自転車で走っていて、ぼちぼちとツクシを見る季節になった。
春の風物詩なのだが、この風物詩はおいしい。
だから、気がつくとこの風物詩は、あっという間に無くなってしまう。
だから見敵必殺ならぬ、見ツクシ必採くらいの覚悟でいないと、
誰かに採り尽くされてしまう。
もっとも、しばらく待てばまた生えてきたりするのだが。
今回は、この春の風物詩について書いていく。
ツクシを漢字で書くと「土筆」となる。
形状が筆に似ているために、この漢字をあてる。
もっとも、きっちりと伸び切った状態のことではなく、
まだ小さく、袴が全体を覆っている状態を見て、つけられた名前だ。
植物的には、ツクシというのは正式名称ではなく、
正しくは「スギナ」という。
漢字で書くと「杉菜」だ。
杉に似ているから「杉菜(すぎな)」という説と、
どこでも継げるから(つぎな→すぎな)という説がある。
漢字名が「杉菜」である以上、杉に似ているという説の方が説得力がある。
ツクシが食べられるので、うっかりすると勘違いされてしまうが、
スギナは本来、雑草だ。
ツクシが生えてきた後に、緑色のスギナがわんさと生えてくる。
いざこれを除草しようとすると、これがなかなか難しい。
地下茎で繁殖するので、根絶するのは困難だ。
地上部分を刈り取るだけならば、苦もなく刈り取れるが、
それでは根絶することはできない。
土手や畦などを冬の間に焼き払って、除草することがあるが、
その後に最初に生えてくるのがこのスギナだ。
一緒にするのは甚だ好ましくないが、まるでゴキブリなみの生命力だ。
ツクシは栄養的に、突き抜けて優れている点はない。
それどころか、大量に食べてはいけない、長期的に食べ続けてはいけないなど、
過食を戒める言葉が多い。
季節のものなので、長期的に食べ続けることは難しいだろうが、
群生している所には、それこそいくらでも生えているので、
大量に、という点については、意識的に気をつける必要がある。
もっとも、ツクシは袴をとるという、面倒な処理があるので、
あまり大量にとっても後で困る。
なんにしても適量を採って、すますのが良いようだ。
スギナの方には、薬としての効果がある。
乾燥させたものは問荊と言われ、利尿効果があるとされる。
近年では生薬として、花粉症に効果あり、という発表もあり、
こちらの方は、これからの研究に期待したい。
……かじってみようかな?
料理法として、佃煮や天ぷら、卵とじや煮物、炒め物などがある。
それぞれの料理をするためには、袴を取り去った後にお湯で茹で、
アクを抜く必要がある。
下ごしらえのアク抜きだけすれば、後はかなり自由に料理できる。
それぞれのアイデアを生かして、調理したい。
つくしの料理を調べていて、驚いたことがある。
うちではツクシの処理をする際に、袴だけでなくアタマも取っていたのだが、
調べてみると、みんなアタマをつけたまま料理している。
昔、友人の家で見たツクシ料理に、アタマがついているのを見て、
「うわぁ……」と思っていたのだが、どうもうちの方が特異だったようだ。
今シーズンは、まだツクシの出始めといったところだ。
そのうち大量に採れるようになれば、
今年は試しに、アタマをつけたままのツクシを料理してみようと思う。