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ラッキョウ

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常識的な範囲で考えて、現在の自分に食べ物の好き嫌いは無い。
ハッキリと「全く無い」と言い切れる。
……。
あくまでも「常識的な範囲で」という文言をつけたのは、
例えば、あからさまに出来の悪い料理や、失敗作などを持ち出されれば、
さすがにそれらは、食べるのを躊躇するからである。

これは、子供のころの自分を思い返してみれば、
驚異的なことといっていい。
以前、ここで書いたことがあるが、子供のころの自分は

お好み焼きが嫌いで、
うどんが嫌いで、
ラーメンが嫌いで、
すき焼きが嫌いで、
給食のカレーは大嫌いだった。

スイカが嫌いで、
イチゴも嫌いで、
餅が嫌いで、
コーヒーが嫌いで、
ラッキョウに関しては見るのもイヤだった。

我が家は3人兄弟なのだが、他の兄弟に比べて、
自分は明らかに好き嫌いが激しかった。
時が流れて現在、兄弟たちには食べ物の好き嫌いが残っているが、
自分は何でも食べれるようになった。
人間の嗜好の変化とは、全く不思議なものである。

かつて、猛烈に好き嫌いのあった中で、自分がもっとも嫌いだったのは
「ラッキョウ」である。
正直、これだけは見るのもイヤなくらい、大嫌いであった。

ただ、「ラッキョウ」嫌いには、まだ救いがある。
「ラッキョウ」は、日常的に食卓に並ぶものではないからだ。
他所の家は知らないが、少なくとも我が家に関しては
「ラッキョウ」が食卓に並ぶのは、カレーライスの付け合わせとしての
「ラッキョウの甘酢漬け」だけであった。
これにしても、母親は自分の「ラッキョウ」嫌いをよく知っているので、
自分のカレー皿に「ラッキョウ」が添えられることは無かった。
所詮、カレーライスに添えられる「ラッキョウの甘酢漬け」など
1人あたり4〜5個といった所で、その程度のものを
食べなかったからといって、栄養的にどうにかなるということはない。
さらにいえば、あまりにも自分が「ラッキョウ」を嫌がるものだから、
ついに我が家では、カレーライスの付け合わせには「ラッキョウ」ではなく、
「福神漬け」を添えるようになった。
幸いにして我が家には、この変更に文句を付けるほどの
「ラッキョウ」好きはいなかったのである。

「ラッキョウ」は、ヒガンバナ科ネギ属に属する多年草である。
別名で「オオニラ」、「サトニラ」などと呼ばれるように、
ニラと同じような強い臭いを持っていて、
臭いの成分も、ニラなどと同じアリル硫化物によるものである。
地中にて白い鱗茎が膨らむので、ここの部分を食用とする。
強い臭いの他に、独特の辛みを持っている。

食べ方としては、主に塩漬け、甘酢漬け、醤油漬けなど、
保存を兼ねた漬け物に加工したものを食べることになるのだが、
「ラッキョウ」を軟白栽培(太陽光に当てずに育てることにより、
柔らかく、クセなども弱く栽培する方法)で育てたものは、
生のままでも食べることが出来る。
(この軟白栽培によって育てられた「ラッキョウ」は、
 別名・エシャレットという名称で販売されている。
 これは1960年ごろに、東京の市場で働いていた男性が
 当時まだ、日本で販売されていなかったエシャロットの名前で
 販売していたことに起因する。
 しかし後に、本物のエシャロットが輸入販売されるようになり、
 これと区別するために、エシャレットと名称を変更した。
 本物のエシャロットもまた、「ラッキョウ」と同じく
 ヒガンバナ科ネギ属の多年草である。
 名前が非常に似通っているため、
 これを混同してしまっている人もいるようである)
ただ、「ラッキョウ」自体は芽が出るのが早く、
そのままの状態で、長期間保存するのは不可能といっていい。
これをどうしても保存する場合は、新聞紙などに包んだ後、
ポリ袋に入れて冷蔵庫へ入れる必要がある。
ただ、そこまでした場合でも、翌日には
塩漬け、甘酢漬け、醤油漬けなどの下処理をしなければならない。
もし、「ラッキョウ」を加工する時間を確保できない場合、
「ラッキョウ」を購入するのは止めておいた方が良いかも知れない。

「ラッキョウ」の原産地は中国、ヒマラヤ地方といわれており、
日本には平安時代に伝わったとされている。
ニラやニンニクの様に香りが強いため、
大乗仏教では「五葷(ごくん)」(精進料理などで
使うのを避けるべきと考えられている5種類の野菜のこと。
主に臭いの強い野菜が選ばれているが、国や地域などによっては
その内容が異なっているらしい)の1つに数えられ、
寺院などには持ち込まれなかった。
現在でも、禅宗の寺院などに行くと、門前に
「不許葷酒入山門」「不許葷肉入山門」と刻まれた
石碑が立っていることがある。
これらは「五葷」と「酒」、あるいは「五葷」と「肉」を
食べたり飲んだりした者は、修行の場にふさわしくないので
山門内への立ち入りを禁止するという意味である。
「酒」と「肉」に関しては、仏教の修行の場に
ふさわしくないというのも理解できないではないが、
「五葷」に関しては、あくまでも臭いが強いだけで、ただの野菜である。
にも関わらず、「酒」や「肉」よりも厳しくシャットアウトされているのは、
やはり食べた後、臭いを撒き散らす可能性が高いためであろうか?

ちょうど、5〜6月にかけてのこの季節、
スーパーなどの青果コーナーには、袋詰めされた「ラッキョウ」が
大量に並ぶようになる。
好きな人は、これを買って帰って、自分で「ラッキョウ」を漬けるわけだ。
どこのスーパーでも並んでいる所を見ると、
世の中には「ラッキョウ」好きが多いらしい。

かくいう自分は、「ラッキョウ」を普通に食べられるようになったものの、
まだまだ自分で「ラッキョウ」を漬けてみようという気にはならない。

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