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快傑ズバット〜その2

投稿日:

前回、特撮ドラマ「快傑ズバット」を、
1話の流れに沿って紹介してみた。

今回はちょっと視点を変えて、
主人公・快傑ズバット、早川健を中心にして、
見ていきたい。

主人公、早川健に関しては、
ドラマの中で、あまり詳しく掘り下げられることはない。
番組第1話の登場シーンからして、
例のギターをかき鳴らしながらの登場、
そのまま用心棒との対決になるので、
主人公・早川健がどのような経歴を持つ人間なのか、
全く語られないままにドラマが始まる。
第1話からわかることは、

・科学者・飛鳥五郎の親友であること
 (もっとも早川は、親友の飛鳥に
  妹がいることも知らなかった)
・私立探偵であるらしいこと
・とりあえず拳銃の腕前は、日本一であること
・やたら気障であること
・飛鳥の残した設計図から、ズバットスーツとズバッカーを
 製作できる技術と環境を持っていること

くらいである。
後は全く、早川の出自は不明で、
謎の男であった。
以降、ストーリーが進んでいっても、
主人公・早川についての情報はほとんど増えず、

・東条という刑事が、大学時代からの友人であること
・他にも色々日本一であること

くらいがわかる程度であった。
これでわかることは、
早川が大学へ行っていたことくらいだろう。
早川がズバットスーツを、
まがりなりにも完成させていることから考えると、
工業系の大学だったのか?という推測も出来る。
が、これだけでは、早川のバックボーンは
まるで見えてこない。
一体どんな人生を送ってきたら、
あんな強烈な人格の人間に育つのか、という
肝心の所は不明のままである。

この状況が大きく動いたのが、
第21話「さらば瞼の母」である。
思わず、どこの渡世人だよ、と突っ込んでしまいそうな
サブタイトルだが、よくよく考えてみれば、
飛鳥五郎を殺した犯人を捜して、
あちこちの町をさすらっている早川は、
任侠時代劇の渡世人と、大して変わらない。

例によって、物語冒頭、悪党に攫われそうになっている
女性を助けるのだが、その女性の顔を見て早川は驚く。
「お母さん……」
え?え?お母さんって、こいつ(早川)の?
そりゃあ、早川も人間である(?)以上は、
父親も母親もいるのだろうが、
あまりにいきなりの登場である。
早川は、女性を助けた後、嬉々として花束を持ち、
母親を尋ねていくのである。
実は早川の母親は、彼が4歳のときに家出をし(早川談)、
それ以来、行方がわからなかったのだ。
意気揚々と母を尋ね、
自分が息子であることを名乗る早川。
しかし、母は早川を息子ではないと拒絶するのである。
すでに母は地元の有力者と再婚し、
新しい家庭を持っていたのだ。
ショックを受けた早川は、
「俺のおふくろは、あんな人じゃない!」
と叫んで、母の家(屋敷)を飛び出していくのである。

とはいえ、母親が何者かに狙われているのは事実。
早川は母親の新しい家庭を守るため、一晩中、
屋敷の警護をするのである。
……ギターを弾きながら。
やはり、どこかトチ狂っている早川の行動だが、
今回は母に拒絶されたショックで、と言い訳も出来る。

結局、すったもんだの末、
母を狙っていた悪の組織を壊滅させた早川は、
母と妹(異父妹)が自分を探しているのに背を向け、
1人で去っていくのである。

主人公・早川健の素性に関わってくるエピソードは
これだけである。
どういう原因があったのか分からないが、
早川の幼いころに、父と母は離婚し、母は家を出たのだ。
通常の離婚の場合、相当な理由がない限りは
幼い子供の親権は、母親に行く。
だが、早川は父親の元に残されている。
考えられるのは、母親が子供に対し虐待をするなどして、
親権者として不適当であると見なされたか、
あるいは、母親自らが親権を放棄したかである。
今回のケースを見ている限りでは、
どうやら後者のようである。
恐らくは、父親側の実家が裕福だったので、
行くアテもない自分が引き取るよりはと、
母親が親権を手放したのではないだろうか?

早川の父親がその後、再婚したのかどうかは不明だが、
22年ぶりに再会した実母に、
あそこまで嬉々として会いにいく以上、
父、さらにその後妻とは、
円滑な関係を築けなかったのではないか?
そんな家庭の事情が、
あの強烈な個性を生み出したのだろう。

他のエピソードで、
早川が食事をするシーンがあるのだが、
わりとガツガツと行儀の悪い食べ方もしている。
裕福な家の子にしては、マナーがなっていない。
ひょっとしたら、母を追い出した父親に反抗し、
あまり実家に寄り付かない子供だったのかもしれない。

こういう見方をすれば、どうして早川が
「私立探偵」をやっているのかを、推測できる。
つまり、仕事として人探しなどを行なう「私立探偵」は、
かつて自分の元から去っていった「実母」を探すのに、
うってつけだったのではないか?
だから彼は、大学を卒業した後、「私立探偵」になった。
第1話で、親友・飛鳥五郎が殺され、
その犯人探しを誓うまでは、
私立探偵・早川健は、自分の「実母」を探して
旅をしていたのだろう。
それがどういう因果か、
親友殺しの犯人を追う旅の途中で、
たまたま「実母」に巡り会ってしまった。
だとすれば、最終回、
飛鳥五郎を殺した犯人を捕らえ、
これを叩きのめした早川健には、
すでに「私立探偵」を続ける理由は無くなっている。

最終回後、果たして彼は「私立探偵」を続けたのか?
それは誰にもわからない。

第1回はパターン化されたストーリーに焦点をあて、
今回は主人公・早川健に焦点をあててみた。
次回は、ズバットの宿敵「ダッカー」と、
早川の戦いについて突っ込んで……、いや、
考察していきたい。

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