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当たるも「八卦」、当たらぬも「八卦」

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諺で、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」というものがある。

ここで首をひねった人はいないだろうか?
何故「八」と「八」なのか?
確率的なことでいえば、8:8は1:1である。
「当たり」もすれば「ハズレ」もする、というのであれば、
それぞれを1:1で表すというのはいいとしても、
どうしてそれが8:8になるのか?
そもそも確率論的なことでいうのであれば、
こういう場合、片方が8であれば、もう片方は2になるのが普通だ。
これをこの諺に当てはめるのであれば、
「当たるは八卦、当たらぬは二卦」ということになり、
これはなかなか信用できる、ということになって、
正に占い屋の宣伝文句にピッタリということになる。

いやいや、あれは宣伝文句じゃなくて、
外れた場合の逃げ口上なんだよ、という人もいるかも知れない。
そういう場合なら、当たりとハズレの率を五分五分にしておくのは
納得がいく。
ただその場合であったとしても、「八卦」×2にする必要は無く、
確率的な表記を目指すのであれば、「五卦」×2でいいということになる。

もちろん、この諺が「八卦」×2になっているのには、理由がある。
その理由については、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という諺を
ことわざ辞典ででも調べてもらうと明らかになる。
そこには、こう書いてある。

『占いは、当たることもあるし、外れることもあるものなのだから、
 その吉凶については気にするな、という意味で、
 これは占いで悪い結果が出たときに使われることが多い。
 「八卦」というのは、占いのこと』

つまり「八卦」というのは、確率的な数字のことではなく、
ただ「占い」のことを指しているだけなのである。
だから、先の諺をより分かりやすく表現すると、
『当たるも「占い」、外れるも「占い」』ということになる。

では、そもそも「八卦」とは、どういう「占い」になるのか?

極めてシンプルにいうのであれば、街頭などで易者が筮竹を
ジャラジャラいわせながら「占い」をしていることがあるが、
あれがもっとも分かりやすい「八卦」という「占い」である。
(まあ、正確に言えば、あれは「八卦」ではなく「易」というのだが)

古く、古代中国から伝わる「八卦」は、「易」における
基本的な8つの図像である。
この基本的な考え方としては、まず「宇宙」=「太極」として捉えている。
これは「陰」も「陽」もない、もっとも根源的なものであり、
これをまず1回、「陰」と「陽」に分けたものが「両儀」となる。
この「両儀」である「陰」と「陽」を、
さらにそれぞれ「陰」と「陽」に分ける。
するとこれが「太陽」「少陰」「少陽」「太陰」の4つとなり、
これが「四象」となる。
この「四象」をさらにそれぞれ「陰」と「陽」に分けると、
「乾」「兌」「離」「震」「巽」「坎」「艮」「坤」の8つになる。
この8つを「八卦」とよぶのである。
この「八卦」には、それぞれに様々な意味が込められており、
易者のやっている「占い」では、この「八卦」を
2つ組み合わせることによって、64通りのパターンを導き出す。
易者が筮竹をジャラジャラやっているのは、大体、
この2つの「八卦」を弾き出す作業であると、考えて良いだろう。

この64通りのパターンには、それぞれに解釈がつけられている。
それは、個々の事象についての、答えが書いてあるのではなく、
わりと抽象的なものである。
占い師である易者は、この抽象的な解釈を、
それぞれの依頼者の悩みに当てはめて、その結果を読み解いていく。
もちろん、大方の所では一致した結果が出るであろうが、
その解釈の読み解き方については個人差も出るため、
「占い」の結果については、違ってくることもある。
この辺の「曖昧さによって、解釈の幅を広げ、様々な事象に対応させる」
という手法は、かつて取り上げたノストラダムスの予言詩の手法に
共通している所がある。

この「八卦」は、2種類の横線を、縦に3つ重ねる形で表現される。
「陽」を表すのは、切れ目の無い横の1本線、
「陰」を表すのは、真ん中に切れ目の入った横の1本線である。
例えば「八卦」の1つである「乾」の場合は、
「両儀」「四象」「八卦」ともに「陽」を選んでいるわけだから、
切れ目の無い横線を縦に3本重ねて、
ちょうど漢字の「三」の様な感じになる。
占いなどで2つの「八卦」を重ねる場合、
この1つ目の上に、2つ目の「八卦」を重ねるわけだ。

この「八卦」を図に描く場合、「八卦」を輪状に配置するのが一般的で、
多くの場合、その中心に太極を意味する太極図が配される。
これらは、映画などの創作物でも使われることもあるため、
見たことがある人も多いだろう。
韓国の国旗である「太極旗」なども、この「八卦」の図が
元になっているのだが、現在の「太極旗」を見てみると
本来8つあるべきはずの「八卦」が、4つしかない。
調べてみると、どうやら元々の案ではちゃんと8つあったのだが、
外国人から「複雑すぎる」とクレームを受け、半分に削ったという。
「八卦」は、8つあることに意味のあるものなのだから、
いくらクレームを受けたとはいえ、
安易に削っていいものだったのだろうか?

今回、ここで紹介した「八卦」や、その他諸々の解釈については、
あくまでも、そういう例もあるという程度のもので、
実際には、ここに書いたものとは違う、様々な手法も行なわれている。

まあ、いずれの方法で「八卦」を解釈し、占いの結果を引き出すにしても、
結局最後は、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」に収束するのだが。

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