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歴史 食べ物

キャンディバー

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通常、山登りをする場合には、
食事としての食料の他に、非常食を用意する。

さらに場合によっては、「行動食」という、
途中の小休憩中に、食べるものを用意することがある。
「行動食」などという書き方をすれば、
何か厳めしいもののように感じてしまうが、
具体的には、休憩中に食べるオヤツのことである。
これには、おにぎりやサンドイッチなどよりも、
クッキーやチョコレート、飴玉などが使われることが多い。
まさに「お菓子」といったラインナップである。

もちろんこれには、ちゃんとした理由がある。
おにぎりやサンドイッチに豊富に含まれる炭水化物は、
身体の中で分解されて、
エネルギーに代わるまでに時間がかかる。
逆にお菓子に大量に含まれている糖分は、
食べてすぐにエネルギーに変換される。
山登りなどの、継続的に大量のエネルギーを必要とする
運動では、運動途中でのエネルギー補給が必要になってくる。
その際、エネルギーに代わるのに時間のかかる炭水化物より、
すぐにエネルギーに代わる糖分の方が、
効率的なエネルギー補給が出来るのである。
面白いもので、普段生活している中で、
「甘いものは嫌いで食べない」などといっている人でも、
登山中には、甘いものを美味しそうに食べることが多い。
やはり疲れた身体が、
それだけエネルギーを求めているということなのだろう。

そういう場合の、エネルギー補給食品として、
一定の評価を受けているのが「キャンディバー」である。
我々日本人には、聞き慣れない言葉だろう。
「キャンディ」といえば、日本では飴などを思い浮かべる。
「バー」といえば、棒のことである。
だから単純に考えるのなら「キャンディバー」は、
「棒状の飴」あるいは「棒つきの飴」
などという風に考えてしまう。
「棒状の飴」だと、千歳飴などのことだろうし、
「棒つきの飴」だと、ペロペロキャンディを思い浮かべる。
しかし、ここでいう「キャンディバー」とは、
「スニッカーズ」や「キットカット」などに代表される、
「チョコレートバー」のことである。
え?全然「飴」の要素がないじゃない、と思われるだろう。
確かに日本では「キャンディ」といえば、
「飴」ということになるのだが、
アメリカなどでいえば
「キャンディ」という言葉に含まれる範囲はグッと広く、
ガムやチョコレートなども含んでしまうからである。

そもそも、欧米におけるお菓子は、
大きく2つに大別される。
ひとつはパティスリーと呼ばれる、焼き菓子である。
クッキーやパイなどがこれに含まれ、
パン類などと一緒に販売されていることが多い。
フランスなどでは、洋菓子などを専門に扱うベーカリーを
パティスリーと呼ぶ。
もうひとつはコンフェクショナリーと呼ばれる、
オーブンなどで焼かないお菓子である。
こちらは砂糖菓子などを代表として、
チョコレートやガムなども含まれる。
このコンフェクショナリーの中の、
ひとつの大きなジャンルとして「キャンディ」が含まれる。
この「キャンディ」の中には、
ヌガー、マシュマロ、キャラメル、ガム、チョコレート
などが含まれているのだ。
ここに挙げたお菓子の名前を見てもわかるように、
わりと工場で大量生産されているお菓子が多い。
「キャンディ」という言葉には、
日本でいう所の「駄菓子」的なニュアンスが含まれている。
アメリカには「キャンディ・ストア」と
呼ばれる菓子店があるが、
これはアメリカの駄菓子屋と認識してもいいだろう。
つまり「キャンディバー」という言葉は、
「棒状の駄菓子」という風に捉えることも出来る。
アメリカ人などは、むしろそのように捉えている。

このキャンディバーの誕生には、
1893年に開かれたシカゴの万国博覧会が関係している。
そう、「ブラウニー」誕生の際にも出てきた博覧会だ。
この博覧会に展示されていた、
チョコレート製造機を目にしたミルトン・ハーシーは、
早速これを購入、翌年、2種類のキャンディバーを発売した。
これが現在でもアメリカで販売されている、
ハーシーのミルクチョコレートバーと、
アーモンドチョコレートバーである。
これが、アメリカ最大のチョコレート会社、
「ハーシー」の始まりであった。
1893年のシカゴ万国博覧会は、
アメリカにおけるチョコレート菓子の歴史において、
「ブラウニー」と「キャンディバー」という、
2つの大ヒット商品を生み出すきっかけになったのである。

この「キャンディバー」、スナックバーとも呼ばれる。
スナックという言葉には、
オヤツ・おつまみ・軽食などという意味があるが、
登山中の「行動食」として、これを食べる場合には、
「軽食」として、栄養補給の意味合いの強いものになる。
実際に販売されている商品を見れば、
お菓子売り場に置かれているにもかかわらず、
「栄養補給」、「エネルギーチャージ」などという、
宣伝文句が印刷されている。
また、登山などの場合、
「非常食」を持つということも書いたが、
このキャンディバーは、「非常食」としても
広く使われている。
そういう意味では、登山者にとって
必需品ともいえるお菓子である。

火やお湯、水などがなくても、すぐに食べられる
キャンディバーは、非常用の食料として、
災害用に備蓄しておくのもいい。
賞味期限が近づいてくれば、
そのままお菓子として食べてもいいし、
山に持って行って、「行動食」として食べるのもいい。
ただ、小さな子供のいる家庭では、
いつの間にやら子供の目に留まり、
気がついたら、全部食べられてしまっていた、
ということも、充分に起こりうる。

いざというときに困らないためにも、
子供の目につかない場所、
手の届かない場所に保管しておこう。

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