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食べ物

コメ~その3

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前回、前々回と、コメについて書いてきた。

今回は、コメの種類と味について書いていきたい。

食べ物の色、というのはそのまま食欲に直結する。

例えば、今回取り上げているコメだが、コメといえば「白」というのが、

もはや固定概念といっていいほどに、定着している。

「白飯」などという言葉は、それの最たるものだ。

「銀シャリ」という言葉もあるが、これも「白飯」を意味する言葉だ。

つやつやと輝く様を、「銀」という言葉で表現した。

これが玄米ということになると、真っ白には炊きあがらない。

ほんのりと薄いクリーム色だ。

どこかで見たことのある色だ、と思ったら糠の色だ。

玄米ご飯というのは、糠がついたままのご飯なわけだから、

糠の色に炊きあがるのは、自然なことだ。

香りも糠の臭いがする。

糠がついているのだから、当たり前の結果だ。

「赤米」と呼ばれるコメがある。

玄米でいう所の、糠の部分が赤く、しかもきれいに取り除くことができない。

だから赤い色の残ったコメになる。

これを炊くと、当然、赤いご飯が出来上がる。

現在ではほとんど栽培されておらず、わずかに神事用として、

作られているにすぎない。

しかし、赤いご飯というのは、普通に身の回りで見ることができる。

そう「赤飯」だ。

日本では晴れの食として食べられ続けてきた「赤飯」は、

餅米の中に小豆と、その煮汁を混ぜて、赤く蒸し上げたものだ。

これは「強飯(こわめし)」とも「おこわ」とも呼ばれるものだ。

「白飯」についでなじみ深く、スーパーや和菓子屋などでいつでも買える。

また電子レンジで作るレトルトパックも、販売されている。

「黒米」というものがある。

例に寄って、玄米の糠部分が黒いものだ。

ただ赤米に比べると、糠部分をきれいに取り除くことができ、

取り除いてしまうと、全く普通の「白米」になってしまう。

従って、この「黒米」を味わう場合、玄米状態で味わう必要がある。

普通の「白米」に混ぜて炊くと、紫色になるため「紫黒米」とも呼ばれる。

長粒種で、細長い粒が特徴。

古代米ということで、自分の地元たつの市でも作られ、

レストランに紫黒米のメニューが並ぶこともあるが、

わりと赤飯ぽい仕上がりの色になっている。

つまり、あまり黒くない。

「緑米」というのもある。

……もうなんでもありだ。

が、これは他のものとちょっと違っていて、餅米である。

玄米状態のまま、白米に混ぜ込んで食べることになる。

ただこの「緑米」が、他の色米と違う所は、色移りがないのでご飯全体が

緑色に染まることはない。

「白飯」の中にぽつぽつと「緑飯」が混ざっているだけである。

だからあまり食べることに抵抗はない。

この他、「黄」や「茶」の色のついたご飯なら、それほどの抵抗はないはずだ。

「黄」はサフランなどを炊き込んだもので、

「茶」は醤油で炊き込んだご飯などで、よく見かけるからだ。

もっともこの2色に関しては、自然の米でこの色を持っているものはない。

ここまでは色で米を見てきた。

ここでちょっと見方を変えて、香りというものに注目してみたい。

「香り米」だ。

「香り米」というのは、玄米に香りを持つコメのことだ。

これを普通米と一緒に炊き込むと、香りがよくなるともいわれる。

よく料理漫画などでは、すばらしい味のコメとして絶賛されていることが多い。

しかし実際に、食べたことのある人の評価を聞くと、

必ずしもよい評価ばかりではない。

ここで「香り米」を食べた人の評価をあげてみたい。

・ポップコーンの香り

・ナッツのような香り

・茹でた豆類の香り

・スミレの花の香り

・ネズミの尿の臭い

以上5つの感想を書き出してみた。

少なくとも、上3つに関していえば、食べ物の香りに例えられている。

それも穀物類の臭いだ。

しかしどれもコメの本来の香りとは、違った香りだ。

現代人にとっては、ポップコーンの香り、というのが一番わかりやすい。

スミレの花の香り、というのも一応、よい香りということだろうか?

しかし最後のはひどい。

ネズミの尿の臭いだ。

例えるものに、悪意さえ感じる。

しかし、江戸時代の文献の中に「鼠早稲」という、香り米の表記もある所からも、

やはり香り米と鼠の臭いというのは、きってもきれないものらしい。

その臭いの中に、共通するものがあるのだろう。

香り米というコメが、一般的でなく、かなりマイナーな存在なのも、

やはりこの「鼠の尿の臭い」という捉えられ方が、大きく影響していたのだろう。

誰が好き好んで、貴重なコメに「鼠の尿の臭い」を加えるだろうか。

しかし現代、家庭からは鼠の影はほとんど無くなってしまった。

当然、「鼠の尿の臭い」を知っている人間というのは、

ずいぶんと減っているだろう。

そういう現代人にとって、香り米の香りはポップコーンやナッツの香りだ。

むしろ現代人なら、この香り米の香りを、

肯定的に受け止めることができるだろう。

現代という時代こそ、香り米にとって真価を発揮できる時代なのかもしれない。

今回取り上げた色米、香り米はともになかなかに高価で、

標準小売米の大体2~3倍の値段である。

もっとも全量炊くわけではなく、普通の白飯にいくらかを混ぜて炊くだけなので、

思ったほどに不経済なわけではない。

かつてはかなり特殊なルートでないと手に入らなかった、こういうレアなコメも

現代ではインターネットを通じて、手軽に購入できる。

興味のある人は、是非気軽に試してみてもらいたい。

最初に、コメの「味」について書くとしたが、

実際にはあまり味そのものについては触れていない。

コメの食味を表している言葉を見ると、「柔らかい」「香りがいい」

「ご飯粒がたっている」「艶がいい」などとあるが、

これは味そのものについての言葉ではない。

味については「甘みがある」としか表現はない。

冷静に考えてみれば、コメの甘みというのはそれほど強いものではない。

それに、どんなにおいしいご飯でも、それだけを食べ続けることはできない。

結局の所、コメの味というのは、味そのもの以外の所で決まっているのだ。

コメというのは、本当に不思議な食べ物である。

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