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またやっちゃった「日産」

更新日:

少し前の記事で、「やっちゃった「日産」」というのを載せた。

120万台という、笑えるほどのリコールを出し、
世の中のバッシングが集中するかに見えた、
「日産」の無資格検査問題だが、
ちょうど世の中は「衆議院選挙」の真っ盛りであり、
今回は野党側のゴタゴタがあまりにも面白かったため、
ことの重大性に比べると、思ったほどの「叩き」は起こらなかった。

さらにいえば、この件を追うようにして
神戸製鋼所でのデータ改ざん問題が発覚。
こちらの方の内容はかなりエゲつなく、さらに規模も甚大で、
とどめに数十年も前からデータを改ざんしていたことも分かり、
世間の冷たい目は、全てこちらの方に向けられてしまった。
こちらの方についても、ある程度、その全容が明らかになれば、
記事にするかも知れない。
まあ、世間的にいえば、より酷いものが直後に発覚したため、
それ以前に騒がれていたものが、
一瞬で霞んでしまった、という所だろう。

非常に不謹慎な言い方になるが、本来はもっと叩かれるであろう件が、
世の中の流れの不思議さから、それほど厳しく叩かれずに済んだ
(まあ、実際には「済んで」いるわけではないが……)
というのは、ある意味、非常に幸運なことである。
「日産」は「ツイている」、「持っている」といわれてもいいほどの
世の中の流れである。
少なくとも、暇なマスコミ達に徹底的に叩かれることを考えれば、
事態は最高の形で収束した(していないのだが……)といっていい。
このまま目立たぬように、丁寧に後始末をつければ、
企業イメージの没落も、かなり抑えることが出来たはずであった。
そう、「はず」であった。

先日、「日産」の一部工場で、無資格検査問題が発覚した後も
これが続けられていたことが明らかになった。
社長は前回の問題発覚の記者会見に続いて会見を開き、
「まさに不徹底と申し上げるしか無い。
 会社の信頼を揺るがす事態だ」
と苦渋の表情を浮かべた。
すでに前回の時点で、会社の信頼は揺らぎまくっていると思うのだが、
社長がまだこんなことを言っているあたり、
やっぱりどこか、問題意識が薄いのかも知れない。

国内6カ所の工場全てで無資格検査が行なわれており、
9月末には新車の在庫販売が停止された。
その数日後には、すべて認定された検査員が検査を行なう体制に
100%なっているとして、在庫車の再点検を実施して、
10月の初めには、在庫販売が再開された。
にもかかわらず、6工場のうち4工場では、
引き続き無資格の従業員が、点検を担当していたというから、
まさに「舌の根も乾かぬうちに」というしかない。
あれだけ騒がれ、ニュースなどでも取り上げられた問題なのだから、
当の「日産」で働いている従業員たちが、
この問題を知らないとも思えない。
もし本当に知らないのだとしたら、
「日産」の従業員の社会人としてのレベルの低さに呆れるしか無いし、
知っていてやった、あるいはやらざるを得なかった、とすれば、
これはもう、「日産」という会社の闇を感じずにはいられない。
まあ現実的に考えた場合、やらざるを得なかったというのが
本当の所だろう。
恐らく上の経営陣からは、ただ、
資格を持つ検査員に検査をさせること、くらいにしかいわれておらず、
現場で現実的に起こるであろう、検査員の不足については
全く現場に丸投げであったに違いない。
その状況で、さらに生産ペースを落とすな、と言われれば、
現場には、現場だけでは解決できない矛盾が生まれる。
要は、キチンと検査をこなすか、生産ペースを維持するか。
検査員が不足している以上、この両立は無理である。
どちらかを諦めねばならない。
常識で考えれば、キチンと資格を持った検査員が
検査しなかったことが問題になっているわけだから、
これは生産ペースを落としてでも、検査を優先しないとダメだろう。
しかし、さらにそこに経営陣からの無責任な要請が出る。
つまり「生産ペースも落とさないように」と。
本来であれば、ここの所で現場は猛然と反発するはずだ。
しかし「日産」という企業には、
そういう声を挙げる気風が無かったのだろう。
その結果、それまで最優先であった「生産ペースの維持」を
優先してしまう結果となり、今回の事件が起きた。

現実の見えない経営陣に、上にものをいうことの出来ない
弱気な現場。
これが「日産」という企業の体質になっているのだとすれば、
これを変えていくというのは、非常な困難を伴うだろう。
今回の件を受けて、この先2週間は出荷を止める、と説明している。
現実的にいうのであれば、出荷を止めるというよりは、
止めざるを得ないというのが本当の所だろう。
そして検査員の数がすぐに増やせない以上、
この先も当分は、大幅な減産にならざるを得ない。
でもこんなことは、部外者の自分でさえ
簡単に予想できたことである。
問題は「日産」自身が、この減産せざるを得ないという現実から
目を背けているということだ。
そんなことを続けていれば、当然、今回と同じ不祥事は、
さらに3回目、4回目と繰り返されることになるだろう。
そういうことになれば、国内のみならず国外からも
信用を失うことになる。
(まあ、すでに信用のかなりの部分は喪失しているだろうが……)

「日産」ほどの巨大な企業になれば、
部品の生産・納入などで、関連のある企業の数も大変なものになる。
そんな「日産」が当分、減産ということになるわけだから、
それらの関連企業にも、大きな影響を与えることになる。

そういう多方面への影響を考えた場合、
今回の「日産」の不祥事は、実際以上の大きな意味をもっている。

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