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ノストラダムスの大予言〜その3

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前回、ノストラダムスの「予言集」の中から、
彼が未来を言い当てたとされる、2つの予言を取り上げ、
これを検証してみた。
それが「ロンドン大火」を予言したとされる予言詩と、
「ヒトラー出現」を予言したとされる予言詩である。

これらそれぞれの信憑性については、
「ロンドン大火」はさすがにちょっと無理があり、
「ヒトラー出現」の方は、それなりに状況を言い当てていた。
ただ、どちらにしても予言詩の中に詳しい年代などが書き込まれておらず、
さらに予言詩が時系列順に並んでいないこともあり、
本当にノストラダムスが、「その事件」を言い当てていたのか?と、
追求されてしまうと、答えに詰まってしまうというのが現状だ。
その、ムダに理解しにくい予言詩を読んだ者は、
大方が「ワケのわからない詩ではなく、もっとハッキリと書け」と、
ツッコミを入れたくなるはずである。

そんな理解しにくいノストラダムスの予言詩であるが、
1つ、彼にしては珍しく、詳しい年代までを書き込んだ予言詩がある。
それこそが、彼の予言詩の中で、もっとも有名なあの予言である。

「1999年、7の月(7ヶ月)、
 空から恐怖の大王が来るだろう。
 アンゴルモア(アンゴーモワ)の大王を蘇らせ、
 マルスの前後に、首尾よく支配するために」

いわゆる、1999年に人類が滅亡するという解釈で、
大きな話題を攫ったあの予言である。
日本でノストラダムスが大きく注目されるようになったのは、
この予言詩を、人類滅亡の予言として解釈した本が出版されたからだ。
ただ、冷静な人は当時から突っ込んでいたことであるが、
この予言詩をそのまま読んだ所で、
どこにも「人類が滅亡する」なんてことは書かれていない。
空から「恐怖の大王」なる者がやって来て、
「アンゴルモアの大王」なる者を蘇らせる。
両者ともに「大王」という共通した表記がされていることを考えると、
この両者は似たようなものなのかも知れない。
「蘇らせる」と表記されている以上、「アンゴルモアの大王」というのは
少なくとも我々の身近に存在していて、かつ、現在の所、
その活動を休止しているものと捉えることが出来る。
最後の「マルス」という語句については、
前後という言葉がついていることから、
時間的なある点を指しているように感じられる。
その後に「支配する」などという、
ちょっと刺激的な言葉が使われているが、
よくよく見れば、その前に「首尾よく」という言葉がくっついている。
これをそのまま受け取るのであれば、彼らが「支配する」というのは
確定的な事項ではなく、結構な不確定要素を含んだものであるようだ。
「マルス」という時点で、上手いこと「支配」的な状況になるため、
「アンゴルモアの大王」を蘇らせる。
この予言から受ける個人的な印象は、
「人類の滅亡」なんていう大掛かりな出来事ではなく、
むしろ、どちらかといえば政治的な権力争いである。
空からやってくる、というのが何の暗喩かは分からないが、
まさしく降って沸いた様な悪い出来事のせいで、
力(権力)を失っていた「アンゴルモアの大王」が復権し、
「マルス」という時間的ポイントで、その支配力を伸ばすことに成功する。
まあ、それだけ政治において、そこまで重要な時間的ポイントといえば
やはりそれは「選挙」辺りであろう。
と、なると、この「1999年〜」の予言詩は、
別に人類の滅亡などを予言したものではなく、
どこかの国において、突然の事件・事故によって
力を失っていた権力が復活し、選挙戦を有利に進めるといった程度の
予言なのかも知れない。
まあ、そういうことであるのならば、
わりとどこの国でも起こりうる様な事態である。
ひょっとすると、1999年7月、世界のどこかの国で
古い勢力が政権を取り返すきっかけになる事件が起こったのかも知れない。
(ちなみにその前後の時期、日本の政治関係でのニュースがないかを
 調べてみると、前年に結党された民主党の代表に
 鳩山由紀夫が選ばれていた。
 彼が代表となった民主党は、およそ10年後に政権交替を果たしている。
 「鳩」と「空」であれば、まあ無理をすれば関連づけられないこともなく、
 その後、様々な面子が代表を務めた後、
 再び彼が代表になったタイミングで政権交替が訪れている。
 もちろん、これをノストラダムスの予言というつもりはないが、
 なんとかこじつけようと思えば、こんなことでも関連付けを
 することができるということである)

さて、次は1999年以降の出来事と、
ノストラダムスの予言を見ていこう。

2001年9月11日、アメリカで同時多発テロ事件が発生した。
これを予言していたと、解釈されている予言詩も百詩篇集の中に
複数存在している。
しかも、そのうちの1つが第10巻の72番。
そう、先に述べた「1999年〜」の予言である。
明らかに年代的にズレがあるのだが、予言的には2年というのは
「誤差」と言い切ってしまえるものかも知れない。
飛行機がビルに突っ込んでいったわけだから、
「天から恐怖の大王が〜」の予言と合わせてみたくなる気持ちは
分からないでもないが、それ以外の部分が合致しているとは言い難い。

さらに2016年、アメリカ大統領に就任した
ドナルド・トランプについても予言が存在している。
こちらの予言詩も3つ存在しており、
そのうちの1つは、ヒトラー出現を予言したものと同じものになっている。
要は、アクの強い人物が政治の世界に現れたら、
とりあえず、この予言詩を挙げておけばいいくらいに
考えているのかも知れない。
残りの2つには、どちらもラッパ(トランペット)という単語が
含まれている。
これがトランプのことを指している、というわけだ。
まあ、ヒスターをヒトラーとした様なものである。
トランペット=トランプというのは、さすがにこじつけがひどすぎる。
(この予言詩の1つに、狂気を隠蔽する虚偽の喇叭とある。
 確かにトランプ大統領は過激な思想と言動で注目されているが、
 特にそれを隠蔽している様子はない。
 虚偽というワードについては、政治家につきものであり、
 特にトランプ大統領だけを指しているとも思えない)

さて、今回はノストラダムスの予言でもっとも有名なものと、
さらにその後のことを予言した、予言詩を取り上げてみた。
正直に言えば、どれをとってもこじつけがひどく、
ほんの1つの単語だけを大げさに取り上げたり、
状況の似ている予言詩を見つけてきているようにしか思えない。
この曖昧な表現の予言詩については、ノストラダムスが存命のころから
問題視されており、それを指摘する人間もいたようだが、
彼の予言スタイルが変わることはなかったようである。
と、すればやはり、この曖昧な予言詩スタイルは
彼の予言にとって、欠かせないものだったと考えるしかない。

さて、ここまで3回にわたり、ノストラダムス自身に迫ったり、
彼の残した予言詩を取り上げて、これを検証してみた。
結論としては、医師としてのノストラダムスには確かな実像を感じるが、
晩年の予言者としての彼には、どこか怪しさが漂っている。
果たして、何が彼を予言へと駆り立てたのか、興味は尽きない。

次回は、ちょっとしたオマケとして、あることにチャレンジしてみる。

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