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光明山大蛇伝説

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この世に存在する生き物の中で、
何が一番嫌いかといって、ヘビほど嫌いな物はない。

山に登る人間にしては、珍しいかもしれない。
夏から秋にかけての山の中では、
よくヘビに遭遇するからだ。
もちろん、ヘビの姿を見た瞬間、思わず身体が固まり、
イヤーな汗が背中を流れる。
大方のヘビは、こちらに気がつくと、
シュルシュルと山の中へと逃げていく。
だが、たまに図々しいヘビがいて、
道の真ん中に堂々と居座る奴がいる。
そういう場合は、こちらも声を出して威嚇したり、
距離をとって石を投げてみたりする。
(ぶつけたりはしない、
 ヘビがこっちに向かってくると、恐いからである)
そうすると、大体のヘビはシュルシュルと逃げていく。

そういうことを繰り返していると、
ヘビの気配というものに敏感になっていく。
山道を歩いていても、
かなり離れた場所や、
目立たない場所にいるヘビにも気づくようになった。
友人と一緒に山に登っている時も、
ほぼ100%、自分の方が先にヘビに気づく。
まるで「機動戦士ガンダム」に出てくる
ニュータイプのようである。
(相手がヘビというのが情けないが……)
最近では、草むらの中に隠れているヘビの気配も
察知できるようになった。
まさに、ヘビへの苦手意識が生み出した、
超人的な能力である。

延々とヘビが苦手なことを書いてきたが、
今は冬である。
ヘビのオフシーズンだ。
このような時期に、ヘビについて書くのは理由がある。

前回、光明山で見つかった陶片に刻まれた、
「パスパ文字」について書いたが、
この際、光明山について調べていると、
恐ろしい情報が、みつかった。
陶片の見つかった光明山に、大蛇が出たという話だ。

大蛇。
「おろち」と呼ぶこともあるが、
今回の件については「だいじゃ」と呼んだ方がいいだろう。
光明山についての情報を集めていると、
その中にいくつか、
「大蛇が出た」というものがあったのだ。

あー、あれでしょ。
昔話などで、巨大な大蛇が沼の中に住んでいるとか、
お坊さんに退治されたとか、そういう話でしょ?
と、思う人が多いかもしれないが、
これはそういう昔話ではない。

時代は今から、100年ほど前。
光明山での大蛇目撃情報は、その辺りに集中している。
時代でいえば、大正時代から昭和初期くらいだろうか。
話の種類で分別するなら、
これは「昔話」というよりは、
「未確認生物目撃情報」に近い。
この時期、光明山付近において、同サイズの大蛇が、
かなりの数の人間に目撃されているのだ。
ここで目撃された大蛇のサイズは、
全長4m、胴回り30cm、
黒色で、体側に黄色い菱形の模様があったという。

さらに別の情報では、タケノコ採りに山に入った人間が、
木の枝からぶら下がっていた大蛇に、
頭からパクリと噛みつかれ、
飲み込まれそうになったという。
このときは、なんとか無事に助け出され、
全員無事に逃げ仰せたそうだが、
このときに大蛇に噛みつかれた人物は、
数ヶ月後に亡くなったという。
噛みつかれた時期と、
死亡した時期に大きなズレがあるので、
この大蛇の「毒」で亡くなったとは思えないが、
噛まれた傷が化膿し、
体調を崩して亡くなった可能性もある。

まず4mというサイズがリアルだ。
巨大すぎることも無く、現実にあり得るレベルの大きさだ。
インドのニシキヘビや、アマゾンのアナコンダなどは、
現実にこれ以上のサイズになるわけだから、
4mのヘビというのは、
「充分に存在しうるサイズ」のヘビである。
胴回り30cmといわれれば、
一瞬、電柱のような太さをイメージしてしまうが、
本当に胴回りが30センチであったとすれば、
計算すれば胴の直径は10cmほどになる。
……。
定規を持ち出して、10cmを確認してみると、
かなりの太さである。
それこそニシキヘビなどと、
同じくらいの太さに感じられる。
ヘビの顎は、自分の太さよりも大きく開くので、
確かに人間の頭くらいなら、パックリといかれそうだ。
ただ、リアルではあるが、
日本にはそんなサイズのヘビはいない。
そこが、最大の問題である。

近年、ペットとして飼われていたヘビが逃げ出し、
これが見つかって、大騒ぎになる事件も起きている。
しかし、この事件が起こったのは、今から100ほど前。
その時代に、ペットとして
海外の巨大なヘビを飼っているなどということが
あるわけがない。

と、いうことは、ここで目撃された大蛇は、
日本に古来から棲息しているヘビが、
巨大化したもの、と考えた方が自然である。
日本に棲息しているヘビで、最大のサイズに育つのは
アオダイショウで、2mまで育つものがいる。
これが2倍の大きさになれば、
目撃されたヘビに、極めて近いサイズの大蛇になる。
しかし、アオダイショウが
そんなに巨大になる確率はどれくらいなのか?

実はこの光明山のすぐ近く、
相生市矢野町にはこんな伝説が残っている。

6世紀の末ごろ、聖徳太子の配下であった秦河勝が、
蘇我入鹿に憎まれて、赤穂へと逃れてきた。
彼が矢野の里で狩りをしていると、
連れている犬が激しく吼えるので、その首を刎ねた。
すると、その刎ねられた犬の首が飛んでいき、
河勝に襲いかかろうとしていた大蛇に噛みついた。
河勝は犬に泣いて詫び、持っていた弓を折って
犬のために3本の卒塔婆を作った。

犬が吼えたくらいで首を刎ねてしまう、
河勝の人格については、色々突っ込みたい所はあるが、
今回はそこはいい。
問題は、河勝を狙っていたという「大蛇」である。
ここには「大蛇」のサイズは残っていないが、
光明山の近くには、
このような「大蛇伝説」も残っているのである。
さらにこの近くには「大蛇の谷」と呼ばれる場所もある。
大蛇と縁の深い土地なのだ。

この三本卒塔婆の話が6世紀のことだから、
西暦500年代の終わりごろのことだろう。
一方の光明山の大蛇目撃例は、
今から100年前、1900年代の初頭だ。
大蛇が現れたのは、この2例だけではないかもしれないが、
あくまでもこの2例から判断するならば、
約1500年に一度、大蛇が現れていることになる。

以前、この2カ所に近い、
相生市の最高峰・三濃山に登った際、
かなりの数のヘビに遭遇した。
中には1m50cm(目測)以上の巨大な黒ヘビもいた。
元々この一帯には、多くのヘビが棲息しているのだ。
そんな中から、1500年に一度くらいの確率で、
従来では考えられないほどの、
巨大なヘビが現れるのではないだろうか?

相生市矢野町域の山は、
自宅からすぐにアクセスできるので、
よく登りにいく山が多い。

まかり間違っても、登山中に
そんな大蛇に遭遇しないよう、祈るのみである。

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