一般にミステリ、といえば推理小説のことである。
正確にはもっと細かい定義があるらしいが、一般人の認識としては
ミステリ=推理小説として問題はないだろう。
で、そのミステリだが、ミステリマニアにいわせれば
ミステリと言うジャンルの中で、さらに細分化されているらしい。
本格ミステリ、社会派ミステリー、ハードボイルド、時代ミステリ等々。
本格ミステリと言えば、横溝正史の「金田一シリーズ」などがある。
日本で最初のミステリブームを巻き起こしたのが、このジャンルであり、
前述の「金田一シリーズ」などはその代表作と言える。
社会派ミステリは、実際の社会問題をテーマにしたミステリで、
代表的な作家としては、松本清張などがいる。
戦後、本格ミステリによって始まったミステリブームは、
次第に社会派ミステリへとシフトしていった。
ハードボイルドは海外作品のイメージが強い。
有名な所では、レイモンド=チャンドラーの「フィリップ=マーロウ」
のシリーズなどが有名である。
「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きている資格がない」
と言う有名な台詞は、このマーロウの台詞である。
時代ミステリと言うのは、時代劇とミステリを一緒にしたような作品で、
「捕物帳」などとタイトルについているのは、時代ミステリであることが多い。
有名どころでは野村胡堂の「銭形平次捕物控」、岡本綺堂の「半七捕物帳」
などがある。
さて、今回紹介する東川篤哉の「烏賊川市シリーズ」であるが、
これはユーモアミステリ、ということで売り出されている。
今までにないジャンルだが、やっていることは本格ミステリに近い。
ストーリーがギャグタッチで書き上げられているので、
どの話も肩の力を抜いて楽しめる。
2014年1月から「私の嫌いな探偵」のタイトルで、TVドラマが放映中だ。
そちらを見ていただければ、大体どういう作風なのかはわかってもらえるだろう。
TVドラマ化において若干(?)の原作改編が行なわれているので、
テレビドラマを見た後に、原作を読んでもらっても、
新鮮に楽しんでもらえる、かもしれない。
この「烏賊川市シリーズ」、3人のキャラクターがレギュラーとして出てくる。
探偵である、鵜飼杜夫。
助手である、戸村流平。
そして鵜飼探偵事務所の入っている「黎明ビル」のオーナー、二宮朱美。
かつてイカ漁でさかえた、烏賊川市を舞台に繰り広げられる、珍妙な事件の数々。
この珍妙な事件の数々に立ち向かう、おかしな3人組。
なぜかその事件には、やたらイカの影がちらつく?
もちろん烏賊川市というのは、架空の都市である。
東川篤哉ミステリの中では、最多のシリーズである。