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ナメクジ

更新日:

By: Sig.

6月に入ると、日本は雨の日が多くなり、
ジメジメとした不快な時期が続くことになる。

真夏の、あのうだるような暑さが無いだけまだマシともいえるが、
その分だけ、湿気に対する不快感がすごい。
雨の降っている日は窓を閉め切り、湿気が家の中に入ってこないように
気をつけているのだが、なんといっても古い家のことだし、
いくら閉め切っていたとしても、湿気は入ってくる。
たまの晴れ間には、家中の窓を開け放って盛大に風を通し、
家の中の湿気を一気に掻き出してしまうのだが、
2〜3日もしないうちに、また雨が降り、
また家の中がジメジメしてくることになる。

この時期、(というよりは、雨が続いて湿度が上がればだが……)
湿度と同じくらい鬱陶しいのが「ナメクジ」である。
晴天が続き、家の中が乾燥している時はいいのだが、
一旦、雨が降り、家の中がジメジメし始めるともうダメだ。
家の中に「ナメクジ」がポツポツと上がってくるようになる。
まあ、「ナメクジ」は小さく、動きも鈍いので、
見つけ次第これを捕まえて、家の外に投げ捨ててしまえば、
ことは足りるのだが、問題はそれだけではない。
夜中など、灯りをつけずに家の中を歩いていると、
ごく稀にではあるが、この「ナメクジ」を
足で踏みつぶしてしまうことがある。
想像してみてほしい。
真っ暗な家の中で、突然、冷たく濡れた、ネバッとしたものを
踏みつけるのである。
あまりの気持ち悪さに、思わず声が出てしまう。
スリッパなどで踏みつけたのならばともかく、
(まあ、それでも充分に気持ち悪いが……)
裸足でこれを踏みつぶした時の、気持ち悪さ。
思わず背筋が寒くなってしまう。
足の裏にへばりつく、潰れた「ナメクジ」の感触。

自分の生まれ育った家の中なので、夜中など、
電灯をつけるのが面倒なときは、そのまま暗い中を歩くことも多い。
まさに目をつぶっていても歩ける、という表現がピッタリなのだが、
そうして完全に油断している所で、「ナメクジ」を踏んでしまうのである。
おかげで最近では、湿気の強い日には、
面倒でも必ず電灯をつけて、家の中を歩くようにしている。

「ナメクジ」は、陸に生息する巻貝のうち、
カラが退化しているものの総称である。
軟体動物の1つであり、各種のナメクジ科を形成している。
我が国全土に分布しており、菜園、樹木、石の下などに棲んでいて、
台所など、湿気のある所に侵入して野菜、果物などに害を与える。
体長は約6cm。
全体は淡褐色で、全面に黒色小班が分布し、
前端から後端にかけて、三条の暗褐色帯が走っている。
表面には網目状の皺があり、これは常に粘液で湿っている。
腹面は全て「足裏」ということになり、黄白色だ。
初夏、白色の丸い卵を樹皮の裏や、石の下などに産みつける。
成長は早い。

形態的には、カタツムリと似ている所も多く、
幾種ものカタツムリが、それぞれカラを失う方向で進化したものが、
「ナメクジ」と捉えても良いだろう。
中には、カタツムリがカラを失う途中のような、
微妙な形態を持った種も存在しており、
そこら辺の生物が「ナメクジ」なのか?カタツムリなのか?
という点に関しては、どうも明確な線引きが無いようである。

このように巻貝の類が、進化の過程でカラを失っていくことは
様々な系統で起こっており、これを「ナメクジ化」というらしい。
言葉だけ捉えると、まるで悪口のようだが、
一応、進化の過程でということになっているため、
「ナメクジ化」というのは、ポジティブな言葉であるらしい。
海の浅瀬などで見かけるウミウシなども、
「ナメクジ化」によってあの姿に変化したと考えられている。

先にも書いた通り、「ナメクジ」は菜園などで作物を食い荒らすなど、
直接的な被害をもたらすことも多く、積極的な駆除が望ましい。
本来的には、湿気の多い所に生息する生物であり、
体のほとんどは水分で出来ているため、湿気を失わせれば
あっという間に駆除することが出来るのだが、
我が国の気候条件では、その根絶はなかなかに困難である。
特に菜園などでは、育てている作物の種類によっては
安易に菜園を乾燥させてしまうわけにもいかず、
結局は薬剤散布に頼らなければならないと、いうこともある。

「ナメクジ」といえば、塩をかければ溶けてしまうなんていう話もあるが、
厳密にいえば、これは塩の浸透圧によって体内の水分が放出され、
小さくなっているだけである。
今回の記事の参考にした古い百科事典では、
「塩をふりかけると、粘液を出して体を縮めるが、
 そのままにすると逃げるので、集めて焼く」
と、その駆除方法を教えている。
冷静に考えてみれば、「ナメクジ」を集めて焼くのであれば
わざわざ塩をかける必要など無いように思えるが、
一応、弱らせて、おとなしくさせておく効果はあるのだろうか?
ちなみに、塩をかけると「ナメクジ」が小さくなるというのは、
あくまでも、水溶液になった際の浸透圧を利用しているので、
別に塩にこだわらず、砂糖や重曹などをふりかけてみても
同じことが起こる。

我が家の周りは、庭も土がむき出しになっていて、
さらに家の裏は、大きな畑になっている。
必然的に、雨が降ると水たまりが出来るなどして、
梅雨の時期は地面が湿った状態になりがちである。
たまの晴れ間に、庭の雑草を引いていると、
雑草の根元に、ナメクジがゴロゴロしていることもある。

強力な薬剤でもまけば、一時的にこれらを死滅させることは
出来るかも知れないが、どうせ時間が経てば、その効果も薄れてくる。
(増して雨の多い梅雨の時期だと、散布した薬剤が
 他所へ流出してしまう恐れもある)
多少の「ナメクジ」は、田舎に住んでいる代償だと思って、
上手く付き合っていくしかなさそうだ。

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