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忖度

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今年になってから書いた、記事のタイトルを読み返してみると、
どうも新年になったというのに、
昨年のことを取り上げているものが多い。
(多いといっても、年が明けてから書いた記事が4つしかないのだが)

まあ、これは去年のうちに書かなくちゃなぁ、なんて思っていた記事が
ちょっと多かったため、年をまたいで
今年の記事になったというだけのことである。
年越し蕎麦」の記事など、本来であれば
年が明けてから出すネタではないのだが、
ウルトラマンジード」の記事の量が多くなってしまい、
うっかり年を越してしまった所に、お正月のネタは
なるべくお正月のうちにということで、「元旦登山」と「餅花」の記事を
先に持って来たため、すっかりお正月気分もなくなったころに
掲載することになってしまった。
まあ去年、書かなくちゃなと思っていたネタに関しては、
ひととおり出し切ってしまったので、
今回からは、完全に新年あけてからのネタばかりということになる。

……。
しかし、こんな風に書くと、
じゃあ、今回のタイトルはどういうことだ!と、
突っ込んでくる人がいるに違いない。
何故なら、今回のテーマである「忖度」は、去年(2017年)の
流行語だったからだ。
だが、この「忖度」、実は我が家にやって来たのは、
間違いなく今年になってからのことである。

話は今年の年末年始のことになる。
今年は諸事情が重なり、兄弟も帰省してこない、
友人たちも集まらないという、お正月になった。
一人暮らしの人間から、これらが無くなってしまえば、
お正月を1人で過ごすことになるのが、確定した様なものだ。
だから今年は、毎年恒例の「元旦登山」も1人で行ない、
初詣にも1人で出かけていったのだが、
3が日を過ぎて数日したころ、妹から1日だけ、
甥っ子を連れて、日帰りで帰ってくるとの連絡があった。
そして、そのとき帰ってきた妹が、お土産に買って来たのが、
「忖度饅頭」であった。
一辺20㎝ほどの四角い箱の表には、
大きな文字で「忖度」と印刷されている。
そういえば、確か去年、「忖度」という言葉が流行った際、
どこかの菓子メーカーがこれに便乗して「忖度饅頭」というのを
販売したというニュースを見たことがあった。
結構、前のことだったので、てっきり一過性のものとして
とっくに無くなってしまっているものだと思っていたのだが、
どういうわけか、しっかりと定着してしまい、
定番商品になっていたらしい。
(なお、どこかのコンビニエンスストアが、同じように
 「忖度」ブーム(?)に便乗した「忖度御膳」なる弁当を発売したが、
 こちらの方は、サッパリ売れなかったようだ)

「忖度」。
「そんたく」と読む。
読みだけを聞くと、まるで三国志に出てくる武将の様に思えるが、
どうも、そのような名前の武将は存在しない様である。
(少し違ってくるが、公孫度(こうそんたく)という武将なら
 三国志の時代に、実際に存在していたらしい)
「忖」という字には、「心を推測する」という意味があり、
「度」という字には、「はかる」という意味がある。
つまり「忖度」という言葉は、
「(相手の気持ちを)推しはかる」という意味合いの言葉になる。
正確な意味合いということでは少し違っているのかも知れないが、
「察する」という言葉と、似た感じの意味であろうか。
この「忖度」という言葉は、歴史の古い、伝統的な言葉であり、
古くは古代中国の「詩経」の中にも出てくるという。
日本の場合、10世紀ごろから、文献の中での使用例がある。
現在の日本語にありがちな和製語ではなく、
由緒正しい言葉なのである。

「(相手の心を)推しはかる」という意味合いからすれば、
本来的にこれは、悪い意味を持つ言葉ではない。
ただ、近年の日本では、
「上役などの意向を推しはかる」などという様な場合に
使われることが多くなったため、言葉にマイナスのイメージがついた。
さらにいえば、2017年は首相の森友学園問題や加計学園問題で、
この言葉が使われたことによって、一気に注目が集まり、
先にも書いた「忖度饅頭」や「忖度御膳」というような
一種のジョーク商品まで発売されるに至り、
年末に発表される新語・流行語大賞において、
大賞を受賞することになったわけだ。
「忖度」という言葉については、この森友・加計問題の報道で
初めて耳にしたという人も多く、古くから使われていたわりには
非常に認知度の低い言葉であった。
それが、昨年の森友・加計問題によって一気に注目が集まり、
その認知度を上げることになってしまった。
こういう古い言葉が注目され、見直されるというのは、
言葉そのものを後代に伝えていく上では、非常に有効なのだろうが、
その取り上げられ方から、言葉に悪いイメージが
付着してしまったことも事実である。
今回の報道で「忖度」という言葉を耳にした人たちは、
自然、マイナスのイメージの強い言葉として「忖度」を認識して、
また、そういう用法でもって、後々この言葉を用いるだろう。
そうなると当然、それを聞いた後の世代の人々にも、
「忖度」は、マイナスイメージの強い言葉として受け止められ、
そのイメージがさらに後代に伝えられることになる。
今回の一連の騒動は、「忖度」という言葉にとっては、
甚だ迷惑なものだったに違いない。

さて、冒頭で述べた通り、年が明けてから
我が家にやって来た「忖度」(饅頭)。
包み紙には、
「忖度の程、宜しくお願い申し上げます」
と印刷されている。
まあ、この文言からすると、饅頭を貰う側が
「忖度」してもらえるのではなく、
饅頭を渡す側が「忖度」してくれよ、と、
お願いしているということらしい。
中には小さな白い饅頭が9個程入っており、
その真ん中には明朝体の活字で「忖度」と書かれている。
饅頭自体は、特に何の変哲もない普通の味の饅頭で、
普通に美味しく食べることが出来る。
ネットで価格を調べてみた所、9個入りのケースで
680円ということだった。

相手に「忖度」をお願いするにはあまりに安価だが、
ジョークグッズとして考えた場合、なかなかお手頃な価格である。

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