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金魚~その1

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もともとはひとつの姿だったものが、

多種多様な姿に変化をしていくことを、「分化」と呼んでいる。

改めて、「分化」などというと肩肘張って聞こえるが、

我々のすぐ近くに、これの見本のようなものがある。

それが金魚だ。

今回は、この金魚について書いていく。

現在、ペットショップやホームセンタのペットコーナーに行くと、

多種多様な金魚が並んでいる。

最近では、熱帯魚などにおされて、その展示数はやや少なくなってきているが、

それでも金魚の種類と展示数は、多い。

形、色、模様と様々な種類のいる金魚だが、

実はこれらは全て、ひとつの魚から出ている。

鮒だ。

中国語では、これを鮒(ちい・じい)などと呼ぶ。

なぜ中国語の読みを紹介したかというと、金魚は中国で生まれたからだ。

長江下流域、浙江省の近辺が、その発祥の地といわれている。

金魚の元となったのは、鮒の突然変異種で、緋鮒(ひぶな)と呼ばれるものだ。

突然変異種、と言っても形状が変化した訳ではなく、

色が緋色になっただけである。

それでも、それまでは黒かった鮒の中に、突然赤いものが見つかったのだから、

ショッキングな出来事だったに違いない。

南北朝時代(439~589年)にはすでに飼育されていたということだから、

少なくともそれ以前に、突然変異は起こったようだ。

この色の変わった緋鮒を捕獲し、大事に繁殖させていった。

これが金魚飼育の始まりであった。

これが一般的になったのは宋代(960~1279年)になってからのことだ。

明代(1368~1644年)には品種も増えていた。

当時の金魚は、皇帝、皇族、貴族などにより飼育・愛玩されている、

超高級なペットであった。

これが日本に持ち込まれたのは、室町時代になってからだ。

当時は飼育方法が確立されておらず、定着はしなかった。

これが飼育され始めるのは、江戸時代にはいってからであるが、

江戸時代前期では、金魚はまだまだ高級品であった。

江戸中期にいたり、ようやく一般庶民にも金魚の飼育が広がっていく。

金魚すくいなどが始まったのも、このころのことであった。

金魚飼育が広まる、きっかけのひとつとなったのが、

延享5年(1748年)に発行された「金魚養玩草」である。

これによって、一種の金魚ブームが起こった。

当時は、しっかりとした飼育をするためには、池が必須であり、

これをもっていなかった一般庶民は、カラス鉢や盥、陶器の器や、

火鉢に水に入れて、金魚を飼育した。

ただこのような小さな環境では、水温や水中酸素量などの調整が難しく、

長く飼育するのは困難であった。

江戸末期になると、現在まで続く三大金魚生産地が確立し

金魚の流通量が一気に増大した。

このころから、一般庶民の金魚飼育が一気に増えていく。

水槽や水草の販売が始まり、品評会なども行なわれるようになった。

明治時代には、西洋から愛玩動物(ペット)という概念が入ってくるにいたり、

金魚は犬、猫に並ぶペットの定番となった。

庶民の生活レベルが上がってくると、本格的な繁殖や新種作成もさかんになった。

昭和に入り戦時中、「金魚を飼っている家には爆弾が落ちない」という

流言が広がり、人々は競って金魚を買い求めた。

笑えるような、ホントの話だ。

神頼みに近いものだったのだろう。

ペットショップなどで見るとわかるが、金魚は極めて安価だ。

1匹あたりの単価でいうと、犬や猫に比べると、笑えるほどに安い。

(むろん、例外として高額な金魚もいる。

 が、その大半は低廉な価格帯である)

金魚のメリットとしては、先に書いた価格の他にも、

犬や猫のように鳴き声がうるさかったり、臭いが強かったりすることがない。

餌の量も犬や猫に比べるとはるかに少ないし、

飼育に必要なスペースは、水槽のサイズにもよるが、かなり少ない。

犬や猫が禁止のアパートなどでも、水槽で飼う金魚の場合、

OKが出ることもある。

逆にデメリットもある。

犬や猫のように、直接ふれあうことはできない。

さらに小さいとはいえ、その生活環境全てを整える必要がある。

病気になった場合、看てくれる獣医(?)というのは少なく、

近所に専門医がいないこともある。

また、旅行などに連れていくことができず、

かといって誰かに預けることも難しい。(自動給餌装置はある)

犬や猫とは、その性質が大きく違うため、

一概にどちらが優れているということは言えないが、

人間とは生活環境が隔絶しているために、それなりの距離感のある関係になる。

それをいいと感じる人も、よくないと感じる人もいる。

今回は主に、金魚の歴史に重点をおいて書いてみた。

次回は金魚の種類や形状、性質について書いてみたい。

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