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姫路城~その1

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映画やドラマなどで、他人を演じる人のことを「役者」という。

「役者」の中には、いろいろな役を演ずる人もいれば、

ひとつの役しか演じない人もいる。

同じ「役」を、別の「役者」が演じることなもよくある。

しかしこれはあくまで、人の「役者」の話だ。

「役者」というのは人に決まっているだろう、と思われるかもしれないが、

実はこの国には、「城」の「役者」と言うものが存在する。

そう、今回のタイトル、姫路城のことである。

80年代、90年代の時代劇を見ていると、姫路城がよく出てくる。

それも、姫路城として出てくるのではない。

大方の場合が、「江戸城」として出てくる。

わりと有名なのは「暴れん坊将軍」や「大岡越前」などであろうか?

「暴れん坊将軍」では、「江戸城」のシーンになる度に、

姫路城の大天守が画面に映っていた。

これは、人間風にいえば、姫路城が「江戸城」を演じているということになる。

そしてこういう例は、日本では姫路城以外では、まず存在しない。

そういう意味で、姫路城は日本で唯一の、「城」の「役者」であるといえる。

何故、姫路城が「江戸城」を演じているのか?

もちろん「江戸城」が現存していないことも理由であろうが、

何より最大の理由は、姫路城にそれだけの威容があるからだ。

たしかに姫路城を「江戸城」、つまり江戸時代の日本の中枢として

画面に出しても、納得できてしまうだけの威容が、姫路城にはある。

姫路城は、播磨の豪族赤松氏が建造したものが最初であり、

以降、小寺氏、黒田氏と城主が変わる。

黒田氏が城主になった時に、織田信長の中国攻めの先鋒として、

羽柴秀吉が播磨入りする。

当時の黒田氏の当主であった黒田官兵衛孝高は、

自らの居城であった姫路城を、秀吉に譲り渡している。

この時、秀吉は姫路城を改修し、三層の天守閣を持つ姫路城を完成させた。

これ以降は、豊臣氏譜代の大名が姫路城の城主を勤めたが、

関ヶ原の合戦で徳川家康が勝利し、それ以後は池田輝政が城主となる。

池田輝政は、秀吉の建造した姫路城を大改修し、現在の姫路城を完成させる。

これ以後は城主が代わることがあっても、

城の姿が大きく変わることは無かった。

姫路城の特徴をあげれば、まず、何よりも白いことだ。

その壁は白漆喰で塗り込められ、外観からでは本当に木造建築なのか、

はっきりわからない。

この白漆喰は防火のためのものだが、姫路城はその長い歴史の中で、

一度も火災や戦争に巻き込まれたことが無い。

昭和20年の姫路空襲でも、焼かれることなく、無事に生き残った。

これについては、貴重な歴史遺産なので、わざと攻撃しなかったという説も

あったが、実際には夜間、レーダーを頼りにしての空襲であったため、

掘りを池かなにかと勘違いし、巧く攻撃をすり抜けたということらしい。

結果的には、お堀が姫路城を守ったことになる。

結局、この時も、白漆喰が防火の役に立つことはなかった。

まるで、そういう運命に守られているような、平和な城である。

その白一色の外観から、「白鷺城」の別名を持つことは、よく知られている。

現在の姫路城を建設したのは池田輝政だが、実際に建築を取り仕切ったのは

大工の桜井源兵衛だ。

足掛け9年もの期間を費やして、姫路城を完成させた。

しかし、源兵衛にはひとつ、懸念があった。

どうも完成した大天守が、東南の方向に傾いているように見えるのである。

この懸念を、気のせいだと打ち消していたのだが、

完成した城を見せた妻に、「大天守が東南の方向に傾いているのでは?」

と指摘されてしまう。

ショックを受けた源兵衛は、1人で大天守に登り、

ノミをくわえて、投身自殺してしまうのである。

昭和大修理の際に調査した結果、確かに城が東南方向に傾いていることが、

明らかになった。

これは、源兵衛の設計が間違っていたわけではなく、

地盤の沈下によって、礎石が沈んでしまったことによる。

建築家の意見によれば、もともと傾いた建造物を建築するというのは

至難の業であり、まず不可能だということだ。

ピサの斜塔だって、もとはまっすぐ立っていたのだ。

両者とも地盤の不安定さによって、その傾斜を生んだ。

もちろん姫路城の方は、ピサの斜塔のように、派手に傾くことはなかったが、

素人の目で見ても、傾きのわかるレベルであったのは事実だろう。

姫路城はその美しすぎる外観のせいか、あるいはこの桜井源兵衛の話のせいか、

不気味な化け物にまつわる話が、いくつも言い伝えられている。

次回は、姫路城にまつわる怪異の話について、書いていく。

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