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スーパーX〜その1

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1984年版「ゴジラ」での話である。

物語中盤、ついにゴジラは東京に上陸し、
町を破壊しながら進んでいた。
上陸を阻止しようとした自衛隊は、海岸線に兵器を配置し、
まさに水際作戦でゴジラの上陸を阻止しようとしたものの、
通常兵器による攻撃は全くゴジラに通じず、
逆に放射能熱線によってほぼ壊滅してしまう。

ライバル怪獣のでてこない「ゴジラ」で、
自衛隊が壊滅に近い被害を受けてしまえば、
もはやその行く手を遮るものは、何も無いといっていい。
科学者が、ゴジラの帰巣本能を利用する
「ゴジラ誘導システム」の開発を進めていたが、
これは未だ完成せず、
対策といえば、自衛隊による避難誘導くらいしかないという、
ある意味、初代「ゴジラ」よりも一方的な展開に陥っていた。
当時、これを見ていた小学生の自分からして、
「あー、こりゃ、「ゴジラ誘導システム」が完成するまで、
 もう、一方的に町を壊されるだけだなー」
なんて思っていたのである。
だが、そんなワンサイドゲームな展開の中、
閣僚の1人がこんなセリフを叫んだ。

「スーパーXはまだか!」

思わず、見ている自分の頭の上に「?」マークが浮かんだ。
「スーパーX」?
なんだそりゃ?
その閣僚の問いかけに対し、部下が答える。

「現在、カドミウム弾の積み込みを行なっています!」

また、ワケのわからない単語が出てきた。
「カドミウム弾」?
分かるのは、「スーパーX」はまだだ、ということだけである。
さらにゴジラは町を破壊しながら、進んでいく。
レーザービーム車が登場し、距離をおいてゴジラに攻撃を仕掛けるが、
これまた全く効果はなく、苛立った閣僚がまた叫ぶ。

「スーパーXはまだか!」
「今、発進しました!」

途端に、ジャンジャジャーン!と勇ましいBGMが流れ、
画面に「スーパーX」が登場する。
それを見て絶句する。
なんじゃ、こりゃあ!?

閣僚たちの会話からして、
「スーパーX」が何らかの新兵器であることは容易に想像できる。
一体、どんな新兵器がでてくるのかと見ていると、
画面に登場したのは、灰色のドーム型のメカである。
パッと見た感じ、まるで金属製の「肉まん」である。
一応、空を飛んでいるのだが、戦闘機のようなスピードはなく、
エラい低速で前進し、方向転換する際には、一旦空中で停止し、
その場で方向転換して、再びゆっくりと前進し始める。
BGMは勇ましいのだが、どうも「スーパーX」自体が微妙だ。
思わず、え?こんなんでゴジラと戦うの?と、突っ込んでしまった。
だが、その悪いイメージはすぐに払拭される。

スーパーXを「敵」と見なしたゴジラは、
即座に必殺の放射能熱線を浴びせかける。
だが、全体をチタン合金で覆われているスーパーXは、
この放射能熱線を浴びてもびくともしない。
ゴジラと相対したスーパーXは、照明弾を打ち上げて
ゴジラを咆哮させ、その口の中へ
先述の「カドミウム弾」を打ち込むのである。
この「カドミウム弾」は、弾頭に
核反応を抑制するカドミウムを装備しており、
1発、2発、3発と、「カドミウム弾」を打ち込まれたゴジラは、
体内での核反応を抑制されたことにより、
その活動を停止させるのである。
その場に倒れ、動かなくなったゴジラ。
おお、マジか、やるじゃないか、スーパーX。
第1作のオキシジェン・デストロイヤーほどではないにせよ、
ゴジラを行動不能に追い込んだスーパーX。
見た目のかっこわるさとは裏腹に、
あまりにもかっこいいデビュー戦であった。

だが、運命はゴジラに味方する。
ソ連が、軍事衛星から誤って発射した核ミサイルを、
迎撃ミサイルによって東京上空で破壊することに成功するのだが、
その核爆発によって発生した落雷によって、
眠っていたゴジラが、再び活動を開始したのである。
スーパーXは再びゴジラに対峙するが、
対ゴジラ用の「カドミウム弾」はすでに全弾撃ち尽くしており、
他の通常兵器では、全くゴジラに太刀打ちできない。
さらに度重なる放射能熱線攻撃によって、機体は限界に来ており、
ついにスーパーXは飛行状態を維持できなくなり、
不時着してしまう。
賢明に復旧を試みるスーパーXだったが、
ゴジラは不時着しているスーパーXに向けてビルを倒壊させ、
これを押しつぶし、破壊してしまうのであった。

これが、1984年版「ゴジラ」に登場した秘密兵器、
スーパーXである。
設定によれば、元々スーパーXは対ゴジラ用に作られたものではなく、
核戦争を想定して製作された、首都防衛用兵器となっている。
あんなトロ臭い戦闘機(?)で、
どうやったら首都防衛が出来るのかは、
甚だしく謎だが、ゴジラの放射能熱線に耐え得ることが出来たのは、
核兵器の発する高熱に耐え得るように、設計されていたからだろう。

5年後の1989年に上映された「ゴジラVSビオランテ」では、
このスーパーXの流れを汲む新兵器・スーパーX2が登場した。
こちらはスーパーXの動きの悪さを反省したのか、
随分とスピードも上がり、自由に空を飛行していたが、
相変わらず、見た目は非常にかっこわるく、
まるでアイロンが空を飛んでいるようであった。
前回、ゴジラにやられた際に、人的被害を出したせいか、
スーパーX2は遠隔操縦による、無人機になっていた。
前回の戦闘で、ゴジラを行動不能に追い込んだ「カドミウム弾」を、
どういうわけか、このスーパーX2は装備していない。
その代わりに装備しているのは、機首部分に装備している
展開式のファイヤーミラーである。
このファイヤーミラーは、ゴジラの放射能熱線を瞬時に吸収し、
1万倍に増幅して撃ち返すという新兵器である。
単純に考えれば、ゴジラの放射能熱線の
1万倍の威力のものを撃ち返すわけで、
この1発でゴジラは死んでしまいそうなものだが、
どういうわけか、ゴジラはこれに苦戦はしたものの
死んだりはしなかった。
存外、あの放射能熱線は、
ゴジラにとっては必殺武器でもなんでもないのかもしれない。
というよりも、放射能熱線を跳ね返されたゴジラが
これを学習し、以降、熱線の使用を控えるとは
考えなかったのだろうか?

前回のスーパーXが、対ゴジラ用兵器でなかったのに対し、
このスーパーX2は、最初から対ゴジラ用として作られている。
(で、なければ、主兵装がゴジラの熱線がなければ、
 全く役に立たないものなどであるわけがない)
必殺武器のファイヤーミラーを使い、
ゴジラを追いつめていくスーパーX2。
放射能熱線さえ出さなければ、相手はロクな攻撃が出来ないのだから、
尻尾で攻撃するなり、石をぶつけるなりすれば、
比較的簡単に無力化することが出来たはずだが、
そうしない辺り、ゴジラの学習能力は低いのかも知れない。
だが、度重なるファイヤーミラーの酷使によって、
ついにファイヤーミラーは溶け始めてしまう。
そうなったら、もうスーパーX2は無力である。
元々無人機であったため、あっさりと囮に使われ、
(ゴジラに抗核バクテリアを打ち込むための)
敢え無い最期を遂げるのであった。

1984年版「ゴジラ」から始まる「平成」シリーズの、
第1作目と第2作目に、颯爽と登場したスーパーX。
だが、ここからスーパーXは不遇の時代を迎えることになる。
次回は、スーパーX不遇の時代と、
最後のスーパーXについて書いていく。

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