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パラグライダーは上昇することも出来る。

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先日、パラグライダーが
送電線に引っかかったというニュースが流れていた。
滋賀県竜王町で、モーターパラグライダーが電線に接触、
地上25mで宙づりになり、約3時間後に救助された。
幸い、感電することも無く、無事に救助されたが、
一歩間違えば、感電死する恐れもあったようだ。

パラグライダーというのは、
ヒョロッと横に長いパラシュートで、
空中を滑空する、スカイスポーツだ。
え?パラシュートでそんな真似が出来るの?
と思ってしまいそうだが、
「それ」用に作られた、
横長の楕円形パラシュートを使えば、
かなりの時間、滑空することができる。
もちろん、長時間飛んでいるためには
上手く上昇気流を捉え、高度を稼ぐ必要がある。
最近では、一般のフライヤーでも、
2000mの高度まで上昇することも出来るという。
なんと高度4500mまで、
上昇した記録もあるらしい。
富士山山頂よりも700m以上、
上空まで上昇しているのだ。
距離では、直線距離で400km以上を記録している。
これは東京と大阪を直線距離で結んだ距離と、ほぼ等しい。
何の動力も無い、ただのパラシュートで、
東京から大阪まで飛んでいったことになる。

山歩きをしていると、
たまにパラグライダーの離陸場(?)を
見かけることがある。
うちの近辺では、たつの市の金輪山、
姫路市の書写山などにある。
普通は「発着場」と書く所だが、
ここから飛び立ったパラグライダーが、
ここへ帰ってくることは無い。
山の麓の河原や、休耕田などに着陸する。

ネットで調べてみると、金輪山から飛び立った
パラグライダーの飛行記録があり、
それを見る限りでは、離陸地点である金輪山山頂付近から、
500m以上上昇している。
ゆっくりと上昇した後、西の的場山上空を旋回、
再び東へ向かって滑空して、
金輪山東の林田川の河原に着陸していた。
滑空速度は、時速20kmから60kmで、
感覚としては原付バイクくらいのスピードだろうか。
上昇気流を捉えての上昇に、
どれくらいの時間がかかるのかはわからないが、
飛行記録を見る限り、狭い範囲内を細かく旋回し、
高度を上げていっている。
恐らくは、そこが上昇気流の発生している地点なのだろう。

町の上空を、自由に飛び回っているパラグライダーだが、
実はこれに免許の類は必要ない。
ただ、民間航空規約では「航空機」ということになるので、
単独飛行をする場合には、
スクールに入り教習を受ける必要がある。
よく、夏期のスキー場などを使って
一日体験をしているので、
やってみたい人間は、
まずそういう所に申し込むことになる。
間違っても、パラシュートを購入して、
ぶっつけ本番でやったりしないように。
(さすがに、する人はいないと思うが……)

公式には、パラグライダーが生まれたのは
1985年のことだ。
ただ、実際にはそれ以前にも、パラシュートを使い
滑空することは行なわれていたようで、
1978年ごろ、フランスのスカイダイバーが、
山の斜面からパラシュートを使って下りたこともある。
もともとはアルピニストが、
登山の降下手段として、はじめたものらしい。
ただ、当初のパラシュートは滑空性能が低く、
スキー場のゲレンデなどで、地面と並行して滑空するのが
関の山で、滑空時間も3~5分と短いものだった。

現在では、パラグライダーの装備一式で、
20kg程度の重量だが、初期のころは当然これよりも重く、
パラグライダーで下山するためには、
通常の登山道具とは別に、
パラグライダー装備一式を持って、
山を登らなければならなかったと思われる。
ちょっとした歩荷なみである。
もちろん、山頂まで登っても、風の具合が悪かったり、
天気が悪かったりすれば、飛ぶことは出来ない。
そういう場合は、再びパラシュートを担いで
下山しないといけないため、
なかなかギャンブル的な側面があった。

最近では、背中にプロペラのついた
エンジンユニットを背負い、
それによって推力を得て飛ぶ、
モーターパラグライダーも行なわれている。
パラグライダーとの最大の違いは、
山の斜面などから飛び立たなくとも、
平地から離陸できる所である。
滑空するわけではないので、
比較的低空を飛ぶことが出来る。
こちらも、背負っているエンジンユニットは
パラグライダーの補助推進装置という扱いになるので、
航空機ではない、という扱いになる。
つまり、これも必要な免許等は無く、
スクールに通って講習を受けるだけでよい。
パラグライダー同様に、機材だけ購入して、
後はぶっつけ本番でやるなどという真似は、
非常に危険である。
やる場合は、きっちりと講習を受け、
技術を身につけてからにしよう。

古来、空を飛ぶというのは、人間の夢であった。
これを気球や、飛行機という形でかなえてきたが、
この夢の究極の形は、ドラえもんのタケコプターだろう。
個人の意志による、個人の飛行。
飛行機などの決められたルートではなく、
自分の思いのままに空を飛ぶ。
現在、これにもっとも近いのがパラグライダーであり、
モーターパラグライダーである。
もちろん、タケコプターに比べれば、
ホバリングも出来ず、小回りもきかず、
器具はかさばって巨大である。
しかし、個人の意志による、個人の飛行という「根」は、
間違いなく、同質のものである。

タケコプター時代は、
意外と近くまで来ているのかもしれない。

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