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雑感、考察

氷ノ山登山〜その2

投稿日:

By: Rui Su

相棒はぎっくり腰、自分は体調不良、
さらに山には結構な量の残雪と、
ヒドい条件を重ねた上で始まった、今回の氷ノ山登山。

氷ノ山の西側の麓にある、
「氷ノ越キャンプ場」に車を停めた我々は、
キャンプ場内の道を北へと進んでいった。
やがて、登山届け用のポストがあり、
ここで登山届けを記入しようと思ったのだが、
ここにあるのはあくまでも「ポスト」だけで、
記入すべき「登山届け」も、筆記用具も全く用意されていない。
どうやら、ここ氷ノ山では、
「登山届け」はあくまでも家で書いて持ってきて、
ここでポストに投函してください、ということらしい。
こちらとしては、いきなりここで
そんなことを言われても困るな、というのが正直な所である。
筆記用具ぐらいはあるが、紙の方の持ち合わせがない。
一応、パソコンからプリントアウトしてきた登山地図はあるので、
これの裏側にでも我々2人の情報を記入して、
ポストへ投函することは出来るのだが、
さすがに登山前に、命綱ともいえる登山地図を手放すのは避けたい。
仕様がなしに、今回は登山届けを書かずに入山することとなった。

登山口から少し進んでいくと、すぐに電気柵(?)のゲートがある。
横に3本のワイヤーが張られており、一部分だけ、
これを開くことが出来るようになっている。
このゲートを越えると、辺りは樹林帯である。
植林された杉林の中を、わずかな踏み跡をたどるようにして、
先へと進んでいく。
と、まあ、簡単に書いているが、
今回、一緒に登っている相棒はぎっくり腰を患っている。
買ったばかりのダブルストックを使っているので、
幾分かは腰への負担が減っているはずなのだが、
そこはやはり痛みがあるのか、
いつにもましてペースが上がって来ない。
正直、まともに歩けないようであれば、
サッサと撤退の決断を下さなければならない。
だが、ノロノロとしたペースではあるものの、
歩くこと自体には、それほど不自由がないらしく、
本人は登る気充分である。

薄暗い杉林のあちこちに、白い残雪が残っている。
この「氷ノ越コース」は、
氷ノ山の西側にあたるため、雪が溶けにくいのかも知れない。
所々、登山道に覆いかぶさるようにして、雪の塊が広がっている。
他の登山者たちの踏み跡を観察してみると、
雪の上を踏み越えて、先へと進んでいるようなので、
自分と友人もそれに習い、雪の上を踏み越えるようにして先に進む。
とはいっても、そこはやはり土の上を歩くのとは
具合が違ってくる。
適当な歩き方をしていれば、ズルリと足が滑るし、
場所によってはズボッと、深く雪に足をとられることもある。
まあ、多少滑ったり、足をとられたりした所で、
自分の方はそれほど問題はないのだが、
腰をやっている友人の場合、
これらの1つ1つが腰にダメージを与える。
結果、ますます歩き方は慎重になり、ペースは遅くなる。
実際、友人のペースに合わせて登っていると、
次々と他の登山者たちに、追い抜かされることになった。

しばらく進んでいくと、登山コースが完全に雪に覆われてしまった。
踏み跡を追ってみると、広く急な雪の斜面を
つづら折りの様にして、上へと続いている。
はたして、ここを無事に登り切ることが出来るのだろうか?
とりあえず、雪の上の踏み跡に足を重ねるようにして足場を確保し、
一歩、一歩と上へと登って行く。
足を置いただけなら平気だった場所も、体重をかけるとズルッと滑る。
正直、あまり心臓に良くない。
周りに木が生えていないので、ヘタクソに転べば
一気に下まで滑り落ちそうである。
(もっとも、場所がそれほど広くないので、
 雪のない所まで滑り落ちた所で、大したケガはしそうにないが……)
たまに足をズルッと滑らしながら、雪の上を登り終え、
後からついてくる友人の方を見てみると、
ダブルストックを上手く雪に突き刺し、ノロノロと登ってきている。
こういう滑りやすい場所では、ダブルストックというのは
結構便利なものらしい。

先に進んでいくと、谷筋に小さな川が出来ている。
これが、オールシーズンのものか、
融雪のシーズンのみに現れるものなのかわからないのだが、
谷筋の上部に積もっている雪が溶けて流れているもので、
水自体は氷水といっていい。
この小さな谷川を越えて進んでいくと、
「氷ノ山の生き物」という看板があり、
ツキノワグマが写真入りで紹介されている。
無論、この「氷ノ越登山道」にも、クマが出てくるということだろう。
時期的にいえば、冬眠明けという所だろうか?
ちょうどその時期のクマは、
攻撃的になっているという話を聞いたことがあるので、
なるべく出くわさないように、祈りながら先に進んでいく。
登山道自体の傾斜はきつくなくとも、
(一部、急傾斜な所はあるものの、
 すべて階段状に整備されているので、
 2本足のみで歩いて登ることが出来る)
道は雪に覆われていたり、
雪解け水によってグチャグチャになっている。
そこを体調不良の自分と、ぎっくり腰の友人が登って行くわけである。

自分は体自体は問題ないので、ある程度はスイスイと登り、
その後、吐き気に襲われてへたり込む。
友人はぎっくり腰をやっているものの、それ以外、
体調自体は問題ないので、
ノロノロと非常なスローペースで登ってくる。
自分が先行し、吐き気でへたり込んでいると
そのうち友人が追いついてくる。
友人が追いついてくると、自分は再び先行して行き、
またその先でへたり込み、そこへ友人がまた追いついてくる。
全くヒドい登山だが、こういうことを繰り返しながら
1~4合目までを通過して、
ついに「氷ノ越」と呼ばれる峰の上に出た。

「氷ノ越」には、とんがり屋根の避難小屋とベンチがあり、
多くの登山者がここで休憩を取っている。
ここから南方向へと尾根伝いに歩いて行けば、
やがて「氷ノ山」山頂にたどり着くことになる。
逆に、北方向へと尾根伝いに進んで行けば「鉢伏山」に至る。
ここからは、はるか南にそびえる「氷ノ山」山頂までの道のりを
ほぼ一望することが可能である。

だが、ここから「氷ノ山」までの道のりを確認した我々は、
おもわず「げぇっ!」という声をあげざるを得なかった。
「氷ノ越」から「氷ノ山」までの山の斜面のほとんどが
真っ白い雪に覆われていたからである。
もう、見た感じは完全に「雪山」であり、
他の登山者たちは、なだらかな雪の斜面の上を
トラバースするようにして先へと進んで行っている。
ここまでも、かなり残雪の多い登山道であったが、
ここから先は、雪しかない雪山だ。
もちろん、自分も友人も、雪山の経験も装備も何もない。

さて、ここから先、どうするべきだろうか?

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