、
1㎡あたりのクローバーの平均繁殖本数は、
4000本を越えているので、
そこそこの広さのあるクローバーの繁殖地では、
意外と「四葉のクローバー」があるということになる。
ちなみに「四葉のクローバー」の発生確率については諸説あり、
1億分の1という説や、1000分の1という説もある。
説により、発生確率が10000倍も違ってくるのである。
どの数字が正しいのかは、明らかではないが、
一説によれば、株によって「四葉」の発生確率が
かなり変わってくるという。
調べてみた所、何と30分のうちに
180本も「四葉」を見つけた、という話も見つかった。
単純に考えてみれば、1分あたり
6本の「四葉」を見つけていることになり、
10秒に1本「四葉」を見つけているということになる。
こうなってくると、1000分の1という確率ですら、
怪しくなってきてしまう。
きっと、辺り一面に「四葉」が生えていたに違いない。

ここまで、三葉の中の「四葉」に限った話をしてきた。
しかし、こう考えたことはないだろうか?
三葉の中から、変異体として生まれてくるのは
「四葉」だけなのか?
他のものはないのか?
具体的にいえば、「五葉」や「六葉」などである。
変異体ということで葉の数が増えるというのなら、
それは何も1枚とは限らないのではないか?
2枚、3枚と増えることもあるのではないか?
実はあるのである。
「四葉」だけでなく、
「五葉」も「六葉」も「七葉」もあるのである。
思わず「えー?」と驚いてしまいそうだが、
この程度ではまだまだで、
「22葉」や「33葉」のクローバーも
見つかっているのである。
だが、現在確認されている最大数の葉を持つクローバーは、
なんと「56葉」である。
写真で見た感じでは、
もはやクローバーを束ねただけにしか見えない。
構造自体も少し変異しているようである。
(従来のスタイルで、56葉はさすがに無理がある)
これはギネス世界記録として認定されている。
これは多葉株を自然交配させて作り出したものであり、
自然界の中から見つけ出したものではない。
とはいえ、人工交配を行なったわけではない以上、
自然界の中で生まれる可能性も、ないわけではない。

だが、ここまでくると、
それがどれだけの幸運をもたらしてくれるのか、
想像もできない。
(もっとも四葉が十字架に見立てられて、
 「幸運」とされている以上、
 四葉以外に「幸運」を期待するのは、おかしいのだが)

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