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ドーナツとドーナツの穴の関係とは。

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最近、最寄りのコンビニにドーナツケースが設置された。
12月からドーナツの販売を始めたそうだ。
そういえば、発売日前にはポストの中に、
「ドーナツ始めました」というチラシが入っていた。
それを見る限りでは、5~6種類程度のドーナツを、
常時、取り扱うようになるらしい。

よくよく考えてみれば、たつの市近辺には
ドーナツ専門店というのが存在しない。
調べてみると、某有名ドーナツチェーンへ行くにも、
姫路市まで出て行かないとダメなようである。
そういう意味では、たつの市をはじめとする西播地方は、
ドーナツ不毛地帯、ドーナツ発展途上地域と
言えるかもしれない。

だからといって、たつの市でドーナツを
購入することが出来なかったか?ということになると、
別段、それほど苦労せずとも、
ドーナツを入手することが出来た。
物流の進歩している現在、市内全てのスーパーで
ドーナツを扱っているだろうし、
ちょっと「良い」ドーナツが食べたければ、
近所のパン屋にでも行けば、
ちゃんとしたドーナツが並んでいる。
ちゃんとしたドーナツ、といっても、
値段にすれば100円から150円くらいで、
どんなに高額なドーナツでも、200円を超えることは
まず無いだろう。
一時、地元のスーパーなどで、某ドーナツチェーンが
店頭で、お試し販売していることもあったが、
人気がなかったのか、いつの間にかなくなってしまった。

ドーナツの歴史を遡っていくと、
17世紀のオランダに行き着く。
当時のオランダでは、ナッツを生地に乗せ、
揚げたものが作られていた。
形状はリング状ではなく、ボール状だったようだ。
生地は小麦粉・卵・砂糖を混ぜて発酵させたもので、
これをブタの脂(ラード)で揚げていた。
これをイギリスから逃れて来ていた清教徒達が覚え、
祖国へ戻る際に持ち帰ったという。
ドーナツの歴史を調べる限り、
大方、これをドーナツの「元祖」ということにしてある。
この「元祖」、名前を「オリークック」といい、
イギリスではこれを「オリーボル」とした。
これは、推定に過ぎないが、
この菓子がボール状であることから、
この「ボル」というのは、
「ボール」の変じたものだろう。
「オリー」の方は、油っぽい・油を含んだという意味の、
「オイリー」から来ているのではないだろうか?
つまり「油っぽいボール」ということである。

これはつまり、この「オリーボル」が
ドーナツへ繋がったらしいという話で、
生地を油で揚げたお菓子というのは、これ以前にも、
あるいはオランダ以外でも普通に存在していた。

まず、奈良時代、当時の中国からもたらされた、
「唐菓子」の中に、米粉や小麦粉で作った生地を、
油で揚げた揚げ菓子が含まれている。
この中には、現在も作られ続けている菓子があり、
その揚げ菓子は、「輪っか」状の形態をしている。
ある意味、「奈良ドーナツ」と呼んでもいいだろう。

さらに室町時代末期から戦国時代にかけて、
日本にやってきた南蛮人達のもたらした「南蛮菓子」だ。
この中に、「がんもどき(飛龍頭)」
もとになった揚げ菓子、
「フィリョース」というのがあった。
これは、小麦粉・卵で作った生地を油で揚げたもので、
成分的には唐菓子よりもドーナツに近く、
時代的にも、オランダの「オリークック」と重なっている。

しかしこれらが、
「ドーナツ」の元祖とされることはなかった。
唐菓子については、日本で細々と作り続けられ、
「フィリョース」については、どういうわけか、
「がんもどき」へと変貌してしまった。
「フィリョース」などは、伝わる場所が違っていれば、
今ごろ「元祖ドーナツ」を謳っていたかもしれない。

ただ、ここまで書いておいてなんだが、
以上に書いてきたものは、全てボール型、
あるいは楕円型をしたものばかりで、
現在のような、リング状にはなっていない。
ドーナツがリング状になったのは、
19世紀中ごろのアメリカでのことのようだ。
現在のドーナツの状況を見るに、
ここをドーナツ誕生の瞬間と捉えた方が良さそうだ。
このリング状ドーナツの誕生には、いくつか説がある。

ひとつは、アメリカにはナッツが無かったため、
ナッツを乗せていた場所に穴をあけた、というものだ。
なるほど、と思った人は、頭がどうかしている。
今まで上に乗せていたナッツが無い、ということになれば、
普通は代わりに別のものを乗せるか、
あるいは何も乗せずに作るかだ。
上に乗せるものが無いから、穴をあけようとは考えない。
さらにいえば、ドーナツがリング状になった19世紀半ば、
恐らくすでにアメリカにナッツがあったはずだ。
このナッツというのは、今でいうクルミのことで、
日本は明治時代、アメリカからクルミを移入しているのだ。
アメリカで、すでに大々的に栽培されていたからこそ、
移入することができたのだ。
もっといえば、アメリカからは
古代人がクルミを割った石器が出土している。
つまり、もともとアメリカには、
現在のものと違うかもしれないが、
昔からちゃんとクルミが存在しており、
ナッツが無かったという理由は考えにくい。

もうひとつは、球状の固まりを油で揚げた所、
中まで火が通っていなかったため、
リング状にしたというものだ。
ただ、この場合だと、何もリング状にせずとも、
平べったくのばしたり、棒状にすることでも
火の通りは良くなるはずだ。

さらに、インディアンの放った矢が生地にささり、
穴をあけてそのまま油の中に落ちた、という説だ。
ファンタジックで、笑える説ではあるが、
信憑性はまるで無い。

こう並べてみると、火の通りを良くするため、
というのが、もっとも「それ」らしい。
確かにリング状にする理由も無いが、
リング状ではいけない理由も無いからだ。
どうもすっきりしないが、
それ以外の理由もなさそうである。

「ドーナツ」という名前については、
ほとんどの所で、生地を表す「ドウ」と、
「ナッツ」が合わさったものだとされている。
しかしこれも、どうもうさんくさい。
「ドーナツ」という言葉が生まれた場所が、
イギリスではなく、アメリカっぽいからだ。
ナッツが無かったから穴をあけた、という説からも、
アメリカの「ドーナツ」はナッツとは無関係のはずだ。
無関係なものを名前の中に入れるとも思えない。

そう思って、英和辞典の「ナッツ(nut)」を調べると、
その意味の中に、驚くべきものを見つけた。
「ナット(nut)」である。
ボルトとナットのあのナットである。
ナットはいうまでもなく、リング状である。
つまり「ドーナツ」というのは、
ナッツの入った生地ではなく、
ナット状の生地という意味でつけられたのではないか?
もしこちらが正しいのであれば、
名前と形状が完璧に一致する。
ひょっとすると、後の人間が
「ナッツ」と「ナット」の綴りが同じために、
これを混同し、ヨーロッパにあった
ナッツの入った揚げ菓子を、
勝手にルーツと思い込んだのではないか?
本来、ドーナツという名前は、
リング状になった時点で、
つけられたものだったのではないだろうか。

ドーナツは、栄養満点だ。
戦時中には軍用食として、採用されていたこともある。
確かに疲れた身体と、疲弊した精神を安らげるのに、
甘く、高カロリーなドーナツはピッタリだろう。
しかし、食べ過ぎは危険だ。
かのプレスリーも、ドーナツが大好きで、
ガンガン食べて、ガンガン太り、
あっけなく逝ってしまった、という話があるくらいである。

ミュージシャンとして、
ひと時代を築くエネルギーになったであろうドーナツ。
しかし、食べ過ぎることによって、
命まで縮めてしまった、ドーナツ。

くれぐれも食べ過ぎには注意しよう。

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