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モグラ~その1地下の王者。

更新日:

海の王者といえば、クジラか、サメか、シャチだろうか。

陸の王者といえば、これは人間だろう。

クマとか、ライオンとか、ゾウとか、それらしいものはいくらでもいるが、

結局、人間が一番強い。

空の王者といえば、ワシやタカなどだろうか。

どちらにしても、その辺りの猛禽類が、空の王者のようだ。

陸・海・空と並べてみたが、

陸には地上と地下がある。

地下、といっても生物が生息できるのは、

地面の下のわずかな部分でしかない。

そのわずかな部分の王者といえるのが、モグラである。

陸・海・空の王者と並べてみると、なんとも可愛い王者である。

もともと地下というのは、生物の住める環境ではない。

ミミズなどの微生物も含め、おおよそ地下50cmの範囲内でしか、

生物は生息していない。

特撮番組などでは、地中深くから地底怪獣が現れたりするが、

これは当然フィクションで、地底深くには生物は存在していないのだ。

そこはただ、土と岩、鉱物だけの世界である。

そう考えると、生物の住んでいる地下世界というのは、

非常に狭い世界であることがわかる。

地下50cm。

そこは、地上に住む生物たちの手の及ばない、一種の聖域なのである。

モグラは北海道を除く、日本全国に分布している。

大別すれば、2種類のモグラがおり、

東のアズマモグラ、西のコウベモグラ、という風に分けられる。

日本地図上で、金沢市あたりから富士山まで一直線に線を引くと、

それがアズマモグラとコウベモグラの分布境界線となる。

もちろん、この2種類だけが日本のモグラではなく、

この他にも佐渡島に生息するサドモグラ、越後平野に棲息するエチゴモグラ、

標高の高い山岳地帯に棲むミズラモグラ、

変わった所では、尖閣諸島の魚釣島に棲むセンカクモグラがいる。

しかし、いることはわかっているのだが、

領土権の問題で、きちんとした調査は行われていない。

ここに挙げたモグラのうち、アズマモグラとコウベモグラ以外は、

棲息地域が非常に限定的であるため、

日本のモグラのほとんどが、この2種類であるといえる。

ただこの2種類、素人が見てもまず見分けがつかない。

敢えていうなら、わずかにアズマモグラの方がコウベモグラよりも

サイズが小さいといわれている。

しかし、身体の大きさには個体差による部分も多く、

これだけでモグラを判断するのは難しい。

モグラは食虫目モグラ科に属する、ほ乳類である。

パッと見た感じネズミによく似ているが、

ネズミは齧歯目に属する生物なので、ネズミとは全くの別物だ。

分類学的にいえば、ネズミとモグラは、人間とモグラくらい、

種として離れているらしい。

顔は尖っていて、その先には小さな鼻がついている。

目は退化していて、季節によっては毛に覆われて、

どこにあるのかわからない状態になる。

歯は細く尖っている。

一度噛みつかれてしまうと、振っても、ぶら下がったまま話さない。

まるでスッポンのようだ。

前足は、身体に比べると随分と大きい。

鱗模様をした、ゴツゴツとした肌になっており、

人の手の形に非常によく似ている。

その代わりに、後ろ足は小さく可愛い。

お尻には、申し訳程度に小さなしっぽがついている。

モグラは主に、土中にいるミミズや幼虫類を食べる。

よく畑などで、土の中にあるイモなどが齧られていることがあるが、

これはモグラの仕業ではない。

モグラは完全な肉食動物なので、畑の野菜を食べることはない。

土の中のイモなどが齧られている場合、

ほとんどの場合、モグラの穴を利用したネズミの仕業だ。

ネズミ自体は全く穴を掘らないが、

モグラの掘った穴を利用することがある。

そのため、モグラが畑の野菜を食い荒らすという、

濡れ衣を着せられているのだ。

ではモグラが畑にとって無害か?ということになると、

そういうわけでもない。

モグラが畑の下に穴を掘ると、

それによって作物の根が、空気に触れている状態になる。

その状態のままにしておくと、根が乾いてしまい、

ひどい時には作物を枯らしてしまう。

また、水田の中に穴を掘られると、

水田に水を引いた際に、モグラの穴から水が抜けていってしまうことがある。

稲刈り後の水田に、土盛り(モグラ塚)が出来ていたような場合、

その水田は要注意だ。

土手の法面などにモグラが住み着いている場合、

大雨が降った時に、モグラの穴が原因で土手が決壊する可能性も、

否定できない。

こういう風に見れば、モグラというのは、厄介な動物だ。

なんといっても、土の中に住んでいるというのが大きい。

人間の目に見える場所に住んでいないため、

人間と非常に近い場所に住みながらも、その生態はあまり知られていない。

次回は、そのモグラの生態に焦点をあててみる。

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