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防災訓練

更新日:

つい先週の日曜日、自分の住んでいる地区で、
防災訓練が執り行われた。

その日に防災訓練を行なうことは、
事前に回覧板で知らされてあったのだが、
どういうことをするのか?ということに関しては、
余り詳しいことが書かれておらず、
果たしてどういう訓練をやるのか?ということが、
いまいちよくわからない訓練だった。

訓練の時間は、午前9時〜10時半まで、ということになっており、
それぞれ、隣保ごとに集合場所が違っている。
うちの場合、歩いて2〜3分ほどの所にある公園が、
集合場所になっていた。
8時50分ごろになると、近所の家から1人、2人と出てきて、
公園の方へと向かいだす。
自分もそれに合わせるようにして家を出て、
公園へと歩いていった。

実は、自分が地区の防災訓練に参加するのは、
今回が初めてである。
今までにも何回か実施されていたのだが、
特に参加を強制されるようなこともなかったので、
他にやることがある場合は、常にそちらを優先させていたのだが、
どうも今回は、自治会側の意気込みが違うようだ。
参加予定者が少なかったせいか、
参加を要請する回覧板が2回も回ってきた。
新しい自治会長に変わったばかりなので、
張り切っているのかもしれない。
その意気込みを買って、今回、重い腰を上げたわけだ。

もっとも「防災訓練」自体は、今回が初めてというわけではない。
地区の自治体が行なっている訓練は初めてだが、
ちょうど高校生のころに、学校で行なわれた防災訓練に
参加した記憶がある。
こちらは学校行事としての「それ」なので、
もちろん強制参加、ということになる。
非常用避難シュートを使って、3階から飛び降りたりもしたし、
消火器を使っての消火訓練もやらさせられた。
折り悪く、クラス委員をやっていた時期だったので、
その手の訓練を全て、代表してやることになったのだ。
幸いにして、その訓練を行なって以降の人生では、
訓練の成果を生かすような場面に出会わず、ここまできたが、
災害というのは、いつ、どこで遭遇しないとも限らない。

公園に着くと、すでにかなりの数の住民が集まっているのだが、
点呼等を行なう様子も、出欠を確認することも無い。
ただ、ご近所同士が寄り集まって、ガヤガヤと話しているだけである。
やがて9時ごろになると、地区放送で
「ただ今から、防災訓練を開始します。
 参加者はすぐに避難場所へと向かってください」
と、命じられる。
だが、何のことは無い。
すでに参加者のほとんどは家を出て、
避難場所である公園に集合しているのだ。
いや、それよりも「公園(避難場所)に向かう」こと自体が訓練なら、
そのことを回覧板に書いておいてくれないと、
そりゃ皆、訓練の開始時間には、
すでに所定の場所に移動しているだろう。
ちょっと、自治会側の不手際感が漂う。
しばらくすると、自治会長が自転車に乗ってやってきた。
どうやら今回行なう訓練は、消火栓を使って行なう訓練のようで、
うちの近くの消火栓のある場所まで移動してくれ、という。
一同はゾロゾロと、地区の消火栓のある場所まで歩いていった。

消火栓が設置してあるのは、我家からずっと西に進み、
三叉路を北に30mほど進んだ場所だ。
その場所は良く通っていたのだが、そこに消火栓があることには
今まで全く気付かなかった。
その消火栓は、地上に露出しているタイプではなく、
道路の下に埋め込んであるタイプである。
地上部分は、普通のマンホールと変わらない。
道路上にある鉄のフタを開けると、中に消火栓が設置してある。
だが、この鉄のフタを開けるためには、それ専用の道具が必要で、
その道具は、先ほどの公園の南側に設置してあるボックスか、
近くの消防団の倉庫にでも行かなければ、置いてない。
距離にして、100m以上あるので、
いざ、火災が起こったら、まずは公園に向かってダッシュし、
この器具を持ってこなければならない。
なかなかハードだ。

フタを開けてみると、中には消火栓しか無い。
しかも消火栓の蛇口は、専用の器具が無いと
あけられないようになっている。
(もっとも、消火栓の蛇口を回す道具は、
 鉄のフタを開ける道具と同じなので、問題は無いのだが……)
これでは、いくら蛇口を回してみた所で、
その場で水が吹き上がるだけで、全く消火の役には立たない。
この消火栓で消火活動を行うには、先ほどのボックスから、
消火栓用のアタッチメント、ホース、筒先を
持ってこなければならない。
もし1人で、これを使うとなったら、
2〜3回往復しなければならないようだ。
ダッシュで、数百mを走らなければならないわけで、
(しかも半分は消火器具を担いで)
いざ消火を始めようというときには、
すでにクタクタになっていそうだ。
しかもホースは1本で20mの長さしかない。
火災現場が消火栓から離れていた場合、
別のボックスまで走って、必要な長さ分だけのホースを
集めてこなければならない。

まあ、ドタバタしながらも、消火栓を使うのに必要な器具が
集まったとしよう。
まず、消火栓用のアタッチメントを、消火栓に取り付ける。
取り付けは簡単で、グイと押し込めば、カチリと音がして、
しっかりと固定される。
軽く引っ張ってみて、しっかりと接続されていることを確認したら、
今度はホースを伸ばす。
ホースは2重折にされた後、クルクルと丸められているので、
ホースの端の片方を足で踏み、丸まっている部分をエイやっと
押し出すと転がっていき、ホースが二つ折りの状態に戻る。
仮に途中でホースが倒れてしまっても、
構わずにホースの片方を持って走ればいい。
それでホースが絡まるようなことは無いようだ。
アタッチメントとホースを接続し、
さらにもう片方と筒先を接続する。
このとき、アタッチメントから伸びるホースの向きが、
ホースを伸ばす方向に対し、90度横を向いているのがいい。
そうすることによって、ホースにある程度のたるみが生まれ、
その分だけ、ホースにかかる負担が減ることになる。
もしこのときに、アタッチメントがホースを伸ばす方向に
向いていれば、ホースに水圧がかかった際に、
器具が損傷してしまうこともあるという。

これらの準備が全て整ったところで、
筒先を持っている人間から、消火栓の所にいる人間に合図がくる。
腕を上に上げれば「水を出してくれ」、
腕を横に下ろせば「水を止めてくれ」である。
ここまでの所は、最悪1人でもやってやれないことは無いが、
ここから先の消火活動を行うには、最低でも後2人は人数がいる。
仮に筒先を地面に置いたまま、消火栓の蛇口を回せば、
強烈な勢いで吹き出す水の圧力で、筒先が暴れ回り、
かなり危険なことになる。
それを防ぐためには、1人が筒先をしっかりと固定し、
もう1人が消火栓の場所で、蛇口の開閉に専念する。
さらにもう1人は、筒先を持っている人間の補助である。
なんせ、両手で筒先を持っているのだから、
蛇口係に合図を送ることが出来ない。
場所が近ければ、言葉で指示することも出来るが、
火災現場というのは総じてやかましく、声は届きにくいものである。
そうして無事に消火が終わったら、蛇口係に合図を送り、
水を止めてもらうことになる。

この後のことに関しては、それほど色々と考える必要は無い。
大方の場合、消火が終わるころには、消防署の方からも
消防署員が駆けつけてきているはずなので、
この後のことに関していえば、彼らの指示に従っておけばいい。
ホースなどの中にたまっている水を抜き、
これを干して乾かした後、再び折り畳んで丸めて、
ボックスの中に戻しておけばいい。

今回の訓練では、都合4回ほど、この流れを繰り返した。
住民の中からランダムに選ばれた3人が、
それぞれ筒先役、補助役、消火栓役と別れて、
実際に放水作業を行ってみた。
やってみて分かったのは、この手の消火栓を使った消火作業は、
どう頑張ってみても、1人では行なえないということである。
出来れば3人以上、どうがんばっても2人以上いなければ、
消火活動を行うことは出来ない。
さらにいえば、消火栓の場所、ホースなどの収納してある場所などの
事前知識が無ければ、まともに水を出すことも出来そうにない。
つまり、住民が自らの手で、消火栓を使った消火活動を行うには、
どうしたってある程度の人数と、最低限の知識がいる。
……。
なかなかハードルの高い話だ。
防災訓練を行なう理由というのも、この辺りにあるらしい。

こうして、1時間半ほどの防災訓練は終わった。
帰り際に、地区自治体の方から参加者たちに、ジュースが配られた。
お疲れさま、ということなのだろう。

清掃作業のときの様に、ビールが配られない辺り、
マジメな防災訓練ならでは、という感じがした。

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