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アメリカンドッグ

更新日:

自分がまだ小学生の低学年だったころ、
親と一緒に買い物に行った際、良く買ってもらった食べ物があった。
串に刺したソーセージを小麦粉の生地で包んで、
油で揚げた「アメリカンドッグ」だ。

現在では、スーパーの総菜コーナーの揚げ物の横に
申し訳無さそうに並んでいるイメージがあるのだが、
自分の記憶が確かなら、その当時、
「アメリカンドッグ」を買っていたのは、
フードコートのような場所の、
対面販売式の店舗ではなかったかと思う。
百貨店を小さくしたような総合スーパーの中には、
この手の軽食を販売しているコーナーがあり、
当時の「アメリカンドッグ」は、
そういう店舗で買い求めていた記憶がある。
やがて時代の変遷と共に、そういう店舗は減っていき、
「アメリカンドッグ」も、スーパーの総菜コーナーへと移っていった。
そうなってからも、たまにはこれを買い求め、
家で子供たちに与えていたことを考えると、
それなりに人気のある商品だったに違いない。
1人1本ずつこれを買ってもらい、
家でトマトケチャップをつけて食べる。
家には他にも色々調味料があるのだが、
「アメリカンドッグ」ということになると、やはりこれにつけるのは
トマトケチャップしか考えられなかった。
もう中学校に上がろうかという年齢になったころには、
子供のころほど喜ばなくはなっていたものの、
まだ小さかった妹や弟たちは、
相変わらず、この「アメリカンドッグ」に
たっぷりのケチャップをつけて、ウマそうに食べていた。

子供があまりに「アメリカンドッグ」が好きなものだから、
うちの母親が一度、これを家で作ってみたことがある。
まあ、家庭で作ってみるといっても、それほど難しいものではない。
ちょっと大きめのソーセージに串を刺し、
市販のホットケーキミックスで生地を作り、
これをまぶして揚げただけである。
サイズこそ違っていたものの、市販品と全く変わらない
「アメリカンドッグ」がポンポンと量産された。
我が家の子供たちは、大喜びでこれを食べていたと思うのだが、
どういうわけか母親が「アメリカンドッグ」を自作したのは
そのときの1回だけで、以降は以前の様に
スーパーなどで、子供に人数分だけ買って来るようになった。
それがどういうワケか、子供のころはよく分からなかったのだが、
恐らくは、いちいち材料を揃えて家で作るより、
スーパーで人数分だけ買って来る方が、安上がりだったのだろう。
それくらい、スーパーなどで販売されている「アメリカンドッグ」は
安価なものばかりである。

先にも書いたように、「アメリカンドッグ」は
串に刺したソーセージに、小麦粉などで作った生地をつけて、
油で揚げたものである。
この小麦粉の生地部分は、小麦粉・卵・牛乳・砂糖・
ベーキングパウダーなどで出来ており、
パンケーキ(ホットケーキ)の生地とほぼ同じものである。
この生地を固めに作り、平べったく伸ばし、
リング状に切って油で揚げると「ドーナッツ」になる。
詰まる所、「アメリカンドッグ」は、
ソーセージの入った「ドーナッツ」といってもいいかも知れない。
どういうわけか、北海道の一部地域では、
この「アメリカンドッグ」を「フレンチドッグ」と呼んでいる。
これにかける調味料にしても、トマトケチャップだけではなく
砂糖をまぶすことも多いというから、より「ドーナッツ」に
近いものなのかも知れない。
どういう経緯があって、「アメリカン」が「フレンチ」になったのかは、
はっきりとわかっていない。
中には魚肉ソーセージを使って、砂糖をかけたものが「フレンチ」、
豚肉ソーセージを使って、ケチャップをかけたものが「アメリカン」、
という説もあるらしい。
自分が記憶している限り、
子供のころに食べていた「アメリカンドッグ」は、
ほぼ間違いなく魚肉ソーセージを使い、ケチャップをかけていたので、
そういう意味では、「アメリカン」と「フレンチ」の
間の子だった、ということになる。

「アメリカンドッグ」「フレンチドッグ」という
日本での呼ばれ方からすると、もともとこの食べ物は、
アメリカかフランスのものだったのだろうと考える。
実際、この発想は正しく、アメリカが
「アメリカンドッグ」の発祥の地である。
では、「フレンチ」は一体、どういうことなんだ?
ということになるのだが、それについては全く分からない。
だが、さらに驚くべきことには、発祥の地であるアメリカにさえ、
「アメリカンドッグ」という名前の食べ物が、存在していない。
え?さっきアメリカが発祥だと書いたじゃないか、と、
突っ込まれそうだが、アメリカではこれが
「コーンドッグ」と呼ばれている。
「コーン(Corn)」、つまりトウモロコシである。
どうしてそんな名前なのか?といえば、答えは簡単で、
アメリカのそれは、トウモロコシの粉を原料とした
コーンブレッドの生地が使われているからである。
これが日本に持ち込まれるにあたり、
日本で手に入れにくいトウモロコシ粉ではなく、
小麦粉を使った生地にアレンジされたものと考えられる。
トウモロコシを全く使っていないのだから、
「コーンドッグ」という名前を使うのも、またおかしい。
そこで、何か代わりの名前を、ということになり、
アメリカから来たものだから、
「アメリカンドッグ」となったということらしい。
つまり、一種の和製英語である。
世界的には、この「コーンドッグ」が使われているため、
海外で「アメリカンドッグ」を食べたい場合は、
「コーンドッグ」の名前で注文する必要がある。

この「コーンドッグ」、調べてみた所、
その発祥の店という情報が出てきた。
それがアメリカ合衆国イリノイ州スプリングフィールドにある、
「Cozy Dog Drive In」というお店だ。
アメリカ合衆国には、かつてイリノイ州からカリフォルニア州まで、
北米大陸を横断するような形で、ルート66(国道66号線)が
走っていた。
その全長は3755km。
日本の感覚では、ちょっと想像もできないロングロードだ。
このルート66は、かつてアメリカ西部の発展を促進した道路で、
アメリカの映画、小説、音楽などにも多く登場した。
後に高速道路が発達したことにより、ルート66は1985年に
廃線になったのだが、この店はこのルート66沿いにある
ドライブインの様だ。
店には英語表記のホームページがあり、その中のメニューを見ていくと、
店の名前と同じ「Cozy Dog」というものがある。
この他に「Hot Dog」というメニューも別にあるので、
恐らくはこれが「コーンドッグ」、
つまり「アメリカンドッグ」なのだと思われる。
(メニューには写真がついてないので、
 ひょっとしたら違っているかも知れない)
店の歴史を翻訳サイトで翻訳し、読んでみた所では
どうやら終戦間もないころに、
「コーンドッグ」が作り出されたようである。
ここから全米、そして世界へと広がっていったのだろう。

これがいつ、日本へ持ち込まれたのか?ということに関しては、
全くそれらしい情報を得ることが出来なかった。
自分の幼少時に、龍野や相生といった、
日本の片田舎で食べられていたわけだから、
1970年代にはすでに、日本に入ってきていたものと思われる。

ほんのり甘い生地の中に、ソーセージが包まれ、
そこにケチャップをつけて食べる「アメリカンドッグ」は、
子供だった自分にとっては、心躍るオヤツの1つであり、
串の持ち手付近についた、わずかなカリカリの部分でさえ、
歯でこそげとるようにして食べたものだ。
あれから何十年もたち、自分もいい大人になったのだが、
今でもやはり「アメリカンドッグ」を食べるときには、
持ち手付近のカリカリの部分まで、歯でこそげて食べてしまう。

こういうのも、「三つ子の魂百まで」と言っていいのだろうか?

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