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こども園

投稿日:

By: tkaige

ここの所、ネットのニュースサイトで、
「姫路市のこども園」というワードを目にすることが多かった。

姫路市飾磨区にある私立認定こども園「わんずまざー保育園」で、
不適切……というか、ムチャクチャな保育実態が発覚し、
この件が大きく取り上げられたからである。
この記事を書いている時点では、
不適切な保育実態が発覚してから1週間が経っているのだが、
まあ、出るわ出るわ、毎日の様にヒドい保育実態や、
経営実態が明らかになり、同こども園の違反事項は、
なんと30項目以上に及ぶという。
(ひょっとしたら、記事がブログに上がるころには
 もっと数が増えているかも知れないし、
 もっとえげつない保育実態が、明らかになっているかも知れない)
当たり前のことだが、この「こども園」の認定は
取り消しということになり、
同園に通っていた園児46人は、
新年度を前に施設を離れることになるという。

さて、自分がこのニュースを初めて聞いたとき、
ひとつ、いまいちよく分からない単語があった。
それが「こども園」である。
なんとなく、言葉の響きから
「未就学児童を預かる保育施設」というようなイメージはあるものの、
それが実際に「どう」定義されるものか?ということになると、
これが全く分からない。
そういう未就学児童を預かる施設としては、
「保育所」や「幼稚園」があるのだが、
「こども園」というのは、これらの施設とは違うのだろうか?

気になって調べてみると、この「こども園」というのは、
どうも「保育所」と「幼稚園」を合わせたようなものであるらしい。
ここ近年、「保育所」や「幼稚園」に入ることの出来ない、
いわゆる待機児童の問題がピックアップされることが
多くなってきていたが、
この待機児童を減らすという目的のために、
従来あった「保育園」や「幼稚園」を、
「こども園」へと認定していっている、ということらしい。
……。
ここで、少し不思議に思う人もいるかも知れない。
すでにある「保育所」や「幼稚園」を「こども園」に認定した所で、
結局、受け入れることの出来る児童のキャパシティは
今までと変わらないのではないか?ということである。
ただ、これまで「保育所」として、
保育対象の児童のみを受け入れていた「保育所」や、
「幼稚園」として、教育対象の児童のみを受け入れていた「幼稚園」が、
「こども園」となってそれぞれ受け入れの対象を広げることにより、
児童の預け先の数自体が増え、従来では受け入れ先のなかった児童にも
受け入れ先が見つかるというようなことも、あるかも知れない。
そういう意味では、今までよりは若干でも
受け入れてもらいやすくなった、といえるのだろうか?

ただ、全く新しく「こども園」を設立する、というのならともかく、
今まで「保育所」「幼稚園」として機能していた場所を、
「こども園」にするというのであれば、
それぞれに、今までにない、新たな業務が加わることになる。
当然、その新しい部分の設備やカリキュラムなども
追加しないといけないわけで、働いている職員にかかる負担は
今まで以上に大きなものになるだろう。
新しい設備やカリキュラムを追加し、
新たな職員を増やしたとしても、
「こども園」としての業務に慣れるまでは、
職員、保護者、児童それぞれに負担がいくであろうことは、
想像に難くない。
実際、「保育所」「幼稚園」から「こども園」に変わった所では、
職員の負担が激増したという話や、
園のサービスが低下したなんていう話も、結構あるようだ。
また、この「こども園」では、
「保育所」と「幼稚園」の性格を併せ持っているため、
建前の上では、全て児童が同じように入園できることになっているが、
実際には、両親が共働きである場合や、1人親世帯などが
優先されることになっている。
「こども園」に入園を希望する場合、
それぞれの家庭の「保育を必要とする事由」によって、
1号認定から3号認定までに区別される。
この認定の違いによって、
「こども園」での扱いが変わってくるため、
それによる不公平感を感じている人も、少なからずいるようだ。

まあ、つらつらと「こども園」というものについて
書いてきたのだが、正直、こういう保育制度というのは
自分のような独身の人間にとっては、全く縁遠い世界だ。
自分などは「こども園」などというものが
新しく出来ているということも、
今回のニュースで聞くまでは、全く知らなかったほどである。
自分と同じような、独身の男女や、
すでに子育てを終わっている高齢者などの中には、
自分と同じように、今回のニュースで
初めて「こども園」というものを知ったという人も
結構いるのではないだろうか?
そういう人間にとっては、「こども園」という言葉と一緒に
今回の不祥事がセットとして、頭の中に入ってくることになる。
つまり「こども園」という言葉に、
ネガティブなイメージがついてしまうのではないだろうか。
もちろん、今回の不祥事は極めてレアケースで(たぶん)、
ここ以外の「こども園」では、
健全な保育・教育が行なわれているだろうが、
これだけ連日、ニュースで「姫路のこども園」を連呼して、
その数々の不祥事を報道していれば、
多かれ少なかれ、その風評被害を受けることだろう。
「和歌山」と「カレー」といえば、
「ヒ素」を思い浮かべてしまうようなものである。

実際、子供を保育所に通わせている友人の1人が、
連絡帳でこの件についてそれとなく触れてみた所、
保育所の方からは、かなり強い調子で
「ウチではそういうことはありません」という意味の
返事がきたという。
恐らくは、同じような問い合わせが
多数、寄せられたのだろうということは想像に難くない。
まあ、他所で起こった不祥事で、いちいち疑いを持たれたのでは
怒りを感じる気持ちも分からなくはないが、
大事な子供を預けている親としては、
こんな不祥事が起こってしまうと(しかもわりと身近で)、
ウチの保育所は大丈夫なのか?と、心配するのも当然だろう。
恐らく、日本中の「こども園」「保育所」「幼稚園」で、
同様の問い合わせが来ているのではないだろうか。
そう考えれば、罪な不祥事を起こしたものである。

ニュースで聞いた限りでは、認定を取り消されたこの「こども園」は、
来年度からも普通に営業を続けていくということだ。
(「こども園」ではなくなるのかも知れないが……)
これだけ様々な不祥事を起こして、全国的に報道され、
散々バッシングされた「こども園」に、
はたして新しい入園希望者がやってくるのかはわからないが、
そんな所でも、子供を預かってくれるなら……、
ということになるとすれば、
我が国の「待機児童」問題が、それだけ深刻だということだろう。

(結局、問題の「こども園」は、4月以降の運営を断念し、
 閉園することになったそうです)

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