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ハロウィン〜その歴史

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先日、田舎道を自転車で走っていると、
すぐ傍の畑の中で、実をつけているカボチャに目がいった。

通常、この辺りの畑で目にするカボチャというのは
人の頭ほどの大きさの、濃緑の塊である。
表面は比較的ツルツルしているものと、
ゴツゴツとした縦じわのよっているものがあるのだが、
近年は、ツルツルタイプのものが多くなってきている。
まあ、いずれにしても、取り立てて珍しい光景でもなく、
普通であれば、全く気にも止めない所なのだが、
その日、目にしたカボチャはこちらの想像を超えていた。
色はくすんだオレンジ色で、大きさも通常のカボチャの10倍はある。
普通のカボチャなら、子供でも軽々と持つことが出来るが、
このカボチャは、大人であったとしても
1人で持ち上げるのはかなり厳しいだろう。
はっきりいって「お化けカボチャ」そのものである。
そのあまりに異質な存在感に、思わずギョッとしてしまった。

その後、スーパーマーケットに入ると、
出入り口付近のスペースに、季節のコーナーとして
「ハロウィン」コーナーが設けられていた。
もともと日本には馴染みのないイベントであるが、
ここ最近は、急激に浸透し始めてきた。
この季節になると、スーパーなどの小売店の中には
「ハロウィン」の特設コーナーが設けられ、
各メーカーが「ハロウィン」商戦を狙って開発した各種商品が
所狭しと陳列されている。

そういう「ハロウィン」をテーマにした展示で、
ひときわ目を引くのが、カボチャである。
「ハロウィン」のカボチャは、我々が通常食べているものとは違い、
外皮がきれいなオレンジ色をしている。
そう。
まさしく、自分が畑の中に植わっているのを見た、
あのカボチャである。
「ハロウィン」のカボチャといえば、中身をキレイにぬかれた上で、
目、鼻、口などがくりぬかれ、顔のようになっている。
イラストなどでは、まるで魔女がかぶるような
とんがり帽子をかぶらせられていることも多い。
その顔つきも、どことなくイタズラ好きな小悪魔を
連想させるものとなっている。
これらの、展示されているカボチャのイラストを見て、
不意に、先ほど目にしたオレンジ色の巨大カボチャが頭をよぎった。
ひょっとすると、あの畑で栽培されていた巨大カボチャは
「ハロウィン」用に、特別に栽培されていたものではないのか?
大人が抱え上げるのも大変そうな、あの巨大カボチャは、
とても食用に用いられているイメージが沸いて来ない。
何かのイベントなどで振る舞われるのであればともかく、
一般家庭で、あれを消費しきるのは不可能だろう。
だとすれば、あの畑の中にあった巨大カボチャは、
食用としてではなく、「ハロウィン」の飾り付け・ディスプレイ用に
栽培されていたのではないだろうか?

「ハロウィン」は、毎年、10月31日に行なわれる祭である。
もともとは古代ケルト人の行なっていた祭が起源と考えられており、
秋の収穫のお祝いや、悪霊退散などを願う、宗教的なものであったが、
最近の「ハロウィン」では、そこら辺りの、本来の意味合いは無くなり、
魔女やお化けに仮装したり、近所を回ってお菓子を貰ったりするものに
変わってしまった。
この「ハロウィン」は、アメリカ合衆国を中心とした
いわゆる西側諸国で行なわれていることが多いことから、
キリスト教との関係を考える人もいるようだが、
実際には、前述した通り、古代ケルト人の祭が原点であるため、
キリスト教には全く関係がない。
というより、「ハロウィン」で行なわれる仮装が
魔女やお化けなどであることから、キリスト教の多くの宗派は
「ハロウィン」に対して肯定的な見解を持っておらず、
厳しい宗派の中には、「ハロウィン」を行なわないようにと
通達を出すような所もある。

では、そもそも「ハロウィン」の元となった、
古代ケルト人の祭とは、一体どういうものだったのだろうか?

古代ケルト人には、季節は2つしかなかった。
「夏」と「冬」である。
「夏」が終われば、即座に「冬」となり、
「冬」が終われば、即座に「夏」となる。
日本人の感覚からしてみれば、なんとも忙しないように思えるが、
この「夏」から「冬」に変わるときが、1年の始まりとされていた。
日本の場合も、かつては1月1日を立春として
ここを「春」の始まりとしていたことから、
洋の東西を問わず、同じようなことをしていたわけだ。
この「夏」と「冬」の切り替わる日が、
11月1日で、ここがいわば日本の正月にあたる。
早い話、「ハロウィン」とは、古代ケルト人の大晦日だったわけである。
さらに彼らの間では、その日には死者の霊魂が
あの世から帰ってくる、とも考えられていたため、
日本のお盆的な要素も含んでいた。
日本のお盆と違うのは、これら死者の霊魂と一緒に
異界から「精霊」や「魔女」が出てくると信じられていたことだ。
これらから身を守るため、古代ケルト人たちは
その日になると仮面をかぶり、
魔除けの焚き火を朝まで絶やさなかった。
そう。
この仮面をかぶるという行為が、後の仮装へと続いていくのである。
「精霊」や「魔女」に目を付けられないために、
彼らと同じような格好をする。
まあ、目立たないようにして、余計なちょっかいを
かけられないようにしようということだろう。
そして、この魔除けの焚き火が、後のカボチャのランタンへと
続いたのではないだろうか。
ただ、この古代ケルト人たちの祭の名前だけは、
後の世には伝わらなかった。
当時、この祭は「サムハイン祭」と呼ばれていたのだが、
これが「ハロウィン」と名前を変えたことに関しては、
実はキリスト教が関係している。

「ハロウィン」を嫌っているキリスト教が、
「ハロウィン」の名前の由来になっているというのは、
なんとも皮肉な話だが、一体、そこにどういう経緯があったのか?

実はキリスト教では、11月1日は「諸聖人の日」となっている。
この聖人を英語で「Hallow(ハロウ)」と呼ぶのだが、
それからすると、10月31日の夜は
「諸聖人の日の夜」ということになる。
(キリスト教では、日没を1日の始まりとしていたためである)
「クリスマスの前夜(キリスト教的には当夜)」が
「クリスマス・イブ」になるのであれば、
「諸聖人(ハロウ)の日の前夜」は、「ハロウ・イブ」となる。
この「ハロウ・イブ」が変じて「ハロウィン」になったという。

つまり、名前こそはキリスト教由来なのだが、
その実は全くキリスト教に関係がなく、
さらにキリスト教には嫌われているという、
実に複雑なイベントなのである。

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