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クリスマス≠キリストの誕生日なワケ。

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年末も迫り、世はクリスマス一色だ。

町を歩いてみると、ありとあらゆる場所で、
クリスマスバーゲンをやっている。
スーパー、ホームセンター、おもちゃ屋、雑貨屋などなど、
クリスマスバーゲンを謳ったチラシを配り、
少しでも売り上げを伸ばそうと、懸命である。

先週の日曜日、ここのところお馴染みになっている
教会の「クリスマス祝会」に行ってきた。
前回にも書いたが、教会の信者や、
それ以外の人たちを招いての会食である。
イメージとしては、アメリカンホームパーティーを
思い浮かべてもらいたい所だが、
実際の所は、前回も書いた通り、
ジャパニーズ食い放題と言った方がいい雰囲気だ。
もちろん、ずっと食べているわけではなく、
食事の後には、礼拝堂(?)にて各種出し物が催される。
信者の人たちによる賛美歌や、
クリスマスソングに合わせたダンスなどが披露され、
最後には全員が輪になって、プレゼント交換会になる。
このイベントに参加するようになる前は、
クリスマスといえば、
若い男女がイチャコラするだけのイメージだったので、
これとは全く趣の違う、教会の「クリスマス祝会」は
懐かしい子供時代を思い起こさせてくれるものだった。

クリスマスといえば、イエス=キリストの誕生日だ。
これは、広く認識されている事実だ。
今から約2000年前の12月25日に、
ベツレヘムで生まれたとされている。

しかし、これには異説もある。
キリストが誕生したのは、12月25日ではないというのだ。
そもそも、キリスト教にとってクリスマスとは、
「イエスが生まれたことを記念する日」であって、
キリストの誕生日、という捉え方をしていないのだ。
古代から、キリストの誕生日については
様々な説があり、12月25日と半年近く離れた
5月20日だともいわれていた。
新約聖書の中にも、イエスの誕生日に関する記述はない。
そのため、イエスの誕生日については
12月25日の他にも、5月20日、9月15日、
10月1日か2日などがある。
新約聖書の中には、羊飼いがイエスの誕生を祝った後、
再び夜の見張りに戻ったという記述があることから、
イエスが生まれたのは、羊を放牧する
4月~9月の間であるとも考えられる。
この説では、期間が長過ぎて誕生日の特定は不可能だが、
従来の説の中では、5月20日と9月15日が
この期間内に収まっている。
他ならぬ、新約聖書の記述からの推測なので、
実際の所、誕生日はこのどちらかもしれない。

ではどうして、12月25日に
イエスの降誕を祝うようになったのか?
調べてみると、12月25日に
イエスの降誕を祝う「クリスマス」は、
西暦345年には、すでに始まっていたようだ。
この時点ですでに、イエスの生きた時代からは
300年ほど経過している。
当然、イエスの誕生日を知っている人間など、
生き残っているはずもない。
となると、もともと12月25日という日付自体に
何か意味があり、それにクリスマスを便乗させた、
とは考えられないか?

実はキリスト教が生まれた時代、
ミトラス教という宗教が、すでにローマ帝国内にあった。
これは太陽神ミトラスを主神とした宗教で、
主に下級層によって信仰されていた。
この点、キリスト教と信者の層が重なっている。
このミトラス教は、後にキリスト教の伸張によって
衰退して行くのだが、
このミトラス教の主神・ミトラスが生まれたとされるのが、
12月25日であった。
場所と時期が一致している所から考えると、
ライバルであるミトラス教の誕生祭に合わせ、
キリスト教でもイエスの誕生祭を
祝うようになったのではないだろうか?
いわば、相手のイベントに、自分のイベントをぶつけ、
相手のイベントを潰しにかかったのだ。
やがてミトラス教の衰退は進み、
5世紀ごろには消滅してしまう。
結果として、12月25日には
「クリスマス」のみが残ることとなったのだ。
誕生日すらわからないイエスの降誕を、
12月25日に祝うようになったのは、
キリスト教草創期における、
宗教同士の勢力争いの、いわば名残だったのだ。

さて、この「クリスマス」。
日本では、この前日を「クリスマスイブ」としている。
しかし、正確にいえば、これは正しくない。
元々キリスト教では、一日の区切りというのは、
「日没」であった。
つまり「日没」の時点で、日付が変わる。
我々が、24日夜としている時間は、
キリスト教の暦で言えば、25日夜ということになる。
つまり時系列でいえば、
24日日没→25日夜→25日昼→25日日没→26日夜
ということになる。
そもそも「クリスマスイブ」の「イブ」は、
「イブニング(夜、晩)」のことである。
つまりは「クリスマスの夜」ということだ。
我々の感覚でいえば、24日の日没から
「クリスマスイブ」が始まり、
25日の日出をもって、「クリスマスイブ」が終わる。
よく耳にする「聖夜」という言葉は、
あくまでも24日の夜を指す言葉であり、
25日の夜は「聖夜」ではない。
キリスト教でいえば、そこはすでに26日なのだ。
よくスーパーなどで、25日の夕方に
クリスマスケーキが半額などに値下げされ、
投げ売り状態になっているが、
あれこそまさに、クリスマス終了のタイミングだったのだ。
無論、販売者側にはそのような意図はないだろうが、
あのタイミングでケーキを値下げするのは、
何やら暗示的でさえある。

日本では25日の終了をもってクリスマスも終わるが、
実は世界には、その後もクリスマスが続いている所もある。
カトリックの影響の強いヨーロッパの国々では、
クリスマスは12月25日に始まり、1月6日に終わる。
1月6日は公現祭であり、主の洗礼を記念したり、
異邦人に対する主の顕現を記念したりする日だ。
この1月1日を中心とする前後2週間ほどが、
クリスマスということになる。
子供達のお楽しみのプレゼントは、
最終日である1月6日に渡される。
半月ほど焦らされた後のプレゼントは、
さぞかし嬉しいに違いない。

今回は、クリスマスの日程的なことについて考えてみた。
次回は、クリスマスには欠かせない、
あの赤い服の老人について書いていく。

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