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雑感、考察

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我が家の近くに、バーベキューの大好きな家がある。

おおよそ、ひと月に1〜2回、
良くやる場合には、1週間に1回くらいの頻度で、
その家の庭先(といっても屋根のついた
ガレージのような場所だが……)にアウトドア用の
バーベキューセットを持ち出し、肉を焼いて食べている。
先に書いたように、屋根のついている場所でやっているため
天候が悪くても関係なしにやっているし、
1〜2月といった、屋外でのバーベキューには不向きそうな季節でも、
相変わらず肉を焼き、大人数でこれを食べている。

かくいう自分は、全くバーベキューというものやらない。
良くこのブログに書いているように、
自分は山登りが好きで、よくあちこちの山に登るが、
そういう場合でも、バーベキューはおろか
野外調理をまったくやらない。
友人と一緒に行く場合は、昼食や行動食を携帯していき、
これを登山中に食べることはあるのだが、
そういう場合にしても、現地で調理を行なうことは一切ない。
コンロでお湯を沸かしてコーヒーをいれたり、
カップラーメンを作ったりするようなことさえない。
アウトドア用のガスやコンロなどはコンパクトなものが多く、
決して山登りの負担になるようなことはないのだが、
それでも我々が登山中に食べるのは
既製品の弁当やパン、お菓子だけである。
これが自分1人、単独行で山に登る、なんていうことになると、
弁当やパン、お菓子を持って行くこともなくなる。
ただ小さな水筒に水を入れて、これを1つ持って行くだけである。

話をバーベキューに戻そう。
現在、野外でバーベキューを行なう場合、
大なり小なり、携帯用の火器を用いるのが普通だ。
カセット式のガスコンロを使う場合もあるし、
七輪を持ち出して、これを使用する場合もある。
だが、ある程度の大人数でやる場合には、
大きな金網のついた、バーベキューコンロを使うのが一般的である。
そしてこの手の大型バーベキューコンロでは、
その燃料として、「炭」が用いられる。

「炭」とは、有機物が蒸し焼きになり、炭化することで得られる
炭素を主成分とする可燃物である。
まあ、難しいことを書いたが、一般的に「炭」といえば
木材を炭化した「木炭」のことを指していることが多い。
広い意味でいえば、石炭や泥炭も「炭」ということになるのだが、
こちらの方は、下手をすれば「炭」と認識していない人も
いるかもしれない。
大方の場合は、植物性の原料を炭化したものが「炭」として
扱われているが、その原料によっても木材を炭化した「木炭」、
竹材を炭化した「竹炭」、ヤシガラを炭化した「ヤシガラ炭」、
オガクズを固め、これを炭化した「オガ炭」などがある。
先述したように、炭素を主成分とする可燃物であるため、
燃料として用いられることが多く、
かつては、その用途のほぼ全てが燃料だったのだが、
最近では、その多孔質構造からなる吸着力を利用した脱臭剤、
濾過材としての用途が大きく拡大してきている。
特にこれらの性能(吸着力)を強化するために、
科学的・物理的な処理を施したものは、「活性炭」と呼ばれている。

日本において「炭」の利用の歴史は古く、
新石器時代のころから木炭が用いられていた。
木材を「炭」に加工することにより、
木材をそのまま燃やしたのでは得られないような
「高温」を作り出すことが出来るようになった。
これによって、鉄を溶かすことが出来るようになり、
日本での鉄器製作・利用が始まった。
もともとの製法では、木材を積み上げて火をつけ、
その後に土をかけることによって、これを不完全燃焼させ、
木材を炭化させていたが、やがて土や石による「炭窯」が作られ、
これを用いた「炭焼き」が行なわれるようになる。
平安時代になると、木材の豊富な山林部などで
広く「炭焼き」が行なわれるようになり、
やがて「炭」は商品化され、年貢として徴収されるようになった。
このころの「炭」は、炭焼きの最後の段階で窯口を大きく開け、
窯内に空気を送り込んで高温にしてから、炭を窯の外にかき出し、
灰をかけて消火する、いわゆる「白炭」が主流であった。
室町時代から江戸時代にかけて、
窯が冷えてから「炭」を外に出す窯内消火法が行なわれるようになり、
軟質で火付きのよい「黒炭」が作られるようになった。

日本では、古来より燃料として利用され続けていた「炭」だが、
1950年ごろに200万tを生産していたのを境に、
極端に生産量は減少していく。
20年後の1970年には28万t、
30年後の1980年には7万tと激減しているが、
これは戦後、エネルギー・燃料の主流が
電気や石油に代わったためである。
2017年現在では、木炭の国内生産量は2万t台にまで落ち込み、
国内の需要を大きく下回ってしまっており、
この不足分は、外国からの輸入炭によって補われている。
現在では、国内で使用される木炭のうち、
85%以上が輸入炭ということになっている。
需要ということでは、現在でも一定量以上の
手堅いものがあるにも関わらず、生産者の減少によって
国内生産は減少し続けており、
今後もこの傾向は続いていく見込みで、
どの辺りで底を打つかも、全く見通しが立っていない。
下手をすると、国内での木炭生産は、
ほぼ全滅してしまう可能性もある。
(現在でも、それに近い状態だが……)

竹炭」の場合、その用途は「炭」の吸着力を目的としたものに
ほぼ限られてしまうのだが、「木炭」の場合だと、
そういう用途の他にも、現在でも「燃料」としての
使われ方をされている例が多い。
特に調理に「炭」を用いた場合、「炭火焼」ということになり、
普通にガス火で焼いたものに比べて、
美味しく焼き上がるという評価があるため、
外食産業の中でも、「炭」を燃料として使用している所は多い。
これは炭が火を出さずに燃え、遠赤外線を出しているためだとされる。
また、アウトドアレジャーの際に、バーベキュー用の燃料として
用いられることは多いが、「炭」の性質によっては
着火させにくいものもあるため、これを上手く扱うためには
ある程度の経験と慣れが必要になってくる。

一方で、「炭」の吸着力を目的とした使用例も増えてきている。
「炭」について取り上げているウェブサイトを巡ってみると、
燃料としての「炭」より、
むしろ「吸着力」について、大きく取り上げている所も多い。
冷蔵庫や靴箱の脱臭、押し入れの調湿、畑の土壌改善、
河川などの水質浄化などでも一定の効果を上げており、
これらの用途のために加工された「活性炭」のような、
専門の「炭」も存在している。

さて、我が家で「炭」といえば、
かつて「豆炭」(木炭ではなく石炭などを原料とした成型炭)や
「オガ炭」(オガクズなどを原料とした成型炭)で
「あんか」や「こたつ」を温めるのが常であった。
最近では、これらの役目が電気に奪われて
日常生活の中で「炭」の出番は無くなっていたのだが、
以前、物置の中を整理していた所、
使い切れなかったらしい「オガ炭」がみつかった。
古いものなので、使えるかどうか疑問だったのだが、
使ってみるとしっかりと火がついて、火力もある。
捨ててしまうのももったいないので、
七輪の中に入れて、ストーブ代わりにしたのだが、
うっかり部屋の換気を忘れてしまい、
一酸化炭素中毒になりかけてしまった。

やはり「炭」とはいえ、「火」を扱うわけだから、
油断は大きな事故にも繋がりかねない。
扱いの際には、くれぐれもご用心を。

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