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節分

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最近、世の中では何事も
前倒し、前倒しでやっていく風潮がある。

この風潮は商業施設において特に顕著で、
衣料品店などでは、夏には秋物、冬には春物と、
ひとシーズン早い展示をしている。
その内に、夏に冬物、
冬に夏物なんてことになるかもしれない。

この風潮は、スーパーなどでも見られる。
11月に入ったら、もうクリスマスの宣伝がはじまり、
クリスマスが終われば、翌日にはお正月の宣伝がはじまる。
お正月が終われば、節分とバレンタインデーである。
今、スーパーは恵方巻きとチョコレート、
そして大豆を売ろうと、必死になっている。
大豆などは、家庭で調理するには面倒な食材なので、
そうそう売れる物でもないのだが、
この時期だけは、節分需要で一般家庭に大豆が売れる。
だから、特別に節分コーナーを設置し、
節分用の大豆を大々的に販売している。

メーカーもしたたかで、この時期にはパッケージが
節分をイメージしたものに変わったり、
ボール紙製の鬼のお面がオマケについてきたりする。
さらに家庭で豆を煎るのが面倒だ、という人のために、
すでに炒ってある豆も販売されている。
全く、いたれりつくせりだ。
最近はさらに炒り豆の種類が増えていて、
チョコレートでコーティングされた炒り豆もある。
きっと、大豆を炒っただけの素朴な炒り豆では、
子供に対するアピールが弱いのだろう。
チョコでコーティングされた炒り豆は、
子供にもウケが良さそうである。
ひょっとしたら、甘く香ばしい
チョココーティングの炒り豆は、鬼も喜ぶかもしれない。
そう考えると、なんだか本末転倒な気もしないではない。

そもそも、「節分」とはどういうものなのか?
この問いに、パッと答えられる人は少ないだろう。
実は「節分」というのは、季節の分かれ目のことである。
「季(節)の(分)かれ目」から、色々さっ引いて、
「節分」と呼ぶようになった。
ん?ちょっと待てよ?
日本には季節は4つあるんだから、節分も4つあるのか?
と思った人もいるだろう。
その通りである。
純粋な意味での節分は、四季それぞれの季節ごとにあって、
それぞれ、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の
前日が「節分」にあたる。
カレンダーを確認してもらえればわかるが、
2月3日の「節分」の後には、必ず「立春」がきている。
もちろん、立春というのは固定されてはいないので、
年によって変わってくることがある。
その場合、「節分」もそれに応じて変わることになる。
本来ならば、四季それぞれに「節分」があるはずだが、
実際に「節分」の行事を行っているのは、
「立春」だけである。
かつては、それそれの季節ごとに、
「節分」を行なっていたのかもしれないが、
やがて「立春」、つまり春の「節分」が
もっとも重要視されるようになった。

では、どうして「節分」に炒った豆を撒くのか?
これには、陰陽道の考え方が影響している。
陰陽道では、季節の変わり目には
「陰」と「陽」が入り混じり、
邪気を生ずると考えられていた。
この邪気が、「鬼」として捉えられ、
これを追い払うために、炒り豆を撒くようになった。

なぜ、「豆」をまくようになったのか?
それにはこんな由来がある。
宇多天皇の時代、鞍馬山の鬼が都を荒らすので、
この鬼の目に炒り豆をぶつけて潰し、
鬼を追い払ったという話だ。
穀物には、魔除けの呪力が備わっていると考えられており、
そのため、豆をぶつけるという発想が生まれた。
穀物に呪力があるということなら、
別に豆でなく、何でもいいような気もするが、
当時は鬼にぶつけて、ダメージを与えられそうな穀物は、
豆しかなかったのかもしれない。
また豆は「魔滅」、
つまり「魔を滅する」に通じるものともされていた。
日本人の好きな、語呂合わせである。
ちなみに、このとき、鬼にぶつけられた豆の総量は
三石三升といわれている。
「石」「升」というのは、体積を表す単位で、
1升は1.8ℓ、1石は180ℓということになる。
つまり鬼は550ℓ近くの豆をぶつけられたことになる。
ドラム缶3本分に近い豆を、
ひたすらぶつけられたのである。
ひょっとして鬼は、豆が痛かったのではなく、
延々と、狂ったように豆をぶつけ続けてくる
人間そのものが、恐ろしかったのかもしれない。

豆をぶつける以外にも、
ニンニクやラッキョウの類いを串に刺したり、
イワシの頭を焼いて、柊の小枝に刺したりしたものを、
戸口にかかげることも行なわれている。
これらは、その臭いによって
鬼を退散させようというものだ。
もちろん、この方法では人間の住居も臭くなるので、
一種の自爆戦法のような気が、しないでもない。
しかし、魚を焼いた臭いや、
ニンニク、ラッキョウの臭いで逃げていくのだから、
以外と鬼は綺麗好きな、繊細な性格のようだ。

これまで書いてきた通り、
「節分」は季節の変わり目である。
今年の節分は2月3日だが、
暦の上では、その翌日から春ということになる。
春とはいっても、気温はまだまだ低い。
長期天気予報では、
今年の冬は「暖冬」なんてことをいっていたが、
ここ最近の寒さは、身に沁みるレベルである。

2月4日を境に、しっかりと暖かくなってくれるように、
今年は豆を買ってきて、
少し撒いてみることにしようと思う。

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