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特捜ロボジャンパーソン〜その2

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前回、非情なる正義の執行者、
「特捜ロボジャンパーソン」について書いた。

書いた、とはいっても、主人公・ジャンパーソンについては
正体、出身、所属、目的(恐らく正義の執行だと思われる)、
それら全てが、完全に謎に包まれていた。
これらの謎がようやく明かされるのが、
物語の中盤である。

物語も中盤にさしかかると、
悪にそそのかされたロボットや、
利用されているロボットなど、
やや、情状酌量の余地のあるロボット犯罪者が
登場するようになる。
もちろん、ジャンパーソンは
これを容赦なく叩きのめすのだが、
最後の最後、少し手加減してやるかなー、という段になり、
突如、彼の頭の中に声が響き渡る。
「何をしている、容赦するな、
 悪は完全に破壊しろ……」
この声に、困惑・抵抗しつつも、
情状酌量の余地のある相手には、
わずかな情けをかけるジャンパーソン。
しかし、これ以降もジャンパーソンが
敵に手心を加えようとする度、
頭の中(?)に響く、謎の声。
困惑しているジャンパーソンの前に、1人の女性が現れる。
彼女の名は、三枝かおる。
国連に所属している、若きロボット工学の天才である。
そう、彼女こそ、謎に包まれたジャンパーソンの
秘密に迫るキーパーソンなのである。

彼女はジャンパーソンの訴えを聞き、彼を検査する。
だが、結果は「異常なし」。
つまり、ジャンパーソンの強烈な正義の破壊衝動は、
別段、どこかの異常によって
引き起こされているわけではなく、
彼のごく普通の「本能」によるものだったのである。
何と恐ろしく、物騒なロボットか。

なぜ、ジャンパーソンが
そんな物騒な「本能」を持っているのか?
続けて、ジャンパーソンの
出生(製造?)の秘密が明かされる。

実はジャンパーソンは、警視庁がロボット犯罪の
重武装化に対抗するために作り上げた、
武装ロボット「MXーA1」だったのである。
だが、そのあまりに高い攻撃性と、
融通の利かない勧善懲悪の精神プログラムのため、
初試験時に暴走、その後、破棄された。
このとき、「MXーA1」のプロジェクトに参加していた
三枝かおるは、廃棄された「MXーA1」を密かに回収、
これを改修してジャンパーソンへと作り直した。
この1件により、警察組織に嫌気がさしたかおるは、
警視庁を辞職、国連に参加するために日本を離れた。
日本にジャンパーソンを残して。
日本にただ1人残されたジャンパーソンは、
かおるの残した各種装備を用いて、
正義のために「独自の判断」で戦ってきた。
その戦いの中で、
かつての「MXーA1」としての精神が目覚め、
ジャンパーソンを苦しめていたのだ。

こうして明かされた、ジャンパーソンの秘密を見ると、
その全てが、この三枝かおるという女性に帰結している。
そもそも「MXーA1」を作製したのも、
彼女の関わっていた警視庁のプロジェクトだったし、
廃棄された「MXーA1」を改修し、
ジャンパーソンとして生まれ変わらせたのも、彼女だ。
ジャンパーソンの装備や、基地を用意したのも彼女。
恐らくは、彼に「悪と戦う」という使命を与えたのも、
彼女であろう。
なんのことはない。
すべては、たった1人の女性科学者が原因だったのである。

それにしても、これは驚きの事実だ。
これまで視聴者は、ジャンパーソンが悪と戦っている以上、
その背後には何らかの国家的機関、
あるいは国と繋がりのある私的機関が存在し、
そのバックアップを受けているのだろうと考えていた。
しかし、明らかにされた事実を見直してみると、
ジャンパーソンには、何ら国家的な後ろ盾はなく、
全く個人的な立場・判断から、
「悪」を制裁していたことになる。
これでは、テロリストと変わらない。
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス」と、
毎回、正義を高らかに宣言しているものの、
それにはなんら「法的な根拠」がなかったのである。
そんな恐ろしいロボットが、
「内なる声の、正義の破壊衝動」に悩んでいるのに、
「異常なし」というのは、大問題ではないだろうか?

かくして、ジャンパーソンにとって生みの親ともいえる
三枝かおるがレギュラーに加わり、物語は進行していく。
これ以降、ジャンパーソンは口数も多くなり、
急速に人間らしさを身につけていく。
また、「ネオギルド」に反旗を翻したロボット、
ガンギブソンも仲間に加わる。
このガンギブソンは、ジャンパーソンとは好対照に
明るく陽気な性格で、情に厚く、
お前、本当にロボットか?と思ってしまうほど、
人間味溢れるロボットであった。
(ただ、この番組に出てくるロボットは、
 犯罪者ロボットであったとしても、
 ジャンパーソンよりはよほど人間的である)

かくして物語は中盤に至り、
ようやく普通のヒーローものとしての体裁を
なすようになる。
冷酷非情であった正義の執行者は、
ようやく、(わずかながら)情のあるヒーローへと
転身したのである。

こうして何の後ろ盾もなく、
正義を執行し続けるジャンパーソン。
本来であれば、警察から
「犯罪者・テロリスト」の烙印を押され、
指名手配の憂き目に遭う所だが、
この番組中では、そのような事態には陥らない。
なぜか?
恐らくは、警察組織でも、ジャンパーソンが
かつて自分たちの開発した「MXーA1」であることに
気がついているからではないだろうか?
色こそ「緑」から「紫」へと変わっているものの、
細部はほとんど変わっていないのだ。
かつての「MXーA1」プロジェクトに
関わっていた人間なら、
一目見ただけで「ジャンパーソン」=「MXーA1」だと
見破ることだろう。
その上で、ジャンパーソンを放置しているのは、
現状、ジャンパーソンなくしては、
ロボット犯罪に対応できないためか、
あるいは、ジャンパーソンの勝手気侭な正義の執行が、
一部で厳しく問題視されており、
今更、アレは「警視庁謹製のロボット」です、
とは言えない状況なのかもしれない。
どちらにしても、警視庁上層部の「保身」が
その原因であることは間違いなさそうである。

かくしてジャンパーソンと悪の組織の対決は、
番組後半に入り、激しさを増していく。
果たして勝つのは、悪の組織かジャンパーソンか?

次回は、ジャンパーソンと悪の組織、
その戦いの結末について書いていく。

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