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あの3文字の意味〜その1

投稿日:

By: Joe Wu

昨年、ウルトラシリーズの最新作として放送された
ウルトラマンジード」。

この作品は、従来のシリーズにはなかった新機軸が
いくつも取り入れられており、
他のシリーズ作品との差別化が図られていた。
そんな「ウルトラマンジード」の設定の1つに、
「防衛チームの廃止」というものがあった。
(厳密にいえば、「ジード」以前にも
 防衛チームを廃した作品はあったのだが、
 そちらについては、自分自身が見ていなかったため、
 自分が防衛チームの無いウルトラ作品を見たのは、
 本作が初めてであった。
 今回のテーマでは、ここの所は重要ではないので、
 余り突っ込まないでいただけるとありがたい)

従来のシリーズであれば、地球には怪獣退治を行なう
それ専門のチームが存在しており、主人公はそのチームの一員で、
第1話で地球にやって来たウルトラマンと同化する、
あるいは、ウルトラマンが人間の姿に変身して、
そのチームに入隊するというのが、ほとんどであった。
(例外的に、教師など他の仕事を兼任していたり、
 番組途中で防衛チームが全滅してしまうなんていうものもあった)
主人公が普段から、怪獣退治専門のチームに所属しているため、
主人公と怪獣の遭遇がごく自然に行なわれ、
さらにそこから自然な流れで怪獣との戦いに突入し、
やがて主人公はウルトラマンに変身し、怪獣を倒す。
これが、ウルトラシリーズのストーリーの基本である。
これはシリーズ第1作目の「ウルトラマン」から、
後のシリーズへと連綿と受け継がれている。

さて、第1作「ウルトラマン」では、この防衛チームの名前は
「科学特捜隊」、略して「科特隊」であった。
第2作「ウルトラセブン」では、これが「ウルトラ警備隊」になった。
(ちなみに「ウルトラ警備隊」の「ウルトラ」は、
 「ウルトラマン」からきているわけではない。
 むしろ「ウルトラセブン」という名前の方が、
 「ウルトラ警備隊、7番目の隊員」という意味で名付けられており、
 「ウルトラ警備隊」の方が、「ウルトラセブン」の
 元になっているといえる)
だが、第3作「帰ってきたウルトラマン」から、
この防衛チームの名前に、ある法則が出来る。
以降の防衛チームの名前を挙げてみると、

・帰ってきたウルトラマン→MAT
・ウルトラマンA→TAC
・ウルトラマンタロウ→ZAT
・ウルトラマンレオ→MAC
・ウルトラマン80→UGM

といった具合である。
そう、チーム名がすべてアルファベット表示に変わったのである。
この後の作品でも、これらと世界観を共有している
「ウルトラマンメビウス」以外の作品においても
やはり防衛チームの名前は、アルファベットで表記されるようになった。
これらアルファベットのチーム名については、
子供のころは全く意味が分からなかったが、
なんとなく、それっぽくてカッコいいかな?というのが、
正直な感想であった。
もっとわかりやすくいえば、子供のころの自分にとって、
防衛チームの名前というものが、
それほど重要事項ではなかったということである。
しかし当然、年齢が上がってくると、そこに疑問が沸き上がってくる。
あれらの防衛チームのアルファベット名は、一体なんだったのか?
そこで今回は、「ウルトラマン」から「ウルトラマンメビウス」までで、
第1作「ウルトラマン」からの世界観を共有している作品の
防衛チームを取り上げて、その世界での立ち位置や、
名前の由来などを見ていきたい。

第1作「ウルトラマン」に出てきた防衛チームは「科学特捜隊」。
正式には「科学特別捜査隊」となり、略式では「科特隊」と呼ばれる。
この組織は、国際科学警察機構の下部組織で、
パリに本部が置かれており、世界中にその支部がある。
番組の中で活躍していた彼らは、その極東支部だったわけだ。
通常の警察組織では対処できない怪事件、異変などを捜査し、
他惑星からの侵略にも対処する。
この辺りは、どう考えても警察の仕事ではなく、
軍の仕事の様な気がするのだが、あの世界の軍はどうなっているのか?
まあ、はっきりしていることは、彼らは厳密にいえば軍人ではなく、
警察官に近い立場だということである。
まあ、機動隊の対怪獣・宇宙人バージョンと考えれば
いいのかも知れない。

第2作「ウルトラセブン」に登場する防衛チームは「ウルトラ警備隊」。
地球防衛軍極東基地に所属する、防衛隊員の中の精鋭部隊である。
地球侵略を企む宇宙人との戦闘が主な任務となっており、
その役割が、「科学特捜隊」とかぶってしまっている。
先にも書いた通り、この「ウルトラ」というのは、
彼らが精鋭部隊であることを示す言葉であり、
ウルトラマンのそれには、全く由来していない。
設定からすると、とんでもないエリート部隊のはずなのだが、
出自の怪しい風来坊であったモロボシ・ダンをメンバーに加えたり、
18歳で隊員になっていたアンヌなど、どういう規定で
メンバーが選出されているのかが、非常に気になる。
ひょっとすると「ウルトラ警備隊」に至っては、
厳しい隊員規定などは存在せず、全て隊長の独断で
メンバーを選出しているのかも知れない。

ともあれ、この「ウルトラセブン」では、前作と違い、
軍が地球防衛を担っている。
「ウルトラマン」時代に繰り返された、怪獣の出現・宇宙人の侵略を
阻止するため、改めて地球防衛軍が結成されたとも考えられる。
だとすれば、前作に出てきていた「科学特捜隊」は
この地球防衛軍の中に吸収されてしまったか、
あるいは、怪獣退治・地球防衛の任務を解除され、
全く普通の国際警察組織に戻っていったのだろうか。

ひょっとすると、そこら辺の裏側には、
同じ役割を担う組織同士の、醜い権力争いなどがあったのかも知れない。
だとすれば、「科学特捜隊」は「ウルトラ警備隊」との
テリトリー争いに敗北し、解散、あるいは解体になった、とも考えられる。
「ウルトラマン」では、ついに「科学特捜隊」のメンバーたちが、
ハヤタとウルトラマンが同化していたことを知らずじまいだったため、
ウルトラマンの功績を、ある意味では自分たちのものでもあると
主張することは出来なかったのだろう。
逆にウルトラマンの活躍によって「科学特捜隊」の活躍が霞み、
そこを「ウルトラ警備隊」に突かれて、
「科学特捜隊」は不要と、主張されたのかも知れない。
だとすれば、それはあまりに皮肉な結果である。

さて、今回は「科学特捜隊」と「ウルトラ警備隊」について取り上げた。
次回からは、以降のお約束となるアルファベット名の組織たちについて
取り上げていく。

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