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雑感、考察

指パッチンのやり方とは

更新日:


まわりの人間ができていることが、
自分だけできないというのは、
かなりのプレッシャーになる。
人生において、そういう経験をしたことのある人は多いはずだ。
まわりの人間が、当たり前にできているのに、
自分は全くできない。

たとえば、自転車などにも、そういう所がある。
まわりの友達はすぐに乗れるようになったのに、
自分はいつまでたっても乗れるようにならない。

たとえば、水泳などにも、そういう所がある。
まわりはみんな泳げるようになったのに、
自分は全然泳げるようにならない。

たとえば、鉄棒なども、そういう所がある。
まわりはみんな逆上がりができるのに、
自分は全く逆上がりができない。

こういうときの不安と焦りは、なんともイヤなものだ。

それが人生において、全く役に立たないものであっても、
自分だけができない、というのは面白くないものである。
自分の場合、それが「指パッチン」であった。

「指パッチン」って、なんだ?と思われる人もいるだろう。
一般的には「指パッチン」と呼ばれているが、
正式には「フィンガースナップ」という。
指先を「パチン」とならす、技である。
映画やドラマなどで、高級なレストランでの食事シーンがあるとする。
そういう場面で、客が「パチン」と指を鳴らすと、
すぐにウエイターがやってくる。
他にも、洋風のお屋敷で、主人が「パチン」と指を鳴らすと、
すぐさま執事が「お呼びでしょうか、旦那様?」と現れる。
この「パチン」が、フィンガースナップである。
どちらにしても、浮世離れした富豪が、使用人などを呼ぶときにやる仕草だ。
つまり、自分のような一般庶民には、
一生、使う機会は無いといっていい。
これができないからといって、何かの不便があるわけでもない。
先に書いた、自転車、水泳、鉄棒などに比べれば、
全く、どうでもいいことだ。
しかし、そんなどうでもいいことであっても、
まわりのみんなが出来るのに、自分だけ出来ないというのは、
やはり面白くないものである。

自分は、なんとかして、これをモノにしようと決めた。
高校3年生の夏ごろであった。
受験勉強の合間を見つけては、一生懸命練習を続けた。
もちろん、それだけでは「指パッチン」習得はおぼつかない。
だから、まわりの人間に「指パッチン」のやり方を聞いてまわった。
学校の友人たち、塾の友人たち。
とりあえず、自分のまわりにいる人間たちに、
「指パッチン」が出来るかどうかを聞き、
出来るという答えが返ってきたときには、すぐさま教えを請うた。
まわりの友人たちには、「指パッチン」出来る者が多く、
教えを請うことに不自由は無かったが、返ってくる教えは判を押したように、

「勢いよく指を叩き付ける」

だけであった。
と、なれば後はひたすら練習を積むしかない。
必死になって指を鳴らそうと、練習を続けた。
しかしいくら練習を積んでも、いっこうに指は鳴らない。
ついに練習のし過ぎで、指の皮がめくれてしまった。
まるで、昔の野球マンガの特訓シーンだが、
自分が目指しているのは甲子園でも、魔球の会得でもなく、
「指パッチン」である。
今思えば、随分アホなことに血道を上げていたものだと思う。
しかも、大事な受験シーズン中にである。
ひょっとしたら、受験のストレスで、
ちょっとおかしくなっていたのかもしれない。

部活でもなんでもない、高校3年生の暑い夏は、
「指パッチン」の特訓とともに過ぎていった。

……一応、お断りしておくと、もちろん受験勉強はしている。
あくまでも、合間を見て血道を上げていたのだ。
しかし指の皮をめくろうとも、
いっこうに、自分の指から「パチン」という音が出ることは無かった。
ああ、自分は結局「指パッチン」を習得できないのか…と、
諦観しつつあったとき、意外な所から解決策が舞い込んできた。

意外な所というのは、当時中学1年生だった弟の一言だ。
弟は自分が「指パッチン」出来ないのを見て取ると、
さらりと言ってのけた

「中指を、いくら勢いよく親指の付け根に叩き付けても、
 音は出ないよ。
 パチンと鳴らしたいのなら、
 まず薬指を、親指の付け根の部分にあてておいて、
 そのときに出来た親指の付け根と薬指の間の谷間に、中指をあてないと」

言われたとおり、薬指を親指の根元にあてて、
そこに弾いた中指をあてるようにすると、
いとも簡単に「パチン」と音が出た。

まわりから見ている分にはバカみたいな、
されど本人にとっては奇跡のような「パチン」であった。

なるほど、後になって考えてみれば、理屈に合っている。
薬指を親指の付け根にあてるようにすると、
薬指と掌の間に、空間が出来る。
その状態で、薬指と親指の付け根の間の谷間に中指をあてると、
その下の空間に音が響き、「パチン」という音が出る。
重要なのは、中指をいかに勢いよく叩き付けるかではなく、
薬指で音の響く空間を作ることだったのだ。

「指パッチン」が出来る人間は、自分のまわりにたくさんいた。
しかしそれを正しく人に教えることの出来た人間は、
同級生であった友人たちの中にはおらず、中学生の弟1人であった。
この1件以降、自分のまわりの人間の意見のうち、
弟の意見を最優先で取り上げるようになったのは、言うまでもない。

実は、これと同じようなことがもうひとつある。
チューインガムを膨らませることである。

こちらについては、小学生のときに挫折して、
出来ないままになっている。
こちらも、まわりの人間はいとも簡単に膨らませているが、
自分がやると、いっこうに膨らませることが出来ない。
こちらは、弟の指導があってなお、習得することが出来なかった。
一体どうすれば、あれが膨らむのか、全くワケがわからない。
ひょっとしたら、まわりの人間はショッカーにでも改造されて、
口にチューインガム膨らませ装置を、内蔵しているのではないか?
それほどに、あれは自分にとって、異次元の技術である。

こちらについては、いずれ「指パッチン」と同じように挑戦し、
技術を習得したいと思っているが、
現在の所、見通しは立っていない。

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