By: monica
「ウルトラ兄弟」が、本当の兄弟でないというのは、
わりとよく知られた事実である。
というのも、もともとこの「ウルトラ」シリーズには、
「ウルトラ兄弟」なんていう設定はなかったものの、
「ウルトラマン」→「ウルトラセブン」と
タイトルに「ウルトラ」とついた巨大ヒーロー番組があったため、
この後の「帰ってきたウルトラマン」の中で、
これら３つの番組の世界観が、繋がっていたことにされたのである。
（もっとも実際には、「セブン」と「帰ってきた」の放送の間に、
「ウルトラファイト」という５分間番組が放送されており、
この中ですでに、「ウルトラマン」と「セブン」が
ひとまとめにされていた。
この番組の中では、ウルトラセブンが
「ウルトラマン」に登場した怪獣と戦うシーンもあった）
実際に「ウルトラ」シリーズの中で、
「ウルトラ兄弟」という単語が使われるようになったのは、
シリーズ第４作目の「ウルトラマンA」からのことである。
この「ウルトラマンA」以降は、番組中でもウルトラマンたちが
「兄弟」「兄さん」「弟」などという単語を
頻繁に口にするようになる。
一旦、「兄弟」という概念を取り込んでしまえば、
後は早いものである。
子供向け雑誌などでは、
「ウルトラ兄弟」という形でピックアップされ、
様々な雑誌や書籍などで、その「兄弟」という設定に
肉付けがされていった。
「兄弟」とはついているものの本当の兄弟ではなく、
それぞれには別の両親がいるということになり、
それぞれの両親の職業など、かなり細かい設定が付け加えられた。
が、である。
もともとの設定自体が、
ちょっとした思いつきのようなもので作られ始めているため、
キチンとした共通設定のようなものは存在しておらず、
毎回、毎回、かなり行き当たりばったりに
設定を作っているのではないか？と疑いたくなるほど、
それら設定はムチャクチャなものが多かった。
やがて「ウルトラ」シリーズの人気が不動のものになってくると、
制作者の円谷プロダクションも、このままではマズいと思ったのか、
一応、公式の設定を定めるようになった。
ただ、それまでに雑誌などで発表された適当な設定を
一度リセットしたりせず、なるべく採用するようにしたためか、
出来上がった公式の設定も、冷静に見てみれば
結構突っ込みどころの多いものになってしまった。
今回は、それぞれのウルトラマンたちについて、
公式・非公式の設定を紹介しながら、
TV番組の中では捉えにくかった、
それぞれのウルトラマンの性格などについて検証していきたい。
まず、「ウルトラマン」で主役を張ったウルトラマンだ。
身長や体重といった身体能力的なものは、
性格を類推する上ではほとんど役に立たないので、ここでは割愛し、
それ以外のデータを挙げてみる。
・年齢 ２万歳
・職業 宇宙大学の教授、宇宙警備隊支部長
・趣味 読書
・家族 父……宇宙保安庁長官
母……ウルトラ学校教師
まあ、年齢というのは１つの基準なので、ここでは問わないが、
彼より年下のセブンには息子（ゼロ）がおり、
ジャックにも妻がいるということなので、
２万歳というのは、すでに結婚していても
おかしくない年齢なのだろう。
にもかかわらず、結婚しているという設定が無い以上、
ウルトラマンは独身だということになる。
大学教授という仕事をしていることからしてみても、
社会的なステータスは充分あるだろうし、
趣味が読書とかなり知性的な面を感じさせる。
地球の基準で言えば、嫁の来手など掃いて捨てるほどあるだろう。
両親の職業も堅そうなので、さぞ結婚しろと
せっつかれているのではないだろうか？
それでも結婚をしていない所を見ると、
もともと気ままな独身主義なのか、女性嫌いなのか？
どちらにしても、かなり「変わり者」であるのは間違い無さそうだ。
次は「ウルトラセブン」の主人公・セブンだ。
・年齢 １万７千歳（１万９千歳というのもある）
・職業 宇宙警備隊恒点観測員、宇宙警備隊支部長
・趣味 水泳
・家族 父……勇士司令部前部長
母……セブン幼少時に死去（ウルトラの母の姉）
兄……宇宙警備隊、勇士司令部部長
（いないことにされることもある）
姉……母親代わりにセブンを育てた
息子……ウルトラマンゼロ
まず、職業の恒点観測員というのが、よくわからない。
そもそも「恒点」というのが、「ウルトラ」シリーズの造語で、
辞書を引いても全く載っていないのだ。
まあ、ここは何かよく分からないものを観測するのが、
彼の仕事だとしておこう。
ただ、地球の職業と比較できないので、
果たしてその仕事がどういうものなのか、さっぱりわからない。
さらにセブンの場合、家族の情報が豊富である。
すでに死んでしまった母親、いるのかいないのかわからない兄。
もし、兄がいないのだとすれば、その家族構成は
マンガ「巨人の星」のそれに非常に似通っている。
まさか幼少期のセブンが、ウルトラ戦士養成ギプスをつけて
スパルタでしごかれていたとも思えないが、
父親と母親が揃っているウルトラマンと比べれば、
ドラマ性を感じさせる家族構成だ。
特筆すべきなのは、彼にはウルトラマンゼロという息子がいることだ。
息子の年齢が５９００歳ということなので、
彼が１万１千歳ころの子供ということになる。
ウルトラの父がタロウを授かったのが、
１４万歳を超えてからだったことを考えると、
えらく早くに子供を作ったものである。
さらにどういうわけか、セブンはこのウルトラマンゼロを
自分の手で養育していない。
（ゼロがセブンが父親だと知ったのは、つい最近のことである）
家族の中にあるはずの「妻」の名前がない所が、
非常にドロドロとした人間関係を想像させる。
（一応、ゼロの母親は宇宙科学技術庁の科学者ということになっている）
だが、少なくともセブンが地球にやってきたときには、
すでに彼にはゼロという息子がいたというのは確かだ。
彼はその状態で、モロボシダンとして
アンヌといちゃついていたことになる。
……。
ひょっとすると、彼の女癖はかなりヒドいのかも知れない。
次は「帰ってきたウルトラマン」、ウルトラマンジャックだ。
・年齢 １万７千歳
・職業 ウルトラ道場の先生、宇宙警備隊支部長
・趣味 登山
・家族 父……ウルトラ科学技術局長間
母……宇宙情報センターに勤めている
妻……ウルトラの母の妹
年齢はセブンと変わらない。
職業が道場の先生ということなので、
どちらかといえば、頭脳派というよりは肉体派だろうか。
海（というか水）の無い星に生まれたくせに
「水泳」が趣味というセブンよりはマシかも知れないが、
空が飛べて、テレポートも出来る彼らが、
果たしてどんな「登山」をするのか、激しく気になる。
やはりテクテクと歩いて登って行くのだろうか？
父親と母親は健在だ。
どちらも働いており、結構、固そうな職業に就いている。
特筆すべきは「妻」がいることだろう。
しかも相手が「ウルトラの母」の妹ときている。
これが本当なら、「ウルトラの母」は彼にとって
義理の姉ということになり、その夫「ウルトラの父」は義理の兄、
その息子であるタロウは「甥」ということになる。
タロウにとって彼は、「兄さん」ではなく
「おじさん」ということになる。
……。
なんとも複雑怪奇なことだが、問題はそれだけではない。
「ウルトラの母」の年齢は１４万歳ということになっているのだが、
彼女の妹ということになれば、その年齢も近いはずである。
セブンとゼロ、この親子の歳の差は１万歳ちょっとなので、
姉妹である以上はこれ以上、歳の差があるとは思えない。
そうなると、どう見積もってもジャックの「妻」の年齢は
１３万歳程度ということになり、ジャックとの歳の差は
１１万歳以上ということになる。
驚くべき歳の差婚である。
姉さん女房とか言う範疇を、遥かに超えてしまっている。
ということは、つまりジャックは「ババ専」？
セブンの女癖の悪さに比べればマシかも知れないが、
ジャックもまた、ちょっと特殊な性癖を持っているということになる。
さて、今回は３人のウルトラマンたちのプロフィールから
その性格等についての考察を進めてみた。
テレビで見ている限りでは分からない、
ナマの部分が色々見えてきたのではないだろうか？
次回は、A以降のウルトラマンについて、
同様の考察を進めていく。
