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金剛山登山〜その2

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By: iwks

ウルトラマンとバルタン星人の石像が置いてある
5合目を出発した我々は、順調に高度を上げていく。

この金剛山で気付いたことだが、
どういうワケか、犬を連れて登山している登山者が多い。
ネコのような小型犬に、「頑張れ、頑張れ」と声をかけながら
登って行く人がいるかと思えば、
かなりの大型犬と自分の身体を、ハーネスのようなもので結びつけて、
犬に引っ張ってもらうようにして、山を登っている人もいる。
これまでに登った山でも、何度か犬を連れている人を
見たことがあるが、ひとつの山を登っているうちに
複数の「犬連れ」に出会ったのは、今回が初めてである。
犬のようなペットを連れて、山に登ることに関して、
その是非を問う声もあるのだが、
少なくとも、人間よりも遥かに身体の小さい犬の場合、
身体に溜めているエネルギーも、
人間より少ないということになるので、
途中でバテてしまうのではないかと心配になる。
無理矢理登山に付き合わせて、バテさせてしまうのでは
さすがに犬が気の毒な気がするのだが、
はたして、犬たちは無事に登り切ることが出来たのだろうか?

ちょうど5合目を越えた辺りから、
「~号目」表示の間隔が細かくなってくる。
これまでは、「1合目」→「2合目」のように
1号ごとの表示になっていたものが、
「7合目」→「7.5合目」のように、
0.5号ごとの表示に変わっている。
ちょうど半分を越えたくらいから、身体も疲れてきているだろうし、
こまめに休憩を入れなさいよ、という
管理者側からのメッセージだろうか?

実際、ここまで遅れ気味でついて来ていた友人の足も、
さらにスピードが鈍り、遅れが大きくなり始めた。
距離が開きすぎたと思えば、友人が追いついてくるのを待ち、
そこで休憩を入れてから、再スタートする。
ペースの方はあまり上がらないが、
あまり疲れさせても、ロクなことにはならない。
そう思って休憩を多めに入れながら、歩いていたのだが、
どういうわけか、8合目、9合目辺りから、
友人が遅れなくなった。
こちらはいつも通りのペースで歩いているのだが、
しっかりと自分の後方、一定距離をキープしたままついて来ている。
ひょっとして、ちゃんとスタミナを温存していたのか?
だが、それが出来るのなら
最初からバテるようなことはないだろう。
後になって聞いてみれば、どうも疲れが限界を超え、
かなりボンヤリとした頭で歩いていたらしい。
それで、ちゃんと自分について来れていたということは、
余計な力みなどが抜けて、もっとも歩きやすい、
体力を使わない楽な歩き方をしていた、ということになる。
疲れが限界を超えて、朦朧とした意識の中で
もっとも楽な、良いフォームになるというのは、
スポーツマンガなどで、たまにお目にかかるのだが、
それを現実に目の当たりにしたというのは、今回が初めてである。

ともあれ、友人が遅れなくなったというのであれば、
わざわざ余計なことをして、正気に戻すよりも、
そのままついて来てもらった方が、都合がいい。
自分もペースを変えることなく歩き続け、ほどなく山頂に着いた。

金剛山の山頂部分は、ちょっとした広場のようになっている。
そこには、宿や売店の他、神社の社(葛木神社)や転法輪寺がある。
金剛山の最高地点は、この神社の神域に含まれているため、
立ち入ることが出来ない。
その代わりに、国見城跡の広場が山頂ということになっており、
そこに「金剛山頂」と書かれた、木製看板が掲げられている。
金剛山の山頂を目指して登って来た登山者は、
この看板の前で記念撮影を行い、金剛山登頂の証としている。
ちなみに山頂広場には、この「金剛山頂」の看板を常時映している
ライブカメラが存在しており、看板の前でポーズをとれば、
その姿は、世界中に発信されることになる。
自分と友人が、この山頂看板の前に立ったとき、
ちょうど、自分たち2人が金剛山に登ることを知っていた友人が、
その姿を確認し、連絡を入れて来た。
そう、この金剛山頂広場付近は
携帯電話の電波も繋がるようになっているため、
携帯電話等のモバイル機器を持っていれば、
ライブカメラに映っている自分自身の姿を、
リアルタイムで確認することも出来るのである。
(もっとも、自分が映っていることを確認した所で、
 それほど嬉しいものではないのだが……)

この山頂付近は、標高が1100mを超えているため、
場所によってはいまだに雪が残っている。
もちろん、登山道を歩くのにアイゼンが必要なほどではないのだが、
神社の境内などでは、日中この雪が溶けて、
足下が泥地状態になってしまっている所も多い。
日中はともかく、夜になると山頂付近は
0度以下になるのかも知れない。
転法輪寺の境内には、「ひさご池」と呼ばれる池があり、
この池の水面には、もう正午過ぎだというのに氷が残っていた。
ちょうど、自分たちがこの「ひさご池」の前を通りかかったとき、
池の前では白い修行服を着た4人の修験者が、
何やら一心に真言を唱えていた。
恐らくは修行の一貫なのだろうが、
時折、ホラ貝を取り出して、これを「ブォ~」と吹き鳴らしている。
調べてみた所、この転法輪寺というのは、
真言宗醍醐派の寺院であり、
葛城修験道の根本道場になっている。
穿った見方をすると、登山客相手のパフォーマンスのようにも
思えてしまうが、実際の所、厳しい修行の最中なのだろう。
その姿を見た後、ひょっとしたら下山中などに
山に登ってくる修験者の姿を見られるかも知れない、と思ったが、
残念ながら下山中に修験者の姿を見ることはなかった。
やはり修験者たるもの、初心者向けである
整備の行き届いた千早本道などで登ってくることはないのだろう。

ひととおり、山頂を散策し、休憩をとった後、
我々は登って来た道を引き返すようにして、下山を開始した。
実際、11時過ぎに登り始め、
山頂に着いたのは12時30分くらいだった。
おおよそ1時間半ほどで、登って来たことになる。
下山中には、自分が「花粉症」のため(?)に
クシャミが止まらなくなり、かなり騒々しい下山になってしまった。
1時くらいに下山を始め、2時には登山口についていたので、
下山の方には、1時間ほどしか、かからなかった計算になる。

今回、自分たちは、わりと「本格的な登山」というスタンスで
金剛山に登ったわけだが、
実は地元・大阪に住んでいる人たちの中には、
健康登山として、毎日登山をしている人も多い。
金剛山には、登山回数の記録システムがあり、
回数カードを購入すれば、登山するごとに
山頂にてスタンプを押してもらえる。
山頂には、何度も登頂している人たちの名前が張り出されており、
その中には、登頂回数1万回を越える強者もいる。
現在では、スタンプは1日1個ということになっているが、
かつては、1日に複数個、スタンプを押してもらうことも出来たので、
1日に何度も登ったり下りたりして、
スタンプを稼ぐ人もいたそうである。
1日(24時間)の最多登頂回数は17回ということなので、
1往復1時間半かからないペースで、
1日中登り下りし続けていたということになる。
こうなってくると、もう、やっていることは修験者以上だ。

記録に取り憑かれた登山者は、
時に修験者を超える、ということらしい。

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