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あのフレーズをもう一度

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先日、インターネットのニュースサイトを見ていると、
地元・兵庫県内のニュースのコーナーで、こんな記事を見つけた。

「ウナギ稚魚、兵庫も超不漁
 昨季7千匹が…今季はわずか70匹」

日本ウナギの稚魚・シラスウナギが、全国的に不漁となる中、
2月1日に解禁された加古川など兵庫県内の河川でも、
漁獲量が昨年の1%程度に落ち込んでいる。
この超不漁ぶりに対し、漁業者からは
「(4月末までの)猟期を延ばしてもらわないと……」
という声も出ているという。

ここの所、日本ウナギの稚魚であるシラスウナギの漁獲量が
かなり減っていることは報道されていたが、
今年の報道を視る限りでは、すでに末期的な様相を呈してきている。
複数人の漁師が1ヶ月間、漁を行なって70匹しかとれないというのは
もはやただ事ではない。
シラスウナギのサイズは、大体5~6㎝ほどということだから、
それが70匹となった所で、両手ですくえる程度の量でしかない。
今季に比べれば、昨年の7000匹というのは
多そうに感じられるかも知れないが、
正直にいえば、稚魚のレベルでこの数しかとれないというのは
相当に少ないといっていいだろう。
昨年のことでいえば、兵庫県内の河川で獲れたウナギの稚魚は
15.4kgである。
シラスウナギの比重がどれくらいなのかは分からないが、
仮にこれが水とほぼ同じであると仮定すれば、
兵庫県内の全てのシラスウナギの漁獲量を合わせても、
一斗缶1本分にさえ届いていないということになる。
これは加古川だけの漁獲量ではなく、明石や姫路、淡路島などで
獲れたシラスウナギを全て合わせて、ようやくこの量だったのだ。
調べてみた所、ウナギの仕入れ価格は現在1000円(昨年価格?)まで
高騰しているという。
さすがに稚魚であるシラスウナギの価格は、
これ以下ということになるのだろうが、
ひょっとすると近い将来、シラスウナギ1匹の価格が
1000円を超えてくるなんていう話も、充分にあり得そうだ。

シラスウナギを買い取っている業者の話では、
昨年の同時期では7000匹ほどを買い取っていたという。
(それでも重量に換算すると1kgほどらしい)
それが今年は、100分の1の漁獲量になってしまったため、
まともに秤に掛けられないという。
まあ、単純に計算すれば、今年捕れたシラスウナギの重量は
総量で10gということになるので、確かに1日の漁獲量では
秤にかけることは不可能だろう。
10gとか、ほとんど1日の塩分摂取量のようなものである。
(具体的にいえば、小さじ1杯(すりきり)程度の量だ)
例年では50人ほどが集まり、網を片手にシラスウナギ漁をするそうだが、
今年は3、4人しか漁をしていないこともあるそうだ。
まあ、ほぼひと月分の漁獲量が10g程度では、
3~4人程度であっても、過剰であることは間違いなさそうだ。

ウナギの養殖というのは、まだ完全には確立されていない。
ウナギ養殖の、一体、どこが完全でないのか?といえば、
ウナギの産卵・孵化という部分を、人工的に行なえないのである。
だから、ウナギを養殖しようとする場合、
まずはその元となる稚魚を、どこからか調達してこなければならない。
だから正確に言うのであれば、
ウナギの養殖はウナギの畜養といってもいいだろう。
そう。
つまりこのシラスウナギ漁というのは、
ウナギ養殖の元となる、ウナギの稚魚を調達するための漁なのである。
当然、ここが不漁ということになれば、ウナギ養殖業者が育てる
ウナギの数も減ってしまうということになる。
資源を保護するという名目で、一部、ある程度成長したウナギを
自然に戻すという試みも行なわれているようだが、
それがさして効果を上げていないことは、
ここ数年の、急激なシラスウナギの減少でも分かる。
産卵・孵化までをコントロールする完全養殖は、
まだしばらく先というのが現状のようだ。
そういう状況であれば、もはや打つべき手段というのは1つしか無い。
そう、禁漁である。
漁業者や、養殖業者の生活が……などというのであれば、
現在の漁獲量では、どのみち成立などしないであろう。
それが成立しないのであれば、もう、ウナギという1つの市場が
終焉を迎えようとしているのだ。

少し前、恵方巻きの大量廃棄を問題視したとあるスーパーが、
生産量を調整して、売れ残りを出さないようにしたという話があった。
そのとき、そのスーパーがチラシで訴えかけたフレーズがある。
もう、やめにしよう
あれは、どこまでも膨れ上がっていく大量生産・大量廃棄に対する
警告の言葉であった。
この『もう、やめにしよう』というフレーズは、
現在のウナギ業界でも、当て嵌まる言葉ではあるまいか?
もう、獲るのをやめにしよう。
もう、売買するのをやめにしよう。
もう、食べるのをやめにしよう。
1つの種を、絶滅に追い込んでまで食べなくてはいけないか?
もし、ウナギを獲るのを、売るのを、食べるのをやめて、
それによって死ぬ者があったとしても、
それは死ぬべくして死ぬことになったのではないか?
どうせウナギが絶滅すれば死ぬことになるのだ。
それが早いか遅いかというだけの話だ。

正直、ここまで数を減らしたウナギが、今更禁漁にした所で
数を回復していくことが出来るかどうかは、わからない。
ここまでの例を見てみても、一定以下に数を減らしてしまった生物は、
そのまま絶滅への道を進むことが多いようだ。
ひょっとすると、このままウナギが全滅してしまうことも、
あり得ない話ではないと思う。
だが、幸いにしてウナギは生命力が強い。
その生命力を持ってすれば、ひょっとすると極端に数の減った
現状からでもその数を持ち直すかも知れない。

今は、その生命力を信じてウナギを休ませるときである。

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