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シカ~その1

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山の中を歩いていると、いろいろな動物に出会う。

普通に町にいたのでは、見ることのできない野生動物達だ。

その中で特に非日常感を演出してくれるのは、シカ、イノシシ、クマだろう。

残念ながらか、幸いなのか、まだクマには出会ったことがない。

イノシシに出会ったのは、一度だけだ。

シカには数えきれないくらい、遭遇している。

それだけ、数がいるということなのか、それとも人を恐れないのか?

大体のシカは、こちらに気がつくと逃げていくので、

人を恐れないということはないようだ。

今回は、山で一番遭遇率の高い動物、シカについて書いていく。

野生のシカにであったとき、人によってずいぶん違った反応を示す。

ある人は、珍しいものを見れて、ラッキーぐらいにしか思わないし、

ある人は、とりあえず写真におさめておこうと、カメラを用意する。

ある人は、害獣だ、ということで大声で追い払おうとし、

ある人は、ウマそうだ、ということで猟銃を向ける。

自分は登山中にシカに遭遇するので、珍しいものが見れてラッキーと思う派だ。

カメラを持ち出して写真を撮ろうとするのも、

自分と同じような登山者か、ハイカーだろう。

これらは比較的、平和な接触だといえる。

大声で追い払おうとするのは、農業関係者だ。

近年、シカの農業被害は馬鹿にならない。

夜になると、山の中から出てきて、野菜や果物を食い荒らす。

おとなしそうな顔をしているが、結構えげつない被害を出す。

林業などでも、植樹した若い木の苗を食われたり、木の皮を剥いで食べ、

枯らしてしまったりする。

そういう被害を日常的に受けているだけに、農・林業関係者のシカに対する

恨みは深い。

お互いに、天敵のような存在だ。

ウマそうだ、ということで猟銃を向けるのは、もちろん狩猟者だ。

毎年、狩猟期間は決まっているが、害獣駆除ということになれば、

この期間はほぼ1年中だ。

猟師の場合は、農・林業関係者のような、怨恨の感情はない。

もちろん農・林業と猟師を兼業しているような場合は、話は別だ。

そういう場合は、受けた被害を思い出しながら、シカを撃つ。

そうでない場合は、目の前にいるシカは、ただのチャンスでしかない。

バン、としとめてしまえば、たっぷりとお肉が手に入る。

それだけでなく、害獣に指定されている場合は、申請すれば金も出る。

これは一方的な殺戮関係で、平和な面影は欠片もない。

猟師にしてみれば、殺すか、逃げられるかであり、

シカにしてみれば、殺されるか、逃げきれるかだ。

修羅場と言っていい。

日本で、シカといえば、通常、ニホンジカのことをさす。

ニホンジカは、日本で唯一のシカ科の動物である。

カモシカはどうなんだ?と思われる人もいると思うが、

カモシカはシカと名前についているものの、ウシの仲間だ。

シカは古来より日本に生息しており、イノシシとともに重要な狩猟対象だった。

「シシオドシ」という竹と水を利用した、自動音響装置があるが、

これは漢字で書くと「鹿威し」となる。

「鹿」を「シシ」と読んでいたのだ。

そして「シシ」とは「肉」のことをさす。

古代、日本人がどれだけシカを食料として必要としていたかが、うかがえよう。

実際の所、鹿肉は美味しい。

もちろん処理方法や、技術に大きく左右される。

日本では、他の家畜と違って、シカを専門に解体している所は少なく、

現実的には猟師個人による、解体が主になっている。

こうなると、解体する猟師の技術によって、鹿肉の質は大きく変わる。

ここの所が、鹿肉の味の評価が、一定しない理由だろう。

ある人はクセが少なく、柔らかいと良い、

ある人は臭いがキツくて、硬いという。

評価自体が、完全に正反対になっている。

もちろん、鹿肉と何かを比較しているのならば、その比較相手によって

評価が変わってくることはあり得る。

例えば、同じ狩猟対象のイノシシやクマと比べている場合、

確かにシカはこれらに比べると、柔らかくてクセもないだろう。

しかし、普段一般的に食べ慣れている、畜産牛やブタなどと比べると、

確かにシカは硬くてクセが強い、ということになる。

シカは野生動物なのだから、人間の食用に特化して育てられている

畜産牛やブタと比べると、やはり若干の違和感を感じることはあるだろう。

栄養的にいえば、鹿肉は高タンパクで低脂肪だ。

というか、実際に鹿肉を見ればわかるが、真っ赤で白い部分が全くない。

なるほど、これでは低脂肪なはずだ。

日本人は、民族的な傾向として魚、獣肉とも、脂がのっていることを

評価するところがある。

そういう視点で見た場合、鹿肉はあまり好評価を得られそうにない。

実際、海外では少ない脂肪分を補うために、植物油やバターなどを

たっぷりと使った調理方法が多い。

日本では、鹿肉は買おうと思っても、普通に売っている商品ではない。

だから調理方法を書いても、あまり意味はない。

が、それでも一応いくつか紹介しておく。

普段、鹿肉などの野生肉を食べ慣れていない人には、

やはり畜産肉にはない臭みが、気になるとおもう。

そういう場合は、カレーや、ビーフシチューにするのがいいだろう。

(鹿肉で作る時点で、すでにビーフシチューではないが)

独特の臭いが、香辛料や、ソースの味に隠れて気にならなくなる。

長時間、煮込んでも型くずれしにくく、歯ごたえもなくならない。

ただとろけるような状態にするのは、無理だろう。

ミンチ肉に加工できる場合、ハンバーグステーキにするのもいい。

柔らかくなるし、中に混ぜ込むものを工夫することで、においを抑えられる。

現在では、いろいろな地方で、鹿肉の利用が模索されている。

害獣駆除したシカの食肉利用だ。

一例を挙げれば、兵庫県佐用町ではコロッケやカレーにして販売されている。

この手のものを、一度食べてみてほしい。

きっと、畜産肉とはちょっとちがう、野生の味を感じるだろう。

もし、それにはまるようなことがあったら……。

そこが、シカを見て「ウマそう」と思う、一歩手前だ。

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