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大寒波

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先週末、日本列島に大寒波がやってきた。
TVのニュース番組では、「最強の寒波」などと
その寒さを形容していたが、実際、それに違わぬ寒さであった。

自分の実感としては、ちょうど金曜日辺りから
冷え込みが強くなり始め、土曜日の朝には、
家の周りにうっすらと雪が積もっているのが確認できた。
夜のうちに、雪が降っていたらしい。
だが、その降り積もった雪が、消えるか消えないうちに、
再び空は曇り、白いものがチラチラと降り始めた。
「降り始めたなー」なんて、気軽に眺めていると、
降ってくる雪の量はたちまちに増えて、風も吹き始め、
我が家の周りは、猛吹雪に包まれてしまった。
せっかくの土日ではあるが、こんな天候では
どこかへ出かける気にもならない。
週末は家に籠り、おとなしくしているか、などと考えていると、
外から何やら賑やかな気配がしてきた。
窓から外をのぞいてみると、
大人と子供が一緒になって、伐った竹を引きずりながら運んでいる。
そう、1月の中旬ごろの土日といえば、
この辺りでは「とんど」と呼ばれる、
竹などを組み上げた、櫓状のものを作り、これを燃やす慣習がある。

本来的には「左義長(さぎちょう)」というらしいが、
広く、日本全国で行なわれており、
名前も「とんど焼き」のほか、「どんと焼き」、「どんど焼き」、
「どんどん焼き」、「さいと焼き」など、
地方によって違いがあるようだ。
この櫓状の「とんど」の中には、各家庭から持ち込まれた
「門松」や「注連飾り」などが放り込まれており、
これらによって迎えた歳神様を、これらを燃やすことによって
見送るという意味があるらしい。
さらに、正月に書いた「書き初め」を「とんど」で燃やし、
書道の上達を祈願したり、
「とんど」の火(熾火)によって焼いた餅を食べ、
無病息災を祈願したりすることもある。

自分が子供のころは、
1月15日に燃やすと決められていた「とんど」だが、
だんだん、人手などの問題で平日の夕方に燃やすことが
難しくなり、1月のお正月が終わって最初の土日に
「とんど」を作り、当日かその翌週の土日に燃やすようになった。
ただ、今年は最初の土日に雨が降っていたため、
「とんど」の作製を1週間延期し、
この日(土曜日)に「とんど」を作ることになったらしい。
雨で順延して、翌週に吹雪になるとは、
本当に天候に恵まれていないが、15日以降に順延するのは
日程的に難しいらしく、吹雪の中を強行して
「とんど」を作り上げたようだ。
もっとも、「とんど」の作製をしている間中、
ずっと吹雪いていたわけではなく、
半分くらいは太陽が顔を出していたので、
それほどキツさを感じなかったのかもしれない。
家の中からのんびり眺めていると、昼前くらいには
大小2つの「とんど」が出来上がっていた。

ここで、この話を読んでいる人の中には、
地区の人たちが吹雪の中、「とんど」を作っているのに、
お前は何をしていたんだ?と思っている人がいるかもしれない。
確かに自分が子供のころは、
地区の人間が総出で「とんど」を作っていたのだが、
それから30年ほどが経ち、うちの地区は住宅地として再開発され、
子供も含めた住民の数が、グンと増えた。
そのため、うちの地区では「とんど」作製に
毎年、駆り出されるということがなくなり、
3〜4年に1度、隣保ごとの持ち回りで
「とんど」を作るようになったため、
担当の隣保の人たちが作業しているのを、
のんびりと眺めることが、出来るというわけなのである。

昼前に「とんど」が出来上がった後、天気は悪化の一途をたどった。
雲の数は多くなり、晴れ間がでることも無くなり、
雪が降り続き、風も強くなっていった。
もう完全な吹雪である。
これでは「とんど」を燃やすのは無理かなー、などと考えていると、
夕方ごろに地区放送があり、予定通り、
午後6時ごろから「とんど」を燃やすという。
恐ろしいことに、吹雪の中、
6時前には「とんど」の周りに人が集まってくる。
自分は家からその様子を眺めていたのだが、
立ち上る煙が、強い北風によって南へと流され、
その先にある家は、さぞ煙たいだろうなぁと、気の毒になった。
(ちなみに、これまでには西風によって、
 うちの方へ、煙や灰が流れてきたことがある)
轟々と吹雪く中、歓声を上げて
「とんど」の周りに群がっている子供たちを見ると、
ああ、やはり子供は「風の子」だなと、妙に納得する所があった。

日本列島に厳しい寒さを持たらした、この大寒波だが、
週のあけた16日まで、その影響を及ぼした。
もともと雪の多い、北陸や東北はもちろん、
普段、あまり雪の積もることの少ない京都、名古屋、四日市、
広島などでも積雪を観測し、交通機関などにも大きな影響が出た。
気の毒だったのは、大学入試センター試験を受ける受験生たちで、
交通の乱れなどによって、
時間通り試験会場にたどり着けない受験者も出て、
試験の時間を繰り下げた会場も多かった。
それでも時間内に会場にたどり着けず、
再試験となった受験生も79人いたというから、
彼らが、しっかりと力を出し切れたのかが気になる。
雪による交通事故や、雪下ろしを行なっていての落下事故、
我が播磨地方でも、雪の重みによって木が倒れ、
集落が孤立してしまう事故が起こっている。
ちょうど木が倒れた際に電線を断線させたらしく、
集落は停電状態に陥ってしまった。
この厳寒状態で、電気が来ないというのは相当に厳しいだろうが、
幸いにしてガスは使えたらしく、
(ひょっとしてプロパンだったのかも?)
食事等は、どうにか出来たようである。
これがオール電化家庭だと、どうにもならなかった所だ。

ちなみに友人の地区では、
この翌日、「とんど」作りが行なわれたらしい。
やはり朝から雪が降り仕切る猛烈な寒さの中、
「とんど」を完成させ、そのまま間髪を入れずに点火した。
冷えきった身体であたる「とんど」の火は、
さぞかし、暖かかったことだろう。

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